武蔵御嶽神社 文化財

武蔵御嶽神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/10 14:26 UTC 版)

文化財

国宝

赤糸威鎧 兜・大袖付
畠山重忠より建久2年(1191年)に奉納されたと伝える。様式上、平安時代後期の作と推定されている。鎧の正面・左脇・背面を一体に作り、右脇は脇楯(わいだて)で塞ぎ、草摺は脇楯を含め4間とした「大鎧」と呼ばれる形式のもので、兜、大袖、鳩尾板(きゅうびのいた)、栴檀板(せんだんのいた)を具備する。栴檀板の冠板を大きく作るのが特色である。大ぶりの小札(こざね)を茜染めの赤糸で威す。兜は鉢が小ぶりで、天辺(てへん)の孔が径5.5cmと大きいのが特色である。錣(しころ)は破損が激しかったため、明治の修理で取り替えられ、原品は別途保存されている。江戸時代には徳川吉宗が上覧のため江戸に運ばれ、修理もされている。明治36年(1903年)には日本美術院による修理が行われ、威毛の大部分がこの時補われている。明治の修理では化学染料で染めた糸を用いたが、結果的には自然染料よりも褪色が早かった。現状、褪色している威毛は明治修理時のもので、わずかに残る赤みの強い糸がオリジナルである。弦走韋(つるばしりのかわ)などの絵韋も大部分後補で、当初の絵韋は脇楯の蝙蝠付(こうもりづけ)などにわずかに残る。以上のように補修が多いとはいえ、平安時代後期に遡る大鎧の遺品として貴重なものである。
円文螺鈿鏡鞍 一具(鞍、鐙、轡、鞦)
鎌倉時代の作。(あぶみ)、(くつわ)、面懸(おもがい)、胸懸(むながい)、鞦(しりがい)から成る馬具一式である。鞍は前後の前輪(まえわ)・後輪(しずわ)と呼ばれる部分の外面を金銅板張りとする(ここから「鏡鞍」の称がある)。前輪・後輪の内面と居木(いぎ)の上面には一面に円文(蛇の目形)を螺鈿で表す。鐙は製黒塗りの舌長鐙である。

重要文化財

紫裾濃鎧 兜・大袖付[2]
鎌倉時代中期頃の作。威毛は1段目を白、2段目を黄、以下は薄紫から濃紫へ、裾に行くにしたがって色の濃い紫糸を用いた「紫裾濃」(むらさきすそご)と呼ばれる色目で、現存する古甲冑の中でこの色目を用いたものは稀有である。鎌倉幕府第7代将軍である惟康親王が、弘安の役に際して敵国降伏を祈願し奉納したとされるが、この伝承は明治時代以後のものである[3]。昭和26年にはアメリカ合衆国サンフランシスコにて開かれた、太平洋戦争日米講和記念展覧会に出品された。
鍍金長覆輪太刀
祭器名「隠岐院(おきのいん)」。鎌倉時代の大太刀。本尊であった蔵王権現の化身とみなされていたことから別名「権現の太刀」とも言われていた。そのため東照大権現(徳川家康の神名)と混同され、家康による奉納とされた。
黒漆鞘太刀 銘宝寿

その他

太刀 銘宝寿 正中□年正月日(重要美術品
「宝寿丸太刀」の通称がある。重要文化財の宝寿丸黒漆鞘太刀と対となっており、鎌倉時代から南北朝にかけて平泉に存在した刀匠、宝寿の銘がある。畠山重忠の奉納と伝承されてきた。しかし、(なかご)に正中(1324年-1326年)の銘があり、重忠の没後120年余り経過しているため、伝説的な伝承といわれている。また、江戸時代に紛失し、昭和に入って青梅市内で発見され御岳神社に戻されたという逸話がある[4]
鰐口東京都指定有形文化財
建武5年(1338年)に刻まれた銘文を持つ。
旧本殿(東京都指定有形文化財)
太々神楽(東京都指定無形民俗文化財
武蔵御嶽神社(青梅市指定史跡
参道の並木(青梅市指定天然記念物
神輿(青梅市指定文化財)
元禄13年1700年に徳川幕府によって修理される。装飾金具使用されている、頂上及び四重の鳳凰5個、華蔓(けまん)4個、幢幡(どうはん)4個は、室町時代のものである。

神社ではないが、東京都指定有形文化財(建造物)となっている馬場家御師住宅(個人宅)が御師集落にある。


  1. ^ 「国宝展示ケース整備に支援を 青梅・武蔵御嶽神社」東京新聞』朝刊2022年9月15日(都内面)2022年9月22日閲覧
  2. ^ 重要文化財指定名称は「紫裾濃甲冑」。学術書、図録等では「紫裾濃鎧 兜・大袖付」のように表記するのが普通である。尾崎元春「甲冑」『日本の美術』24(至文堂、1968年)p.63。
  3. ^ 山上(1974)、p.111
  4. ^ 青梅市役所秘書広報課発行『広報おうめ』No.1,152「ふるさとの文化財111」(2010年6月15日)による。参照:広報おうめ


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