コルト社製
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シビリアンモデル(民間販売型) コルト社の民間販売モデルは、基本的にガバメントモデル、コマンダーモデル、ナショナルマッチモデルの3種類である。 ガバメントモデルは、基本的に軍用モデルと同仕様。 コマンダーモデルは、銃身およびスライドを4.3インチに短縮し、ダストカバーおよびグリップセーフティの先端部も短くされている。撃鉄は角型からリング型に改められ、携帯の際に衣服に引っかからないよう工夫された。 ナショナルマッチモデルは標的射撃競技仕様で、特に精度の高い銃身が組み込まれ、他の部品の組み立て精度が高い。第二次世界大戦前のモデルは外見的には刻印以外はガバメントモデルと同一仕様であったが、戦後モデルになると、コルト社純正の可動照準器であるアクロサイトが装着された。 コルトMk.IV SERIES 70/SERIES 80 純正の民間用M1911で、現行モデルはMk.IV(マーク4)シリーズ80型である。戦後には安全対策などを目的に数回のモデルチェンジが行われており、1970年-1983年まではMk.IV(マーク4)シリーズ70、1983年からはMk.IV(マーク4)シリーズ80が護身用・競技用それぞれのモデルで販売されている。 Mk.IV(マーク4)シリーズ80には、当時の主流となっていた「オートマチックファイアリングピンブロック」(AFPB)と呼ばれるインターナルセーフティが新機軸として組み込まれ、マニュアルセーフティ、グリップセーフティに加えて3重の安全装置を有することになった。これは、トリガーのリリースに伴い作動する方式であるため、以前の型と比較してトリガーにかかるテンションが大きくなり、繊細な操作を要求される保守派の競技射手からは不評を買った。このため、競技銃に改修されるベースガンとして、中古となったシリーズ70の人気が上昇してプレミア価格がつく事態が起きた。そのため、一部の社外品M1911クローンでは、AFPBの解除をトリガーではなく、グリップセーフティと連動させている。 また、改良によって大型化したフロントサイトであるが、コルト製のものはステーキ・オンと呼ばれる取り付け方法(スライドに穴を開けて差込み、かしめる)が以前と変わっていないため、射撃時の反動・衝撃で吹き飛び、紛失する現象がしばしば生じる(もちろん、社外品や別メーカー品では取り付け方法を変更して対策している物が多い)。装弾数は8発に増えている。 なお、現在でも復刻版のSERIES 70がM1991A1などと並行して販売されている。 コルト ゴールドカップナショナルマッチ 戦前からある射撃競技仕様のナショナルマッチモデルがSERIES 70以降、ゴールドカップモデルとなった。 主な外見上の仕様は、リブ付のスライドカバーにイライアスン可動リアサイトとパートリッジ型のフロントサイトが装着され、引き代が調整できるワイドサイズのトリガー、ストレート型のメインスプリングハウジングが標準装備、グリップ部前面には7本のグルーブ(滑り止めの溝)が彫り込まれている。内部機構としては、高い精度の銃身が組み込まれ、各部品の組合せ精度も熟練工の手により、高精度で組み上げられている。また、トリガーとシアの間にディプレッサーが組み込まれ、標的射撃に向いたトリガープルを持つ。コルト・パイソンに並んで、コルト社最高級モデルである。 これは、映画『コブラ』でシルヴェスター・スタローン演じるコブレッティ刑事が、白いグリップにコブラの紋章を入れてカスタムしていた銃でもある。 コルトM1991A1 名称からも分かる通り、コルト社が1991年に発売したモデルで、黒いプラスチックグリップが標準装備されている。フロントサイトとリアサイトが変更され、ハンマー(撃鉄)がスパーハンマーとなり、そして、ファイアリングピンロックセーフティが搭載されて暴発の危険性が極めて少なくなった。トリガーやハウジングがプラスチック製に変更されている。ラインナップには3.5インチ銃身(オフィサーズモデル)や4.25インチ銃身(コマンダーモデル)のコンパクトモデルも存在している。コルトM1991A1コンパクト コルトM1991A1の短縮型。銃身の長さは3.5インチ、装弾数は6+1。 現在、3.5インチ銃身のオフィサーズ系モデルは廃盤となっている。 コルト コンバットコマンダー 1971年に護身用として発表されたM1911の短縮型(4.3インチ銃身)である。