霊芝 安全性

霊芝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 02:20 UTC 版)

安全性

『神農本草経』では上品に分類され、無毒で長期連用でき、命を養うとされている。これまでの臨床報告でも、適切に経口で摂取するなら安全性は高いことが示唆されているが、3-6ヶ月の長期間服用により、めまい、口・喉の渇き、鼻水、鼻血、かゆみ、胃のむかつき、血便などの副作用が報告されている[4]。妊娠中、授乳中の安全性については十分なデータがないので使用を避けることが推奨される[4]

マウスによる動物実験では、

  • LD50 (半数致死量)

レイシの浸出液投与:マウス経口22 g/kg、マウス腹腔内38.3±1.04 g/kg [4]

医薬品等との相互作用

霊芝は抗血液凝固作用をもつので、理論的には抗血小板・抗血液凝固作用のあるハーブや医薬品を用いている人では出血傾向が高まることがある。血圧低下作用のあるハーブや医薬品とともに用いると、その作用を強め低血圧を引き起こすことがある[4]

成分

β-D-グルカンなどの多糖類ガノデリン酸などのトリテルペン[5]

霊芝の有用性

「免疫力を高める」「高血圧・低血圧を改善する」「ガンを予防および抑制」など様々な効能を謳った健康補助食品が販売されているがヒトでの有効性については信頼性のおける十分なデータが見当たらない[4]。しかし、中国や日本では霊芝には幅広い薬能があるものと信じられ、さまざまな目的に用いられてきた。その効能を裏付けようとさまざまな基礎研究が世界で行われており、培養細胞や実験動物を用いた研究では抗癌作用、免疫賦活作用、血小板抗凝固作用などが報告されている[要出典]

日本においては臨床試験は進んでいないが、中国では各種の霊芝製剤が作られており、認証を得るためにもヒトへの臨床試験が行われ、効果が確認されている。たとえば、不眠に対しては、顆粒剤を4週間服用させたところ、96%に改善効果が見られ、これにともなって食欲記憶の向上や疲労感、動悸、軟便などの軽減がみられた[6]神経衰弱に対しては、錠剤を2週間服用させたところ、88%に改善効果がみられた[7]。慢性気管支炎に対しては、1-2週間の服用での改善がみられ、特に喘息には大きな改善効果がみられた[8]。また、霊芝内服液をマウスに与えてCoγ放射線治療副作用低減効果を調べた研究[9]では、五色霊芝内服液を服用させたグループでは、対照グループに見られた脱毛や死亡がなく、脾臓リンパ球転化とインターロイキン-2分泌促進作用が認められ、白血球の減少も少なく、かつ回復も早かったとの報告がある。

鹿角霊芝収穫前(鹿角霊芝の特殊空調栽培)

栽培

栽培特性[10]
菌糸体の生育温度範囲は10-40℃、約30℃でよく成長、子実体の発生は20-30℃、最適温度は25-28℃。

広葉樹のクヌギコナラ等を使用し「原木栽培」と「菌床栽培」が行われる。原木栽培の場合、「殺菌」を行う場合と「非殺菌」の場合があり、天然環境または空調管理された上で、天然の周期にあわせ収穫が行われる。 菌床栽培の場合、「」または「袋」、「平箱」に菌床を詰めて行う。殺菌、接種後、空調管理した施設で約2ヶ月培養した後、小砂利や鹿沼土を菌床面に覆土し子実体の発生を促す。時に、空調管理を行わず、自然にまかせる方法もある。

中国では主に赤芝が人工栽培されており、流通しているもののほとんどはすでに人工栽培となっている。信州、恵州、南韓、泰山1号、大別山霊芝などの品種があり、南韓は発育が早く、年に3回収穫できるため、普及している。中国では子実体の発生温度を24-30℃とし、発生後の温度が20℃以下や33℃以上になると硬化したり死亡したりするとしている[11]。湿度は85-90%が適し、高すぎるとカビが発生する。菌糸体の生育には不要であるが、子実体は十分な光がないと分化せず、奇形となる。中国では、クヌギの葉、大豆の茎、クワの枝、トウモロコシコブミールなどを炭素窒素源として培養されている。

なお、この種の原木栽培に使用された原木はスポンジ状に柔らかくなるため、柔らかい朽木への産卵を好むクワガタムシの採卵に向く。業界では「霊芝材」などと呼ばれ市販されている。


  1. ^ 楚辞
  2. ^ 爾雅
  3. ^ 千原呉郎「抗癌剤の現状と将来.特に生薬薬理の観点から」『藥學雜誌』第108巻第3号、日本薬学会、1988年、171-186頁、doi:10.1248/yakushi1947.108.3_171ISSN 0031-6903NAID 110003648628 
  4. ^ a b c d e レイシ、霊芝、マンネンタケ - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所
  5. ^ 蒲原聖可『サプリメント事典』(平凡社、2004)p.368
  6. ^ 周法根ほか、「霊芝顆粒治療失眠症100例臨床觀察」『中国中医薬科技』2004年第5期pp309-311、2004年、中華中医薬学会、ハルピン
  7. ^ 仇萍、「霊芝片治療神経衰弱60例臨床觀察」『湖南中医雑志』第15巻第2期pp5-6、1999年、湖南省中医薬研究院、長沙
  8. ^ 北京市防治慢性支気管炎霊芝協作組、「霊芝製剤治療慢性支気管炎臨床療効観察」、『北京医学院学報』1978年第2期p104、1978年、北京医学院、北京
  9. ^ 陳小君、陳剣経、李亮平、孫艶「五色霊芝的抗輻射的防護研究」『中華放射医学与防護雑誌』1995年4月、pp122-123、中華医学会、北京
  10. ^ きのこ栽培方法 マンネンタケ 特許庁/国立国会図書館デジタルコレクション
  11. ^ 池小妹、「我国霊芝人工栽培技術研究現状」『時珍国医国薬』2005年第8期pp791~792、時珍国医国薬雑志社、黄石


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