青 光源色としての青

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/17 18:11 UTC 版)

光源色としての青

Blue (webcolor)
  16進表記 #0000ff
光の三原色。左の円が青(ブルー)

(Blue) は光の三原色のひとつで、カラーモニターやウェブサイト上で用いられ、 (Red)・ (Green) と共に使われるためRGBと呼ばれる。この場合の青はRGB値で表すと

(R, G, B) = (0, 0, 255)

で表され、ウェブブラウザでBlueと指定したときは、16進数を用いて#0000FFとして定義される(右図)。色合いとしては日本語の「青」からイメージする色合いよりもやや紫みを帯びた濃い青色(群青色)である。

ウェブカラーとしてはさらにLightBlue、MediumBlue、DarkBlueの三色が以下のように定義されている。

LightBlue (webcolor)
  16進表記 #ADD8E6
MediumBlue (webcolor)
  16進表記 #0000CD
DarkBlue (webcolor)
  16進表記 #000080

物体色としての青

印刷技術における青

現在の印刷で使われ青はシアンと呼ばれる。プロセスカラーのシアンには最もよく使われるのは銅フタロシアニンのβ結晶であるPigment Blue 15:3で、これの分散[要曖昧さ回避]性能を高めたものが、Pigment Blue 15:4である。どちらも、銅フタロシアニン青としては緑味である。また、光の三原色の青に色合いが似た色は、シアンマゼンタでも作ることができるし、「特色」として別の色を使う方法もある。

JIS規格における青

JIS慣用色名
  マンセル値 10B 4/14
ブルーJIS慣用色名
  マンセル値 2.5PB 4.5/10

JISの規格では青およびブルーがそれぞれ定義されている。この両者の色は微妙に異なる色として定義されている。 実際の色の違いは右の表を参照。

青の色料

は太古より使用されており、現在でも重要な色素染料顔料)である。現在より遥かに高級であった古来の絵画などで、美しい紫青色を出す顔料には半貴石ラピスラズリを原料とした顔料を用いた。これは海の彼方から運ばれてきたのでウルトラマリンと呼ばれ珍重された。その後科学が発達し合成色素、合成顔料が生産されるようになった。1704年ドイツで作られた紺青(プルシャンブルー)は暗い青色顔料であり、最初の合成顔料とされているが、現在でも生産されている。青色顔料として現在最も多用されるのは、葉緑素に似た化学構造を持つフタロシアニン青であり、銅フタロシアニンであるColour Index Generic Name、Pigment Blue15:3などが上述シアンとして使用されている。なおプルシャンブルーやフタロシアニン青より明るい青色顔料としてはコバルト青(アルミン酸コバルト)やセルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロム青、コバルト-アルミ-珪素酸化物 (Oxide Co-Al-Si)、酸化コバルト-亜鉛-珪素(:Oxide Co-Zn-Si)、マンガン青、バナジウムジルコニウム青(トルコ青)等がある。

青色無機顔料

ウルトラマリン青 Ultramarine Blue

合成ウルトラマリン青
瑠璃(ラピスラズリ)

現在より遥かに高級であった古来の絵画などで、鮮烈で深い青色を出す顔料には半貴石ラピスラズリを原料とした顔料を用いた。この顔料はウルトラマリンと呼ばれ珍重された。フランス・イタリアでは海のかなたから運ばれてきた青色だったのでフランスでは「blue oltremare」と、イタリアでは「blu oltremare」と呼ばれていた。Colour Index Generic NameはPigment Blue 29である[10]

人工ウルトラマリン青 Ultramarine Blue artificial

フレンチウルトラマリンとも言われる。極めて高彩度で、いかなる顔料でもこの色は再現できない。

天然ウルトラマリン青 Ultramarine Blue natural

ラピスラズリの原石を精製しウルトラマリン(ブルー)の絵具を作る技術は12、13世紀に発達したとされる。

瑠璃 Lapis Lazuli

瑠璃(ラピスラズリ)は精製せずに用いられたこともあった。

岩群青 Mountain Blue

藍銅鉱

アズライト (Azurite) は鉱石の藍銅鉱、つまり塩基性炭酸銅より得られる天然の青色顔料である。15世紀から17世紀中ごろにかけてヨーロッパ絵画で、最も重要な顔料であったことは疑いがない[11]。緑色の塩基性炭酸銅であるマラカイトと共存していることがよくある。他の鉱物性顔料と同様、粉砕したものをよく選別した後、水洗、挽いて粉にし、水簸(すいひ)して製品とする。細かく挽くと淡色になり着色力も弱いので、かなり荒めに引く。粗粒のアズライトは紫青色をしている。絵画におけるアズライトの変色は、ニスによる見かけ上の場合が多い。変色はこの顔料は吸水してマラカイトができることがある。熱と温アルカリで黒変、酸に対しては、酢酸であっても溶解する。ただし、普通は安定している。Colour Index Generic NameはPigment Blue 30である[10]

