マルテンサイト系
なお、マルテンサイト変態とは、原子が長距離 (長距離というのはあくまでまで便宜上の表現) を移動せずに、わずかな位置の移動で結晶構造を変える変態のことである。マルテンサイト系はこのマルテンサイト変態でできた相のものである。
基本成分は、13Cで、SUS410がこの代表鋼種である。
この鋼種は焼入れによる硬化性が優れているので耐摩耗製品に使われることがあります。また、焼戻しをすることにより、高強度、伸延性および靭性を得ることができるので、ねじのドリルねじ・ボルト・刃物・ベアリング・ブレーキディスク・バルブなどにも多く使われています。
しかし、耐食性が他の鋼種に比べると劣るため、取り扱いや、使用環境には注意が必要です。
大気中で加熱した場合の耐酸化性がよく、500℃ までの温度に耐え、耐熱用としても使用されています。溶接は焼き割れを生じやすいので注意が必要です。
強磁性である。
マルテンサイト系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 15:55 UTC 版)
「析出硬化系ステンレス鋼」の記事における「マルテンサイト系」の解説
マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、固溶化処理の急冷途中にマルテンサイト変態を起こさせ、固溶化処理後は室温で組織がマルテンサイトとなる鋼種である。次いで、析出硬化させるための熱処理(時効処理)が施される。析出硬化のみならず、マルテンサイト変態も高強度化の機構として利用する鋼種といえる。 マルテンサイト系の組成は、室温でマルテンサイト組織となるように調整される。そのため、マルテンサイト変態の開始温度(Ms点)と終了温度(Mf点)が室温以上となる必要がある。組成上の特徴は、クロムとニッケルの含有量がやや少なめとなる。Ms点の予測経験式がいくつか提案されており、それらが組成調整の目安となる。 マルテンサイト系の代表例として、"17-4PH" という鋼種が知られる。17-4PHの場合は、析出硬化のために銅が添加される。銅を多く含む微細な第二相(Cu-rich相)が母相中に析出して硬化する。他には、より高強度の "PH13-8Mo" などが知られ、これはニッケル・アルミニウム化合物が主に析出硬化を起こす。マルテンサイト系代の組成例を以下に示す。 マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼代表例の組成(数値は各元素の質量パーセント濃度代表値)鋼種名(通称)CMnSiCrNiMoAlCu対応規格17-4PH 0.05 0.5 0.3 17 4 - - 4 AISI 630ISO X5CrNiCuNb16-4EN 1.4542JIS SUS630 PH13-8Mo 0.03 0.5 0.3 13 8.2 2.2 1.1 - ASTM XM-13ISO X3CrNiMoAl13-8-2EN 1.4534 マルテンサイト系に施される固溶化処理の温度は、17-4PH が約 1040 °C、PH13-8Mo が約 930 °C で設定されている。この温度で一定時間保持した後に急冷し、マルテンサイト化させる。固溶化処理後は時効処理が行われる。時効処理は「H処理」とも呼ばれ、時効処理温度を華氏で表した数値とともに熱処理条件を指定する記号が用意されている。例えば、579 °C (1075 °F) で4時間保持して空冷する時効処理は、"H1075"と指定される。
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