日本のバス車両 車輌の大きさ

日本のバス車両

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 15:56 UTC 版)

車輌の大きさ

現在、国内のバスは一部の例外を除き路線バス用(路線バスシャーシを用いた物を含む)と高速観光バス用に分けて製造されている。また、法令により車両の大きさと重さ、乗車人員から大型車・中型車・小型車に分類している。しかし、それとは別にメーカー等が実際の大きさを基にした分類がある。

路線バス / エプロン(ランプ)バス

特大車

特大車であるメガライナー(上)・連節バス(下)と通常の路線バス車両(中)の比較

全長12 m超、または車幅2.5 m超のバスが該当する。日本では道路法の規定を超えるために公道を走行できず、特殊車両として関連機関(国道事務所など)への通行許可申請が必要になり、許可された経路しか運行できない。

15 m級の大型車には現在国産シャーシはなく、すべて輸入車である。2車体以上の連節バスも一時期は輸入車のみだったが、2019年(平成31/令和元年)よりいすゞ自動車と日野自動車がハイブリッド機構を採用した国産車を投入している。戦後都営バスをはじめ各地に導入され、都市部の復興輸送に活躍した日野・T11B 型 + T25 型トレーラーバスもこれに含まれる。

アルファリゾートが、トマム駅までのシャトル用として導入し、ナンバーの取得を目指していたネオプラン・エアライナー N940型 エプロンバスは、全長13,420 mm、全幅3,950 mmという前代未聞のサイズが災いし、ついに公道走行の認可が下りなかった。

同様に公道走行を考慮しないものに、空港内の旅客ターミナルと離れた場所にある飛行機との間を結ぶランプバスがあり、ワイドボディーの国産特大車が存在する。

大型車

全長10 - 11.5 m、車幅2.5 m のバスが該当する。ホイールサイズは、以前のものは20インチ、現在は22.5インチ。国内3メーカ全てが製造しており、基幹車種である。エルガブルーリボンエアロスターがある。日産ディーゼル(現・UDトラックス)はバスの生産から段階的に撤退する中で、指定コーチビルダー富士重工業(富士重)から西日本車体工業(西工)へ変更、その影響で富士重は2002年(平成14年)5月にバスボディの生産を終了、西工は2010年(平成22年)8月、UDトラックスのバス生産終了に合わせ、会社を解散している。

全長10 m 級(標準尺)の車両は全国的に多く見られ、11 m 級(長尺)の車両は1970年代前半までは「ラッシュバス」と称された通り、郊外新興住宅地から大都市への通勤通学輸送に多く用いられたが、その後は鉄道の整備が進んだことなどから導入する事業者は激減し、現在は北海道での採用が大半を占めている。他に車両を貸切兼用(ワンロマ仕様)とする場合や、企業学校との契約輸送用のバスにも多く使われている。11 m 級の車両は事業者によっては「大型長尺車」とも称される。

全長9 m 級(大型短尺車、9 m 大型車)は、かつて日本国有鉄道国鉄バス)で多く採用されていたが、国鉄分割民営化後は需要が途絶え、2011年12月現在は民間事業者向けにも製造されていない。事業者によっては中型車という位置付けにしているところもある。代表的な車種としてエルガLT日産ディーゼル・スペースランナーRPがある。

中型車

全長8 - 9m、車幅2.3m、定員30名以上のバスが該当する。ホイールサイズは以前のものは16、18インチ、現在は19.5インチ。国内3メーカ全てが製造していたが、現在はジェイ・バス製のいすゞ・エルガミオ日野・レインボーのみが製造されている。かつては三菱ふそう・エアロミディも存在した。

この変種として、中型車の全長を10.5mに延長した中型ロング車(別名・10.5m中型車、中型長尺車)がある。純粋な大型車に対して安価なため、近年多く製造されている。レインボーOEM車種としていすゞエルガJもあり)、エアロミディ日産ディーゼル・スペースランナーJP(UDトラックスのバス生産撤退により、2010年8月に生産終了。)が存在する。事業者によってはこれら中型長尺車の総称を「ナロー車」として区別するところがある。

いずれも、一般的にいわれる路線大型車よりもホイールベースが長い設定が多い。そのため、シャシにかかる重量の負担から、ブレーキの大型化(日産ディーゼル・スペースランナーJPのみ)やホイールボルトを6本から8本へ変更(4メーカーすべて対応・ボルト一本当たりの荷重低減)など、安全性の向上へいずれのメーカーも精力的に取り組んでいることがうかがえる。

三菱ふそうはエアロミディMKを発売していたが、2007年8月にUDトラックスからのOEM供給(エアロミディ-S)に切り替えられた。しかし、それも2010年10月のUDトラックスのバス事業撤退により打ち切られた。2011年から再びエアロミディMKを販売したが、2017年に生産終了となった。