紺青 Prussian Blue

紺青は1704年ドイツで作られた青色顔料であり、最初の合成顔料とされているが、現在でも生産されている。通常、紺青と言えばプルシアンブルーのことである。鉄青[12]、アイロンブルー(Iron Blue)[12]、プロシア青などとも呼ぶ。Colour Index Generic NameはPigment Blue 27である[10]

青色複合酸化物顔料

アルミ-コバルト 酸化物、アルミ-亜鉛-コバルト 酸化物、硅素-コバルト 酸化物、硅素-亜鉛-コバルト 酸化物などは、顔料として使用される。これらは青色を呈する複合酸化物顔料である。複合酸化物顔料 (mixed metal oxide pigment) とは、複数の金属酸化物を混合し、1000℃以上の高温で焼成した顔料である。複合酸化物顔料は着色力が小さいものの、耐熱性、耐候性に優れる。セラミックや耐熱塗料に使用される。焼成顔料 (calcination pigment) とも呼ばれる[13]

コバルト顔料

スマルト、コバルト青(アルミ酸コバルト)、錫酸コバルト、コバルトクロム青、コバルト-アルミ-珪素 酸化物、コバルト-亜鉛-珪素 酸化物などがある。

花紺青 Smalt

スマルトは最古のコバルト系顔料である。ガラス質の人工顔料で酸化コバルトを用い濃く着色した珪酸ガラスを粉砕したものである。Colour Index Generic NameはPigment Blue 32である[10]

コバルト青 Cobalt Blue

コバルト青はアルミ酸コバルトであり、絵画用としては1800年代の中ごろから好んでよく使用されるようになった。絵画用としては、含水酸化クロムの絵具などと混合し用いられ、コバルトクロム緑などより美しい緑を作る。一般的には酸化コバルト1に対し、酸化アルミニウム4-6というものが多く、コバルト含有率はそれ程高くない。Colour Index Generic NameはPigment Blue 28である[10]

錫酸コバルト Cerulean

錫酸コバルトを、ラウニー商会が油絵具等に用いたのは、1860年代になってのことである。そのときの名称が「セルリアン」であり、現在でもラウニーは「セルリアン」の名称で販売している。錫酸コバルトは透過光では緑青色になる特異な色合いの青色顔料である。英語のceruleanは「青空色」を意味する[14]。Colour Index Generic NameはPigment Blue 35である[10]

コバルトクロム青 Cobalt Chromium Blue

コバルトとクロムを含む酸化物固熔体で、堅牢性は極めて高く、絵画技法をはじめ、耐熱性を要求される分野、例えば窯業に至る広い用途を持っている。コバルトクロム緑の変種でクロム含有量が少ないもの。Colour Index Generic NameはPigment Blue 36である[10]

ケイ酸コバルト亜鉛青 Cobalt Zinc Silicate Blue

ケイ酸コバルト亜鉛青 は、コバルト-亜鉛-珪素酸化物である。紫青色の顔料で隠蔽力は高くない。重要な用途は現在のところ存在しないが、絵具における濃色コバルト青を代替している傾向にあり、「コバルトブルー ディープ」の名で顔料や絵具として流通している。Colour Index Generic NameはPigment Blue 74である[10]

コバルト-アルミ-珪素 酸化物

アルミ-珪素-コバルト 酸化物を参照。紺青と呼ばれる。

マンガン青 Manganese Blue

マンガン青は極めて赤味の少ない青色顔料である。1930年代から工業的に製造されるようになった。特異な色相を持ち、現在でも他の顔料・染料で代替できない色合いをしている。環境配慮のために現在製造されていない。Colour Index Generic NameはPigment Blue 33である[10]

青色有機顔料及び青色染料

青色を呈色する有機顔料をここでは、青色有機顔料と総称する。インディゴフタロシアニン以外に、アントラキノン系の青色顔料であるインダンスレンブルー (Pigment Blue 60[10]、Pigment Blue 64)、印刷などに使用されるアルカリブルーなどがある。インディゴ、インダンスレンブルーは建染染料である。

藍 Indigo

インディゴ

藍は植物であるから取れる青藍の色料である。現在では合成藍が存在し組成は同じである。ただし、植物である藍は微量ながら赤紫の染料も含んでいる。これを集めて赤紫に染色することも不可能ではないが合理的でない。藍は染料として認知され染色に使用されるが、顔料であり、体質顔料に定着させる等の処理をせずに顔料として使用される。Colour Index Generic NameはPigment Blue 66、Vat Blue 1及びNatural Blue 1である[10]

