剣客や小兵衛の同輩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 08:29 UTC 版)
牛堀九万之助 浅草・元鳥越町に奥山念流の道場を構える剣客。土井能登守の面前で行われた試合で秋山小兵衛と闘い、それをきっかけに懇意の間となる。 生涯、妻を娶らず剣の道に没頭し、独自の境地を開いた名手で、人柄も良いため、道場は小さいが名門の子弟が多い。仕掛人・藤枝梅安の登場人物とも関わりがある。 辻平右衛門 無外流宗家で小兵衛の師。故人。 本名を三沢千代太郎と言い、宗家を継ぐに当たって今の名に改める。小兵衛や嶋岡礼蔵といった名のある剣客を幾人も輩出するが、突然、京都・大原の里へ旅立ち、同地にこもる。その際、道場は後を継ごうとするものがいなかったため閉じられることになった。 嶋岡礼蔵 小兵衛の弟弟子(歳は小兵衛より三つ下)。大治郎にとっては第二の師でもある。 剣術の腕は随一で、辻平右衛門の門下では、秋山小兵衛と嶋岡礼蔵は「竜虎」や「双璧」と評された。無外流宗家・辻平右衛門に師事し、辻が大原の里に引きこもった際には唯一師に従うことを許され、江戸を去る。 柿本源七郎との果し合いを行うため江戸にやって来るが、果し合いの前に、柿本の門人・伊藤三弥が放った矢に倒れる。 小兵衛の最初の妻・お貞を好いており、彼女を巡って小兵衛と勝負したこともあった。死後、小兵衛の手によってお貞の墓の隣に葬られた。その遺髪は大治郎が礼蔵の兄のもとへ赴き、直接手渡している。 原作ではお貞をめぐる恋の争いをいまだ心の中で引きずっていたのか、柿本の件で江戸に来た時は小兵衛と顔を合わせることはなかったが、ドラマ(藤田まこと版・北大路欣也版)では小兵衛と酒を酌み交わし、話に花を咲かせている。 井関忠八郎 一刀流の名人で、三冬の師。田沼意次を介して小兵衛とも交流があった。 剣技は勿論、人柄も優れ、門下には諸大名の家来や大身旗本の子弟も多かった。55歳で病没するが、その時点で門弟は200人余りにのぼっていた。没後、門弟の間で後継者争いが起き、紆余曲折の後に三冬が道場を継ぐ。しかし、三冬は道場の存続を望む他の門弟の説得を振り切って道場を畳んだ。 金子孫十郎 江戸で屈指の剣客で湯島五丁目に一刀流の大道場を構える。 井関道場の跡目争いの件で、勝負の審判を務めた。秋山親子とも交流を持っており、三冬を客分として扱ったりしている。 作中で本人が登場することは少ないが、名前や道場名はよく登場する。 植村友之助 小兵衛の門人。根岸流の手裏剣も修める。「秋山道場の逸才」と呼ばれた剣士だった。厳しい修行と底なしの飲酒で大病を患い、回復せぬまま身を養っている。家督は弟に譲り、師匠である小兵衛から貸し与えられた金貸しの浅野幸右衛門の旧宅に住む。その時に小兵衛が四谷の道場を構えている時に帳面を綴じるのに使っていた「畳針」を譲り受けている。 旧宅の留守居を始めてから体調も回復の兆しを見せ、下男の為七や近隣の子供たちに読み書きを教えている。なお、ドラマ(藤田まこと)版では浅野幸右衛門とは別のシリーズに登場することもあって、この人物の住居は浅野の旧宅ではなく、また、浅野の後日談でも植村への言及はなかった。 内山文太 辻平右衛門の門人。小兵衛の親友で、年齢は小兵衛より10歳年上だが、弟分の様に接していた。小兵衛とお貞の婚儀の仲人を務めている。 