析出硬化系ステンレス鋼とは? わかりやすく解説

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析出硬化系ステンレス

読み方:せきしゅつこうかけいステンレス
別表記:析出硬化系ステンレス鋼

析出効果時効硬化処理)によって硬度高められステンレス鋼SUS630、SUS631、SUS632J1など。ステンレス鋼種類としては、析出硬化系ステンレスの他にマルテンサイト系ステンレスオーステナイト系ステンレス、オーステナイト・フェライト系ステンレスなどがある。

析出硬化系ステンレス鋼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 07:10 UTC 版)

析出硬化系ステンレス鋼(せきしゅつこうかけいステンレスこう)とは、特定の元素を添加して析出硬化を起こし、高強度化・高硬度化させたステンレス鋼の一種である。析出硬化型ステンレス鋼とも呼ばれる[2]。英語名は precipitation hardening stainless steelPHステンレス鋼とも呼ばれる[2]。ステンレス鋼の金属組織別分類の一つで、他には「フェライト系ステンレス鋼」「マルテンサイト系ステンレス鋼」「オーステナイト系ステンレス鋼」「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」がある[3]。ステンレス鋼の中では、析出硬化系ステンレス鋼は耐食性をそれほど落とさずに高強度・高硬度を実現させた特徴を持つ。


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析出硬化系ステンレス鋼

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ステンレス鋼」の記事における「析出硬化系ステンレス鋼」の解説

詳細は「析出硬化系ステンレス鋼」を参照 析出硬化系ステンレス鋼とは、アルミニウムといった元素添加して母相析出させ、析出硬化呼ばれる材質硬化現象起こして用いステンレス鋼である。一般的に使われている析出硬化系母相種類は、オーステナイトマルテンサイト2つである。硬化起こす微細な析出物母相中に分散現出させて、析出硬化起こす析出物自体は、光学顕微鏡では視認できず、電子顕微鏡などを使って確認できるレベル大きさである。 ニッケルも主要合金元素として含むため、析出硬化系はクロム・ニッケル系ステンレス鋼一種分類される析出硬化系代表例が「17-4PH」と呼ばれるマルテンサイト母相とする鋼種で、クロム17 %ニッケル約 4 % を含み析出硬化元素として約 4 % を含む。析出硬化系母相種類性質に応じて細分され、「マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼」「セミオーステナイト系析出硬化型ステンレス鋼」「オーステナイト系析出硬化型ステンレス鋼」の3つ一般的である。

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