局所凸位相ベクトル空間 例と反例

局所凸位相ベクトル空間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 17:31 UTC 版)

例と反例

局所凸空間の例

  • すべてのノルム空間はハウスドルフな局所凸空間であり、局所凸空間の理論のほとんどは、一部のノルム空間の理論を一般化するものである。半ノルムの族は単一のノルムとして取られる。すべてのバナッハ空間は完備かつハウスドルフな局所凸空間であり、特に p ≥ 1 に対するLp-空間は局所凸である。
  • より一般に、すべてのフレシェ空間は局所凸である。フレシェ空間は、半ノルムの分離可算族を伴う完備局所凸空間として定義できる。
  • 実数列の空間 Rω で、半ノルム族
    を備えるものを考える。この半ノルムの可算族は完備かつ可分であるため、その空間はノルム化可能ではないフレシェ空間である。その空間はまた、有限列に無限個の 0 を付けくわえて無限列にする自然な方法で Rω に埋め込まれる空間 Rn極限位相となることに注意されたい。
  • 任意のベクトル空間 V と、その上の線型汎函数の集まり F が与えられたとき、F 内のすべての線型汎函数を連続にしながら最も弱い位相を与えることで、V は局所凸位相ベクトル空間に作り変えることが出来る。これは F によって定められる弱位相あるいは始位相英語版として知られる。その集まり FV あるいは他の任意の集まりの代数的双対である。この場合の半ノルムの族は、F 内のすべての f に対して pf(x) = |f(x)| で与えられる。
  • 微分可能な函数の空間は、他のノルム化不可能な例を与える。ab多重指数としたとき、supx|xaDbf| < ∞ を満たすような滑らかな関数 f : RnC の空間を考える。pa,b(f) := supx|xaDbf(x)| で定義される半ノルムの族は分離かつ可算であり、その空間は完備なので、距離化可能なフレシェ空間である。これはシュワルツ空間あるいは急減少函数の空間であり、その双対空間緩増加超函数英語版の空間である。
  • 函数解析学における一つの重要な函数空間として、URn 内のコンパクトな台を持つ滑らかな函数の空間 D(U) が挙げられる。C 
    0
     
    (U)
    は一様ノルムについて完備でないため、そのような空間の位相についてはより詳細な構成が必要となる。D(U) 上の位相は次のように定義される:任意の固定されたコンパクト集合 KU に対し、台 supp(f) ⊂ K を持つ函数 fC 
    0
     
    (U)
    の空間 C 
    0
     
    (K)
    は、可算個の半ノルムの族 ‖ f ‖m := supx|Dmf(x)| を伴うフレシェ空間である(そのような半ノルムは実際にはノルムであり、ノルム ‖ • ‖m を伴う空間 C 
    0
     
    はバナッハ空間 Dm(K) である)。包含によって向き付けられ、すべての合併が U に等しいようなコンパクト集合の任意の集まり {Kλ}λ が与えられたとき、C 
    0
     
    (Kλ)
    順系を形成し、D(U) はその系の極限として定義される。そのようなフレシェ空間の極限はLF空間として知られている。より具体的に D(U) は、各包含写像 C 
    0
     
    (Kλ) ↪ D(U)
    を連続にするような終位相英語版を伴うすべての C 
    0
     
    (Kλ)
    の合併である。この空間は局所凸かつ完備である。しかし、距離化可能でないためフレシェ空間ではない。D(Rn) の双対空間は、Rn 上の超函数の空間である。
  • より抽象的に、ある位相空間 X が与えられたとき、X 上の(必ずしも有界でない)連続函数の空間 C(X) には、コンパクト集合上の一様収束の位相を与えることが出来る。この位相は半ノルム φK(f) := max{|f(x)| : xK} によって定義される(KX のすべてのコンパクト部分集合の有向集合について変動する)。X が局所コンパクトであるとき(例えば、Rn 内の開集合であるとき)、ストーン=ワイエルシュトラスの定理が適用される。すなわち、実数値函数の場合、点を分離し、定数函数を含むような C(X) の任意の部分代数(例えば、多項式の部分代数)は、稠密である。

局所凸性を持たない空間の例

位相ベクトル空間の多くは局所凸である。局所凸性を持たない空間の例には、以下のようなものがある:

このような空間は、ゼロの唯一つの凸近傍が全空間となるため、局所凸ではない。より一般に、アトムレス(atomless)な有限測度 μ を備える、0 < p < 1 に対する空間 Lp(μ) は局所凸ではない。
(この距離は可測函数の測度収束を導く。確率変数に対して、測度収束は確率収束である)。この空間はしばしば L0 と記述される。

上の例はいずれも、実数への任意の連続線型写像は 0 であるという性質を持つ。特にそれらの双対空間は自明、すなわち、ゼロ汎函数のみを含む。

  • 0 < p < 1 に対する数列空間 p は局所凸ではない。






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