麻雀牌 材質

麻雀牌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 13:45 UTC 版)

材質

日本で一般的なタイプの牌であるユリア樹脂牌。

現在、日本では主にユリア樹脂、またはカゼイン樹脂製のものが一般的である(中国ではアクリル樹脂製が多い)。ユリア樹脂製の牌では、通常、重量を増やすために中にが埋め込まれている。また、自動卓用の牌においては、牌の表裏を揃えるために磁石が埋め込まれている。

また、珍しい材質としてガラス真鍮アルミニウムヒスイ象牙メノウ純金、金メッキ、シェル(貝殻)などで作ったものがある。ガラス製のものは透明ながらも裏から見ると牌の種類が判別出来ないように工夫されており、紙製のものは麻雀牌の図柄が印刷されたカード型のものが出回っている。また、紙製カードの裏面をマグネットシートに加工しているタイプも存在する。

歴史

麻雀の用具は骨牌を始祖としており、古くは牛骨、鯨骨のものが主流であった。骨牌の背はであった(これを竹牌と呼ぶ)が、竹牌は欠けやすく、牌ごとに木目が微妙に異なることから、ガン牌ができる懸念もあり、昭和後期頃に、ねり牌と呼ばれるプラスチック製が普及しだすと衰退した。現在では職人もいなくなり、国内での骨牌・竹牌の生産は途絶した。プラスチック牌も様々な素材が試され、主に耐久性の点で現在の材質に落ち着いた。

全自動卓では、前の局の競技中に全自動卓内で次局の山が積まれるため、ひとつの全自動卓において背の部分の色が異なる2組の牌(緑の組と青の組、青の組と黄色の組など)を使用し、間違いや不正を防止している。

牌の大きさ

現在、日本で主に使われている牌の大きさは、縦26mm×横20mm×厚み16mm 程度である。全自動卓などでは、縦28mm×横21mm×厚み16mm〜縦30mm×横22mm×厚み17mm牌が使われていることが多い。通常、牌の縦横比は4:3である。麻雀牌は、製造年代や製造業者によってわずかに大きさが異なる。全自動卓用の牌は、手積み用の牌よりも若干牌や図柄が大きいものが多い(見やすいため)。歴史的には、牌は少しずつ大きくなってきている(見やすく扱いやすく、またイカサマを防止するために「隠しにくく」)。

中国香港などで一般的に使われている麻雀牌は、日本の牌の1.5〜2倍くらいの大きさがある。日本ではこれをゲタ牌と呼んでいる。大きいものでは、ゲタ牌よりももっと大きい牌もある。小さい牌は、普通の牌の半分〜1/3の大きさのミニ牌がある。



デザイン

香港・台湾・広東タイプ。日本で流通している牌のデザインに近いタイプ。一索・白・發 (旧字体)・花牌のデザインが異なっているが、他は同じ。
日本関西フォントの牌。赤牌・花牌・ドラ白を含む。
日本関東フォントの牌。九州タイプのドラ白を含む。
日本の牌。孔雀の羽の色は絢爛で。花牌8枚を含む。
欧米製の牌には数字やアルファベットが振ってある。
広東タイプの手彫り牌。
中国重慶タイプの牌。
海外の骨董品。花牌のデザインが独特である。風牌にアルファベットが書かれある。
海外の骨董品。数牌にアラビア数字が振られている。

麻雀牌のデザインは、大まかには以下の紹介における画像と一致する。 ただしこれは中国風のデザインであり、他にもいくつかのバリエーションがある。

  • 日本や欧米で使われている牌では、五萬の「五」はにんべんの付いた「伍」の字が一般的である。
  • 三元牌の白は、日本では無地のものが一般的であるが、日本以外ではフレームのようなものが書かれているのが一般的である。一部の牌では文字で白と書かれていたり、フレーム・縁どりのようなものが書かれていることもある。特に牌全体が同一色になっている特殊な牌セットでは、牌の背も牌の腹も無地だと表裏の区別が付きにくいため、牌の腹になんらかの加工が施されている。

子+矢の發
  • 三元牌の發の字は、文章中および画像では旧字体の「發」を使うことが多いが、日本国内で製造・流通している麻雀牌では「」の部分を「」に変えた異体字[注 1]」を使うことが多く、「」の部分を「」に変えた異体字「」を使うこともある。旧字体(繁体字・正体字)の「發」は現在でも香港や台湾などで使われている字体で、簡体字を使用している中国大陸でも国内で使用される麻雀牌では「發」を使用している。
  • 八索は、「上がW形、下がM形」の配置が一般的だが、誤って逆の「上がM形、下がW形」の配置になっているものも存在する。また、一部には「米」の字型や「×」字型のデザインも存在する[1]

