その他の課程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:29 UTC 版)
「アメリカ陸軍特殊部隊群」の記事における「その他の課程」の解説
上記に示したものは特殊部隊に入隊するための課程であるが、既に何年もの実務経験を積んだ隊員を対象としたより高度な課程も開設されている。 特殊部隊上級下士官課程 これは1994年10月3日まで「特殊部隊作戦・情報課程」と呼ばれていたもので、参加できるのは3年以上の実務経験を持つ2等軍曹以上の隊員である。これを修了すると、Aチームを運営するために必要な各種情報分析などを行う情報/作戦補佐下士官、さらに経験を積めばチーム内の下士官達を束ねて指揮官を補佐する立場であるチーム/作戦下士官になることができる。また、将来的にAチーム副官である准尉を希望する隊員にとっても必須の課程である。 この課程では指紋の解読、写真撮影、潮流を含めた一般気象知識、物資の事前隠蔽、薬莢の刻印解読、行軍などの速度判断、分隊規模から師団規模までの作戦展開手順、降下作戦、収集した情報の分析、教材作成などAチームが単独または現地勢力と共に敵支配地域内で継続的活動を行うために必要な全ての知識と技術の習得を目的としている。また、交戦中あるいは敵地潜伏中に重傷または重病のため任務遂行に支障をきたす隊員が出た場合、その抹消を決断し、実行するのも上級下士官の役目である。 特殊部隊准士官技術証明課程 特殊部隊内で准士官になる場合は少し特殊である。基本的に特殊部隊は准士官の新規採用を行っていないため、まずは下士官として入隊し、経験を積んで准士官への昇進を希望しなければならない。その場合の条件は以下の通りである。 2等軍曹以上の階級であること いずれかの特殊部隊MOSを保有していること 最低3年間以上はAチームで勤務していること 国防語学適性テストの成績が85ポイント以上、または国防語学熟練テストにおけるリーディング/リスニングの成績がそれぞれ2ポイント以上であること 特殊部隊上級下士官課程を修了していること 現在所属している特殊部隊グループのAチーム指揮官、中隊長、大隊長、グループ司令官のいずれかの推薦状を保有していること(他の特殊部隊准士官からの推薦状を添えるとなお良し) 上記の条件を満たし許可が下りた者は陸軍の実施する基礎准士官課程に、続いて特殊部隊准士官技術証明課程に参加する。この課程では指揮官を補佐する立場として必要な幕僚業務、心理作戦、民事活動、海外地域特有の文化や言語の知識、中期および長期作戦計画の管理、運用計画と目標データの開発と更新、どんな物理的環境下でもチームを運用するためのノウハウなど特殊部隊の戦術的/技術的なエキスパートとして相応しい事柄を学ぶ。 特殊部隊軍事自由降下課程(4週間) 軍事自由降下学校へ送られ、HAHO/HALO技能を習得する。課程前半の2週間は「グラウンド・ウィーク」と呼ばれ、訓練生はフォートブラッグの訓練施設内で航空機から降下する際の基本的な要領、垂直落下中に姿勢を安定させる方法、高高度が人体に及ぼす影響などを学ぶ。後半2週間は広大な敷地を有するアリゾナ州ユマ実験場へ移動し、完全装備での降下、夜間降下、集団降下など実際の降下訓練を行う。この課程を修了した者には軍事自由降下パラシューティスト徽章が与えられる。 特殊部隊戦闘潜水員資格課程(6週間) フロリダ州キーウェストにある特殊部隊水中作戦学校へ送られ、SCUBAやドレーガーなどの潜水装備を用いた水中作戦技能を習得する。訓練生は昼夜における水中航法技術、水中における探索と回収、潜水艦からの出入り、船底からの潜入方法などを学ぶ。この課程を修了した者には特殊作戦ダイバー徽章が与えられる。 特殊部隊潜水医療衛生技能課程(3週間) この課程では潜水中の負傷や病気への対処法を習得する。訓練生はヘリコプターによる海難救助、負傷者の搬送中における怪我の処置や減圧処理などを学ぶ。 特殊部隊戦闘潜水監督員課程(3週間) これは経験豊かな戦闘潜水員向けのものであり、参加するにはまず特殊部隊戦闘潜水員資格課程を修了する必要がある。この課程では潜水活動や水中作戦の計画立案と実行のために必要な技能を学ぶ。この課程を修了した者には特殊作戦潜水監督員徽章が与えられる。 特殊部隊上級偵察・目標分析・開拓技能課程(8週間) 敵支配地域の潜入と脱出、さらにその中における隠密偵察技術などを学ぶ。 特殊部隊狙撃兵課程(6週間) 特殊作戦目標捕捉課程とも呼ばれ、特定目標に対する追跡捜索法、スカウト/スナイパー(斥候狙撃)技能などを学ぶ。 特殊部隊上級都市型戦闘プログラム 市街地における高度で専門的な戦闘技術を学ぶ。このプログラムを立案したのは、1999年5月に当時の特殊部隊コマンド司令官を務めていたWilliam G. Boykin准将である。彼は過去、デルタフォース司令官を務めていた際に経験したソマリアでの出来事を教訓としてこのプログラムを立ち上げた。
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