フタロシアニン

フタロシアニンの銅錯体

青色顔料として現在最も多用されるのは、葉緑素に似た化学構造を持つフタロシアニンである。1933年、ICI(インペリアル ケミカル インダストリーズ)社のリンステッドたちがフタロシアニンと命名、1935年に工業化され、モナストラルブルーの名で商品顔料になった。アメリカでは、1936年に別の名で取引が始まる。鮮明で着色力が非常に強く、プロシア青の倍程の着色力がある。濃色では赤味が強いが淡色では赤味が減じる。有機溶剤には溶解しない。濃硫酸塩酸以外の酸、アルカリには溶解しない。酸化剤、還元剤にも耐性がある。赤と黄の光を殆ど吸収し緑と青の光を反射するので、三色印刷に求められる、理想的な純粋の青に極めて近いものになる。絵具として商品化されたのは1936年に商品化されたすぐ後である。フタロシアニン青である銅フタロシアニン Colour Index Generic Name Pigment Blue15:3などが印刷以外でも、色の三原色のひとつという認識の下使われることがある。Colour Index Generic Nameには銅フタロシアニンのPigment Blue 15[10]、無金属フタロシアニンのPigment Blue 16[10]、銅フタロシアニンのPigment Blue 76等が記載されている[10]。他にもアルミニウムフタロシアニン等様々ある。銅フタロシアニンも無金属フタロシアニンも良く用いられる。

フタロシアニンのベンゼン環にスルホン基を導入して可溶性色素(染料)とし、金属塩を用いてレーキ化したものは、鮮明で安価なので学童用に用いられることがある。しかし、耐光性に劣り、油絵具化するとブリード(滲出)する。

フタロシアニンはフタロシアニン青に続いて開発され、塩素化銅フタロシアニンは1838年に商品化された。Colour Index Generic NameにはPigment Green 7[15]、臭素化塩素化フタロシアニンのPigment Green 36[15]、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンのPigment Green 58が記載されている。液晶テレビを含む液晶ディスプレイカラーフィルタの緑には、構成要素としてPigment Green 36が使われている。


  1. ^ 漢典-青の解釈(中国語)
  2. ^ 漢典-藍の解釈(中国語)
  3. ^ 『広辞苑』新村 出、岩波書店、1998年11月、第五版。ISBN 978-4000801126
  4. ^ 漢典-蒼の解釈(中国語)
  5. ^ 大辞泉:碧
  6. ^ 漢典-碧の解釈(中国語)
  7. ^ 『日本国語大辞典』小学館、第二版。 「青」の項
  8. ^ 青色あれこれ”. 綺陽会、色彩と色目. 2011年9月10日閲覧。
  9. ^ 『東北学 Vol.6 [総特集] <南>の精神史』 東北文化研究センター 責任編集赤坂憲雄 作品社 2002年 ISBN 4-87893-471-9 pp.230 - 231
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n The Color of Art Pigment Database: Pigment Blue, PB
  11. ^ 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
  12. ^ a b 『絵具及び顔料』桑原利秀 安藤徳夫 共著 共立図書
  13. ^ 『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
  14. ^ 『ジーニアス英和辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第3版 2001/11 ISBN 4469041580 ISBN 978-4469041583
  15. ^ a b The Color of Art Pigment Database: Pigment Green, PG
  16. ^ 空はどうして青く、夕焼けはどうして赤いのですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2010年1月7日閲覧。
  17. ^ Pesic, chs.1–2.
  18. ^ 海が青く見えるのはなぜですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2009年12月28日閲覧。
  19. ^ 最相葉月『青いバラ』小学館。
  20. ^ 孔雀の羽の色も色素の色ですか?”. キリヤ化学、色と化学についてのQ&A. 2010年1月7日閲覧。
  21. ^ Pesic, p.3f.
  22. ^ パストゥロー、pp.10.12ff.
  23. ^ パストゥロー、pp.23ff.
  24. ^ Pesic, p.8.
  25. ^ 例えば、ホメロス『イリアス』松平 千秋訳〈岩波文庫〉、1992年、上巻 p.334(アキレウスの恐ろしげな武具), p.360(ネストルの美しい四脚机), 下巻 p.118(トロイエ船の黒雲のような大軍), p.269(内臓を貫かれた戦士を襲う死の黒雲)。
  26. ^ パストゥロー、p.23.
  27. ^ The Meaning of Glaukos”. Dienekes' Anthropology Blog (2003年5月8日). 2009年12月28日閲覧。 特にそこで引用されている Maxwell-Stuart, P.G. (1981). Studies in Greek Colour Terminology. 1. Leiden: Brill. 
  28. ^ パストゥロー、p.24f.
  29. ^ Pesic, p.4.
  30. ^ パストゥロー、p.26.
  31. ^ パストゥロー、p.28ff.
  32. ^ Pesic p.3f.
  33. ^ パストゥロー、p.14f.p.22.
  34. ^ The Origin of the Young God: Kalidasa's Kumarasambhava. Berkeley: University of California Press. (1985). 
  35. ^ パストゥロー、pp.16ff,19ff.
  36. ^ Pesic. p.25.
  37. ^ 『旧約聖書』出エジプト記 24:10, エゼキエル書 1:26.
  38. ^ パストゥロー、pp.50,52ff.





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