  • 一索のデザインは、日本では通常孔雀がデザインされているが、国・地域だけでなく、製造業者によっても千差万別である。骨董品の中にはといった別の鳥類がデザインされているものもあるほか、タケノコがデザインされている稀少品も存在する[1][2]。右に一索の図案の例の一部を示す。
  • 花牌のデザインも国・地域によってバラエティに富んでおり、例えばシンガポールでは、春夏秋冬・梅蘭菊竹の花牌8種の他に、「ムカデ」「ネコ」「ネズミ」「ニワトリ」がデザインされている花牌(Animal Tiles)が使用される[3][4]。(#花牌の節も参照のこと)
  • 欧米の牌には、普通インデックスが付されている。これは風牌の漢字・萬子の漢数字を識別するのが難しいためで、右の画像に見る通り、牌の左肩にアラビア数字やアルファベットが振られている。東はEastのE、南はSouthのS、西はWestのW、北はNorthのNである。
  • 筒子の丸のデザインは、国・地域だけでなく、製造業者によっても千差万別である。日本の牌では、筒子の丸の内側の模様は5回対称(回転対称)のものが多い。以下に一筒の丸の図案の例の一部を示す:
  • 一筒にトランプの「関税エース」のようにメーカー独自の意匠(トレードマークなど)が施されているものもある。
  • 現在までに、花札柄やキャラクターものや宇宙や骨董品のレプリカなど、様々なデザインの牌が作られている。
  • また、材質から変更してデザインされた牌もある。牌全体が黒い材質で作られた「ブラック牌」と呼ばれる牌セットは少なくとも1970年代にはすでに登場し、これは1990年代の後半に雑誌近代麻雀竹書房)の読者プレゼントとして有名になった。[5][6]。過去には、全て赤、白、青、緑、茶色などの牌も作られている。また、透明な麻雀牌も存在し、麻雀牌専門店の市川屋[7]が2003年に透明牌・三透牌(鷲巣牌 アカギ 〜闇に降り立った天才〜より)として開発した。
  • 漢字の字体は、中国、香港、台湾では楷書体が、日本では行書体(関西フォントと関東フォント)が使われている。
  • 牌の側面については、背面の色と白の2色の層になっているが、層の境界線については、直線のものと、側面中央で白色が背面の層に飛び出ているものがある。後者はかつて牌が象牙や骨等の部分と竹の背の部分とで出来ていた(スライドさせてはめ込み、更ににかわ等の接着剤で固めていた)時代の名残を表したものである。

注釈

  1. ^ 𤼵数値文字参照:𤼵、Unicode:U+24F35 / TRON:2-63C1。追加面を表示できる環境でなければ表示できない。
  2. ^ 大隈秀夫『マージャン金言集』の中では“マージャン研究家”と紹介されている。
  3. ^ 公の2画目を取った字。数値文字参照:么、Unicode:U+4E48。この文字はJIS X 0213にて 2-1-10 の符号位置を与えられているが、JIS X 0208に含まれておらず、環境によっては表示できない。

出典

  1. ^ a b 麻雀博物館 宝物閲覧 - 様々な骨董牌が閲覧可能
  2. ^ 浅見了 幻の魚一索
  3. ^ en:Singaporean Mahjong scoring rules#Flower Tiles (general term)
  4. ^ 別冊宝島『麻雀いっぱつ読本』宝島社1997年ISBN 978-4796693097、p136に写真入りで「ムカデ」「ネコ」「ネズミ」「ニワトリ」の花牌。
  5. ^ 麻雀牌 オールブラック - Amazon.co.jp
  6. ^ 市川屋 プレミア麻雀牌 ブラック牌(「スーパーブラック牌」「オールブラック牌」のリンクからジャンプ)
  7. ^ 市川屋
  8. ^ a b c 大隈秀夫『マージャン金言集 敵に差をつける「読み」と「カン」光文社 カッパ・ブックス、1974年、17頁。ISBN 978-0276003073 に「筒子は“穴あき銭”で、索子はそれを差しておく“縄”のこと、万子は“銭の多寡”を象徴しているとの説が一般に認められている」とある。
  9. ^ 村石利夫『読めて当然?読めたら自慢!漢字力』では、「筒子」の本来の読みは「ピンズ」ではなく、「トンズ」であるとされている。ちなみに、「ピンズ」の本来の漢字表記は、「餅子」である。
  10. ^ http://www9.plala.or.jp/majan/his8.html
  11. ^ 浅見了. “麻雀学ベスト10(和書)”. 2011年8月19日閲覧。
  12. ^ 浅見了. “中村徳三郎”. 2011年8月19日閲覧。
  13. ^ a b c 大隈秀夫『マージャン金言集 敵に差をつける「読み」と「カン」』光文社 カッパ・ブックス、1974年。 p17。
  14. ^ Help:特殊文字#Unicode OpenTypeフォント





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