原型となったコマンダーモデル(1949年に登場)ではアルミ合金が使われていたが、耐久性に難があり、スチール材に変更された。「コマンダー」とは指揮官のことで、その名称からも分かる通り元々は高級将校向けに設計された。コルト オフィサーズ/ディフェンダー コンバットコマンダーを更に短縮したモデルで、最初に発売されたのは3.5インチ銃身を持つ「オフィサーズ」である。1996年からは銃身の長さが更に0.5インチ縮められ3インチとなった「ディフェンダー」が発売された。 現在はディフェンダーと並行して「ニューエージェント」という3インチ銃身のモデルもラインナップされている。 デトニクス社が「コンバットマスター」というそっくりなモデルを製造しており、日本ではこれが「コルト・デトニクス」と間違って呼ばれることがある。 M15ジェネラル・オフィサーズ 1972年にアメリカ軍の将官用モデルとして制式採用されたモデル。スライドは「オフィサーズ」の3.5インチ銃身、フレームがフルサイズ。 コルト・ダブルイーグル 1991年に登場したM1911のダブルアクションモデル。 シングルアクションの既存フレームを流用し、無理矢理ダブルアクションメカニズムを組み込んだ感があり、機構の一部をグリップパネルで固定するなど不完全さが残るモデル。「ダブルイーグルオフィサーズ」という短縮型も発売された。しかし、FN ブローニング・ハイパワーのダブルアクションモデルである「ハイパワーDA」と同様、商業的には成功しなかった。 コルト・ソーコム・プロト(コルトM1911A2) アメリカ特殊作戦軍(SOCOM、ソーコム)の依頼を受けて作られた試作銃。 コルト・ダブルイーグルをベースに、ロータリーロックバレル、装弾数12発に延長されたマガジンハウジング(グリップ)、左右両側についたマニュアルセーフティ、レーザーサイトなどが装着可能な着脱式のダストカバーマウント、ワンタッチ着脱式ナイツ社製消音器が特徴。ヘッケラー&コッホ社が開発したMARK 23と競合して敗れた。 コルト・デルタエリート 1987年に新口径として10mmオート口径の本モデルが発売されたが、マグナム弾並みの高圧弾薬であったために強度の低いM1911のフレームが耐えられずに破損事故が相次ぎ、短期間で製造中止となった。現在の情報ではコルト社は本銃の再生産を決定しており、幾つかの仕様変更を加えているものの、基本的な形態は変化させていないようである。 ラバーグリップを標準装備しデルタマークのメダリオンが付属しており、他の.45口径との差別化を図った。ハンマーもリングハンマーに変わるなど時代に合わせた仕様になっていた。「デルタエリート」と称するが、米陸軍のデルタフォースをイメージしただけの名称に過ぎず、無関係である。 コルト380ガバメント .380ACP弾を使用する。「.380オート」と呼ばれることもあるが、コルト.32オートやコルト.25オートとは全く別の銃で、M1911のスケールダウンモデルである。 M1911の現行モデルにも.38口径は存在するが、.380ACPとは異なる.38スーパーを使い、フルサイズのフレームを使う別モデルである。 M1911と同系統でありながら小型軽量で携行性が高いためにアメリカでは護身用として人気があり、短銃身と装弾数を減らして更にサイズを小型化した「マスタング」モデルはコンシール(秘匿)キャリー向けというジャンルの先駆けとなった。ストレートブローバックでも問題なく撃てる.380ACPを使用しながらショートリコイル機構を持つため、リコイルスプリングが弱く(手動でのスライド後退がしやすく)なっている。 現在は唯一「.380マスタング ポケットライト」という「マスタング」モデルの改良型が販売されているのが確認できる。 M45A1 CQBP 下記のM45 MEU(SOC)の後継としてアメリカ海兵隊のアメリカ海兵隊特殊作戦コマンド(MARSOC、マーソック)の要求で製造されたモデル コルトのレールガンをベースとしてフレームには新たにM1913 ピカティニー・レールを搭載しており、光学機器(フラッシュライト)の搭載が可能。グリップはG10素材でできており、照準器はトリジコン製のノバック3ドットナイトサイトである。海兵隊向きの拳銃であるが、民間にもM1070 CQBPとして販売されている。
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