AEカメラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/29 10:16 UTC 版)
AEは、大別して、
がある。
種類別分類
AEの方式は、露出の2大要素である「絞り」と「シャッター速度」のうちどれをカメラに自動制御させるかによっていくつかの方式に分かれており、これを「露出モード」という。 一般的に採用されている露出モードは以下の通りのものがある。
シャッター速度優先自動露出
S/Tv モード、あるいはシャッター優先オート、シャッター速度優先AEとも言われる。設定したシャッター速度を基準とし、そのシャッター速度に応じて絞りを自動的に変える事で適正な露出値を得る。被写界深度よりも露光時間による効果を重視する場合、あるいは手ブレを防止したい場合に有効である。
一般的な使用例
- 高速シャッターを使用し、動体を止めて撮影する場合 - スポーツ、自動車・航空機、動物・野鳥、水しぶきなどの撮影。
- 高速シャッターを使用し、手ぶれを防止する場合 - 自動車の車内、艦船の船内、不安定な岩石の上、揺れの激しい場所などでの撮影、望遠レンズによる手持ち撮影、撮影者が激しく動きながらの撮影など。
- 低速シャッターを使用し、流感・軌跡などの表現をする場合 - 噴水・川・滝などの流れ、自動車・列車・艦船・航空機・遊園地のアトラクションなどの移動照明による軌跡、歩いている人の動感表現など。
- 低速シャッターを使用し、流し撮りをする場合。
絞り値優先自動露出
A/Avモード、あるいは絞り優先オート、絞り優先AEとも言われる。設定した絞りを基準とし、その絞りに応じてシャッター速度をAE機能が自動的に変える事で適正な露出値を得る[3]。絞り値を調節し、被写界深度を意識した撮影をする場合に有効である[3]。
一般的な使用例
- 絞りを開けてポートレート撮影 - 被写界深度を浅くすることで背景をぼかして被写体を浮き立たせる効果がある。
- 絞りを開けて暗所での手持ち撮影 - シャッター速度が速くなるため手ブレしにくくなる。
- 適切な絞り調節による接写
- 絞りを絞ってパンフォーカス撮影 - 被写界深度を深くすることで画面全部にピントが合っている状態にする。
プログラム自動露出
Pモード、プログラムオートとも言われる[4]。シャッター速度・絞りの両方を一定のプログラムを元にして割り振ることで、適正な露出値を得る[4]。あらかじめ決められた絞り・シャッター速度の組み合わせをグラフにしたものをプログラムライン図という。絞り・シャッター速度の中間的な露出をすばやく決めたいときに有効である。
一般的な使用例
プログラム露出の方式は2種類存在する。一つは、あるEV(フィルムに対する明るさ)に対して1つのシャッター速度と1つの絞りが決まっている方式で、もう一つはEVが同じになる絞りとシャッターの組み合わせを自由に変更できる方式である。前者はシャッター機構を簡単に作ることができ、複雑な操作も不要になるため現在のコンパクトカメラなど初心者向けのカメラではもっとも一般的な露出機能である。後者は高度な写真表現を可能とするが、機構はほかの露出モードやマニュアル露出と同様のものを必要とするため、他の露出方式とともに一眼レフカメラに搭載されることが多い。後者の方式において、絞りとシャッター速度の組み合わせを変えることをプログラムシフトと呼ぶ。
なおプログラム自動露出機構は、24×36mm(ライカ)判コンパクトカメラ、24×36mm(ライカ)判一眼レフカメラ、110フィルム用カメラ、デジタルカメラ以外にはほとんど搭載されない。
現在の24×36mm(ライカ)判マルチモードAF一眼レフカメラやデジタルカメラでは、このプログラム露出の発展型として、多数の露出プログラムを用意し、カメラが撮影シーンや使用するレンズなどに合わせて最適な露出プログラムを自動選択するマルチプログラム、撮影シーン(スポーツモードや夜景モードなど)に合わせ最適化したシーン別全自動プログラム露出、さらに通常のプログラム露出モードとシーン別プログラム露出を自動選択する自動シーンセレクターを搭載する機種も多い。
シャッター速度&絞り値優先AE
デジタルカメラはフィルムカメラと異なりISO感度を自由に設定できる特徴を持つ。そこで、撮影者がシャッター速度と絞り値の両方を任意に設定し、ISOのみをAE機能が自動的に変える事で適正な露出値を得る。
TAvモードとも呼ばれる。
感度自動設定
近年のデジタルカメラでは、シャッター速度と絞り値をマニュアルで設定すると、感度が適正露出になるよう自動設定される、というモードを備えるものが現れている。従来プログラムオートモードのみで有効だった自動感度調節(主に暗い場所で自動的に感度を上げる目的)がマニュアルモードでも有効にできる、別の新しいモードが追加されている、など今のところ方式はメーカー・モデルによりまちまちである。
TTLフラッシュ自動露出
それまで機械式フラッシュ自動露出機能として使われていたフラッシュマチックに替わり、フラッシュ撮影を完全自動化するために開発されたフラッシュ撮影専用の露出モードである。このモードを使用するにはフラッシュ側もTTLフラッシュ自動露出に対応している必要がある。 このAEでは、撮影前に一度フラッシュを発光して、実際のフラッシュ使用時の明るさを測り(プリ発光)、その後実際の発光・撮影が行われる。
深度優先AE
深度優先AE(しんどゆうせんエーイー)は、被写体との任意の2点を測ることで、被写界深度を優先させて、絞り・シャッター速度を自動調節するAE機能である[5][6]。任意の2点、最遠部と至近部の距離の浅さ・深さで、被写界深度を決められる[6]。1987年(昭和62年)3月1日にキヤノンが発売したキヤノン EOS 650で、初めて採用した[6]。その後、自動的に深度が深くなる自動深度優先AE(じどうしんどゆうせんエーイー)が開発され、同社が製造販売するデジタル一眼レフカメラに搭載している[6]。被写界深度優先AE(ひしゃかいしんどゆうせんエーイー)とも[5]。
自動露出に関連する機能
AEロック
TTL露出計内蔵式のAEカメラにおいて、各AE機能によって得た適正露出値、つまり シャッター速度 と 絞り値 を一定時間中固定(ロック・記憶状態)させる機能である。「メモリー・ロック (Mロック)」、「像面光量ロック」とも呼ばれる。
この機能を使った主なテクニックの一例として、絞り値優先自動露出モードにおいて、適正露出を得るのに厳しい撮影環境、つまり撮影フレーム内にて光量差の大きな被写体が混在するような状況などで、スポット測光で被写体の中の適正露出を得やすい、光の反射率の色(緑、青など)や経験にて適正補正値を把握している箇所を測光し、AEロックによって一時的に露出値を固定させて撮影者がその間に記憶し、再フレーミングしてからスポット測光によって得た露出値を加味して撮影する、などの使用法が考えられる。カメラの機種によって、専用ボタンが設けられているもの、シャッターボタン半押し状態でロックされるものや、またAEロックされた状態を機能解除するまで続行可能なものなどがある。
露出補正機能
自動露出で得た露出値が、必ずしも適正な露出値ではない場合がある。また、意図的に露出を外す撮影をする場合もある。そうした場合に、専用のダイヤル、あるいはボタン操作によって、より撮影者の意図に沿った露出を容易に実現する機能である。
オートブラケット機構
AEカメラと同じ種類の言葉
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