日野は自社開発したレインボーを生産終了とし、いすゞとの統合車種であるレインボーIIに一本化された。なお、いすゞも日野からレインボーのOEM供給を受けてエルガJとして発売していたが、前述の通りレインボーの生産終了に伴い打ち切られた。2011年12月現在、中型ロング車は日本国内のメーカーすべてにおいて販売されていない。

小型車

全長7m、車幅2 - 2.3M、のバスが該当する。ホイールサイズは以前のものは15、16インチ、現在は17.5インチ。定員29名以下はマイクロバスに分類されるが、路線仕様のリエッセエアロミディMEなどは立席乗車を前提に定員30名を超えるため、マイクロバスには分類されない。なお、マイクロバスに分類されない車種のうち、2021年現在で国内生産されているのは日野・ポンチョのみ。

高速・観光バス

特大車

全長12m超、または車幅2.5m超のバスが該当する。

連接車同様国産車はなく、ネオプラン・メガライナー(全長15mの二階建てバス)が唯一の存在となっていた(廃車済)。前述のように、日本では特殊車両として関連機関への通行許可申請が必要になり、許可された経路しか運行できない。

大型車

全長12m未満、車幅2.5mのバスで、現在は国内の3社が製造を行なっている他、かつての日産ディーゼル(現・UDトラックス)製や、大宇バスなどの輸入車も現役である。

エアロバス(エアロクィーン/エアロエース=現行モデル)、セレガガーラスペースアローといった車種が存在する。いずれもハイデッカー、スーパーハイデッカーが設定されている。上高地などの乗り入れ用に全長を11mに短縮したバスも見られるが、最後まで11m車が設定されていたスペースアローの製造終了に伴い、現在は12m車のみ製造されている。

中型車

全長9m、車幅2.3 - 2.5mのバスで、2019年現在はジェイ・バスのみが製造している。小口の貸切向けなどに用いられている。大型車の全長を9mに短縮した車種(大型ベース車)は主にセレガハイデッカーショートガーラHD-9エアロエースショートタイプMMがある。車幅2.3mの中型専用車種はエアロミディMK(2007年で生産中止)、メルファガーラミオが製造されている。近年は居住性改善のため大型ベース車を導入する事業者が多い。高速道路料金は乗車定員が30名を超えると特大料金が適用されるため、大型ベース車や中型専用車種を問わず、客席を7列として最後部列を3人掛けまたは4人掛けとして、補助席をとりつけず乗車定員を29名以下にしている車両(高速料金は大型料金が適用)も多い。最後尾席が5人掛けや客席が8列の車は乗車定員が30名を超えるため高速道路料金は特大料金が適用される。

小型車

全長7m、車幅2 - 2.3mのバスで、大半はマイクロバスに分類される。観光用は、車幅2.3mの中型車の全長を7mに短縮したエアロミディMJメルファ7スペースランナー7を用いることが多い。これらは中型車と同様にハイデッカーで床下トランクを備えるものがあるが、マイクロバスの要件(車両総重量8t未満、定員29名以下)を満たすことで高速道路料金は中型が適用される。ただし、同じ車種でも個体によっては車両総重量や定員がマイクロバスの要件をオーバーして、高速道路料金は大型の適用を受ける場合もある。車幅2mクラスは日野・リエッセがある。現在、このクラスは全車種とも製造が打ち切られているので、所有する事業者は減少しつつある。

2階建てバス

客席が1階と2階の双方にあるバス。詳しくは2階建てバスを参照。

トレーラーバス

牽引自動車型バス。詳しくはトレーラーバスを参照。


  1. ^ 一部の事業者では、両開き引戸でワイドドアとした車両も導入されていた。またワイドドア車は一部を除き中央に手すりがついていたが、ワンステップバス以降では一部を除き車いす用スロープ設置のために中央手すりは省略されている。
  2. ^ ただし路線系でもポンチョは日野自動車が開発し、日野自動車のみで販売される。
  3. ^ a b 架装を終了したコーチビルダーの内、富士重工業のバス車体製造部門はスバルカスタマイズ工房となり、2011年(平成23年)3月までアフターサービス業務を続け、現在は桐生工業がアフターサービスを行っている他、西日本車体工業ボディについても西鉄車体技術がアフターサービスを行っている。
  4. ^ 車体寸法や車両総重量などを日本国内の法規の基準内に収めた、事実上の日本専用モデル。
  1. ^ a b c d e f 浅井建爾 2001, pp. 246–247.
  2. ^ 水素燃料エンジンバスの公道走行を実現
  3. ^ 東京都市大学水素燃料エンジンバスの開発に成功
  4. ^ UDトラックス社とのバス事業に関する合弁会社の設立協議交渉終了について 三菱ふそうプレスリリース 2010年10月29日
  5. ^ バス事業に関する合弁会社の設立協議打ち切りのお知らせ UDトラックスプレスリリース 2010年10月29日





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