娘が市ヶ谷御門外の茶問屋・井筒屋方に嫁ぎ、そこに引き取られて楽隠居の身を楽しんでいたが、ある出来事によって急激に呆けてしまい、間もなく亡くなる。その死は、小兵衛に衝撃を与え、しばらく陰鬱な日々が続いた。 若い頃、弟の妻と不義を働き、清という女子をもうけており、清の子・お直は、町医者の横山正元と結婚する。 柿本源七郎 辻平右衛門の道場を訪ねた際、嶋岡礼蔵に敗れ、10年後、筑波山で再び礼蔵に挑むが引き分けに終わったため、また10年後に果たし合いをする約束をしていたが、心臓を病んでおり、歩くのも困難な状態になっていた。弟子の三弥によって礼蔵が殺されたことを知った柿本源七郎は小兵衛と大治郎の目の前で自害した。 ドラマ(藤田まこと版)では礼蔵の件を知った後、兄弟弟子の小兵衛から果し合いを望まれ、これを快諾した末小兵衛の手加減無しの斬撃を受けて果てた。一方、加藤剛・山形勲版では果し合いの直前で落命している。 伊藤三弥 柿本源七郎の門人で色子。弓の腕前が高い。 師の柿本源七郎と嶋岡礼蔵の果し合いを前に、病気でろくに歩くこともおぼつかない師を見かね、独断で大治郎の道場に滞在していた礼蔵を襲撃する。礼蔵を射殺すことに成功するが、その場に居合わせた大治郎に右腕を切り落とされる。 その後、腹違いの兄・小雨坊(本名:伊藤郁太郎)と共に秋山父子の命を狙い、鐘ヶ淵の隠宅を襲撃する。しかし、小雨坊は小兵衛に斬られてしまい、その後、小雨坊に焼かれた隠宅が再建された頃に自殺する。 ドラマ(藤田まこと版)では残された左腕一本で大治郎に挑むが、斬り合いの果てに敗れて死す。一方、加藤剛・山形勲版では、礼蔵の殺害に失敗している(もっとも殺害には失敗したものの、瀕死の重傷は負わせ、結果的に礼蔵はその傷が元で亡くなった)。 また、2013年のドラマ(北大路欣也版)では、小雨坊とともに柿本邸に潜伏しているところを秋山父子に見つかり、小雨坊は小兵衛によって成敗され、三弥は小兵衛から自害する事を勧められるもこれを拒絶。結果的に大治郎によって成敗されている。 余談だが、『まゆ墨の金ちゃん』(藤田まこと版)では過去に大治郎との試合で右肩の骨を砕かれ、二度と剣を持てぬ体になった同姓同名の人物が父親共々名前のみ登場する。 これは本来ならば伊藤三弥という存在が登場若しくは語られるはずの『まゆ墨の金ちゃん』と『剣の誓約』『妖怪小雨坊』を別々のシリーズでのエピソードとして制作・放映したためとも考えられる。 ただし、ドラマの版によっては小雨坊が登場しないこともある。中村又五郎版では「伊藤」姓ではなく、「柿本」姓、つまり、源七郎の弟という設定で登場するため、小雨坊の存在が丸々なかったことになっている。 更に、北大路欣也版においても、三弥を手助けするのは別の人物であり、小雨坊は最初から存在していないことになっている。 間宮孫七郎 小兵衛の道場で代稽古を勤めた後に独立して道場を開く。人格の高潔さと指導力を見込まれ、小兵衛が道場を閉じる際には門人の大半を託した。 柳喜十郎 麻布・森元町に道場をかまえている道場主。小柄な体格に柔和な表情そのままの穏やかな性格で、周囲の住民からも「とても剣術の先生とは思えない」と評されるが、道場破りに来た剣客・大久保兵蔵の間合いを巧みに外し完勝。見物していた小兵衛は「隠れた名人」と評した。
※この「剣客や小兵衛の同輩」の解説は、「剣客商売」の解説の一部です。
「剣客や小兵衛の同輩」を含む「剣客商売」の記事については、「剣客商売」の概要を参照ください。
- 剣客や小兵衛の同輩のページへのリンク