福島智 福島智の概要

福島智

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 08:25 UTC 版)

社会福祉法人全国盲ろう者協会理事。世界盲ろう者連盟アジア地域代表。世界で初めて常勤の大学教員となった盲ろう者[1][2]

来歴

兵庫県神戸市出身[3]。生後5ヶ月で眼病を患い3歳で右目[2]、9歳で左目を失明する[2]。18歳のときに特発性難聴で失聴し全盲ろう者になる[2]。18歳までの音の記憶が残っており、自分の声を聴くことはできないが、よどみなく口で発話する事ができる。実際、講義や講演会でも発声して話している。神戸出身のため、日常生活では関西弁を話す。また、ピアノの演奏も行う。

母・令子の考案した指点字を使い、会話とコミュニケーションをはかる[3]。この指点字は全国の盲ろう者に広く知られ、盲ろう者のコミュニケーション手段の新たな選択肢となる。

1983年、盲ろう者として日本で初めて大学へ入学(東京都立大学人文学部[2]金沢大学教育学部助教授[3]、東京大学先端科学技術研究センター准教授[3]を経て、現職。

1995年手話通訳士の光成沢美と結婚(のちに離婚)[4]1996年、母親の令子とともに吉川英治文化賞受賞。2003年には、米国の週刊誌TIME誌(2003年4月28日号)で「アジアの英雄」に選ばれる[3]2005年適応障害と診断される。以後、再発を繰り返している。

2008年、盲ろう者として世界で初めて大学の常勤教員となる[2]。同年に出演したNHK課外授業 ようこそ先輩」『みんな生きていればいい』の回は、日本賞グランプリおよび「コンテンツ部門 青少年向けカテゴリー 外務大臣賞」を受賞。

2015年に本間一夫文化賞を受賞[5]。同年、20歳以上年下の指点字通訳者と再婚[4]

現在は[いつ?]、大学でバリアフリー論、障害学(Disability Studies)の研究と教育に従事する一方、盲ろう者を含めた障害者の福祉増進を目指す社会的活動に取り組む。

2022年11月4日、福島の生い立ちを描いた映画『桜色の風が咲く』が公開された[6][7]

略年譜

学歴

  • 1982年3月 - 筑波大学附属盲学校高等部普通科 卒業
  • 1987年3月 - 東京都立大学人文学部人文科学科教育学専攻 卒業
  • 1989年3月 - 東京都立大学大学院人文科学研究科教育学専攻修士課程 修了
  • 1992年3月 - 東京都立大学大学院人文科学研究科教育学専攻博士課程単位取得満期退学
  • 2008年5月 - 東京大学より博士(学術)の学位を取得(博士論文:「福島智における視覚・聴覚の喪失と「指点字」を用いたコミュニケーション再構築の過程に関する研究」)

職歴

  • 1996年7月 - 東京都立大学人文学部 助手
  • 1996年12月 - 金沢大学教育学部 助教授
  • 2001年4月 - 東京大学先端科学技術研究センター 助教授
  • 2007年4月 - 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
  • 2008年10月 - 東京大学先端科学技術研究センター教授[8]

非常勤

主な著作

関連書籍

  1. ^ “3児のママ・小雪「『お母ちゃん』慣れてないです」 黒のノースリーブワンピで魅了”. デイリースポーツ online (株式会社デイリースポーツ). (2022年11月12日). https://www.daily.co.jp/gossip/2022/11/12/0015803013.shtml 2022年11月12日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f 全盲ろうにして初の東大教授となった、福島智さんを育てた母の覚悟”. 致知出版社. 2023年1月25日閲覧。
  3. ^ a b c d e 盲ろう者から学ぶコミュニケーションの本質~スローコミュニケーションの試み/2”. 毎日新聞「医療プレミア」 (2022年5月19日). 2023年1月25日閲覧。
  4. ^ a b 毎日新聞2017.9.17
  5. ^ 本間一夫文化賞
  6. ^ 映画『桜色の風が咲く』公式サイト 2023年6月23日。
  7. ^ 『桜色の風が咲く』映画.com 2023年6月23日。
  8. ^ 教授昇任については、『学内広報』 No.1378、東京大学広報委員会、2008年10月20日、37頁。
  9. ^ 『ぼくの命は言葉とともにある』72頁。
  10. ^ 爆笑問題のニッポンの教養 | 過去放送記録 | FILE074:「私は ここに いる」 | 福島智(ふくしまさとし) | 2009年6月9日放送分”. 2010年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月15日閲覧。
  11. ^ 『ぼくの命は言葉とともにある』74頁。


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