爆発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 08:56 UTC 版)
概要
爆発とは、圧力が急激に発生したり圧力が急激に解放される結果、熱・光・音などが発生する現象であり、しばしば破壊的な影響を及ぼす。 爆発は、急激な化学反応、容器の破壊、核反応などによって起きる[1]。
東邦大学理学部は、燃焼による爆発が閉鎖された狭い室内空間で起こった場合の影響について、以下のように説明している[2]。
- 火炎が伝播
- 燃焼によって引き起こされる温度上昇によって室内の気体の体積は一気に膨張しようとする
- 閉鎖空間の圧力は急激に高まる
- 圧力に耐え切れなくなった弱い部分、例えば扉や窓ガラスが割れ、そこから一気に高圧の気体が噴出する
これらがわずかな時間で起こり、大きな被害をもたらす。
種類
石油エネルギー技術センターは、爆発の種類を物理的な爆発と化学的な爆発とに分けている。
物理的な爆発
高圧ガスが低圧の容器に流入した場合や、初めに容器に亀裂があり、容器内に充満したガスや液体の熱膨張による場合など。高圧ガス容器の破裂や蒸気爆発(爆発的蒸発)などの物理現象をさす。[3]
化学的な爆発
容器内で発熱的な化学反応が起こる場合や、急激な相変化によって吸熱的な反応が起こる場合など。たとえば、可燃性物質の燃焼、不安定物質の分解などの化学反応で、発熱を伴って急速に起こる場合には、反応熱の蓄積によって温度が急上昇して爆発を起こす。ガス爆発、粉塵爆発、蒸気雲爆発などをさす。[3]
- ガス爆発 - 爆発事故のうちで最も多い
- 粉塵爆発
- 混合爆発
専門家は、燃焼による爆発を、さらに次の二つに区別することがある[4]。
- 爆燃(deflagration)
- 膨張速度(炎の伝播速度)が音速に達していないもの。衝撃波を伴わず、被害が比較的に軽微である。
- 爆轟 (detonation)
- 膨張速度が音速を超える激しい爆発。衝撃波を伴い(時には数百mから数kmの範囲で)甚大な被害を及ぼす。
火薬学における爆薬の爆発
爆薬が爆轟現象を起こすと、化学反応が超音速で未反応部分へ伝播していく。この爆轟波は爆薬を急速に高圧・高温のガスへと変化させる。 内部から発生した爆轟波が爆薬の表面に達するとガスの急激な膨張を生じ、周囲の空気や構造物に強大な衝撃波を超音速で伝達し、空気中においては爆風となる。
元々は1866年にアルフレッド・ノーベルによって爆発を制御するダイナマイトの発明により、土木工事や鉱山開発などに活用され、間もなく戦争における兵器として使用された。爆発は化学現象である一方で物理現象でもあり、複雑に絡み合っているとされる[5]。
- ^ a b c 広辞苑 第六版【爆発】
- ^ |燃焼科学|バーチャルラボラトリ|
- ^ a b “爆発について”. 一般財団法人 石油エネルギー技術センター. 2019年8月1日閲覧。
- ^ “安全衛生キーワード 爆発”. 職場のあんぜんサイト. 厚生労働省. 2019年8月1日閲覧。
- ^ 爆発鑑定|法科学鑑定研究所
- ^ 宇治火薬製造所爆発、八百戸に被害『京都日出新聞』(昭和12年8月18日夕刊)『昭和ニュース辞典第6巻 昭和12年-昭和13年』p124 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
- ^ “中国で工場が爆発 22人死亡”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “中国・江蘇省の化学工場爆発、死者47人に 90人重傷”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “中国の化学工場でまた爆発 15人死亡”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “ロシア軍施設で爆発事故、原子力推進巡航ミサイルの可能性”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “韓国・蔚山の港でタンカーが爆発・炎上 18人負傷”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “福島 郡山 飲食店の建物で爆発 現場監督の男性死亡 18人けが”. NHKニュース. 2020年7月30日閲覧。
- ^ 高橋陽一郎『微分方程式入門』(初)東京大学出版会、東京都文京区、1988年12月15日。ISBN 4-13-062104-1。
- ^ 京都大学数理解析研究所 平成23年度数学入門公開講座テキスト 特異点解消入門
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