安打 安打の概要

安打

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 10:17 UTC 版)

概要

地面に落ちる前に守備側の野手に捕球されなかった打球がフェアボールになり、打者が出塁することで公式記録員の判断で安打が記録される。基本的な考え方として、失策野手選択によらずに、塁上にいる走者が1つ以上進塁するか、元の塁に留まる(lk進塁義務がない場合)などしてアウトになることなく、打者が一塁に到達できた場合には、安打であると考えて差し支えない。なお、野球規則に根拠規定はないが、内野ゴロでサヨナラゲームとなった場合、安打が記録される慣例が日本にのみ存在する(詳細は内野安打を参照)。

安打で打者走者が一塁に達した後に更に次の塁への進塁を狙ったり、オーバーランして帰塁しきれずに、野手の送球でアウトになった場合は、正規に到達することができた塁までの安打が記録される(一塁に達した後にアウトになれば単打、二塁に達した後なら二塁打、三塁に達した後であれば三塁打となる)。走者の場合も同様で、走者が次塁に到達し、その後帰塁しようとしてアウトになった場合、打者が一塁に到達していれば記録は安打となる。

次の場合には安打とはみなされない。

  1. 野手の失策または野手選択で出塁したと判断された場合
  2. 打者の打球で、他の走者がフォースアウトにされた場合
  3. 明らかに安打だろうと思われる打球だったにもかかわらず、フォースの状態に置かれた走者が、次の塁を踏み損ねたためにアピールアウトになった場合
  4. 内野に位置している野手(内野手とは限らない)が、次塁に進むか元の塁に帰ろうとしている走者をアウトにした場合
  5. 打球を処理しようとしていた野手を妨害したために、守備妨害で走者がアウトになった場合

被安打

被安打(ひあんだ)とは、野球において、投手が打者から打たれた安打(単打、二塁打、三塁打、本塁打)の数を表す記録である。 被打率とは、被安打を被打数で割ったものであり、この数値が低ければ打たれにくい投手ということになる。

安打の分類

安打は、試合を動かす重要な要素であることから、場面に応じてさまざまな呼び方をされる。

打者の進塁数による分類

単打(シングルヒット)
打者が一塁に達して止まった安打。外野手の手前に落ちた打球はほとんど単打になる。
二塁打(ツーベースヒット、ダブル)
打者が二塁に達した安打。外野手の頭上を越えた打球が二塁打になりやすい。
三塁打(スリーベースヒット、トリプル)
打者が三塁まで達した安打。右中間・左中間の深いところへの打球が三塁打になりやすい。
本塁打(ホームラン)
打者が本塁まで達した安打。外野フェンスを越えた本塁打の他に、フェアの打球を処理する間に打者が走って本塁に達するランニングホームランも記録上は同じ本塁打である。
これらを1人の選手が1試合で全て達成する事をサイクル安打と呼ぶ。

走者の状況による分類

適時打(タイムリーヒット)
走者を1人以上生還させ、得点につながった安打のこと。打者には打点が記録される。

打球の勢いや落下位置による分類

内野安打
フェアの打球が内野で捕球されたが安打になったもの。
バントヒット
バントが安打になったもので、普通内野安打に含まれる(ごくまれに例外もある)。初めから打者が生きる意志があるセーフティバントの場合と、送りバントがたまたま野手の間に転がり安打になった場合とがあり、共にバントヒットと呼ばれる。
テキサスヒット(テキサスリーガーズヒット)・ポテンヒット
フラフラと上がった打球が内野と外野の間に落ちる安打。英語では単に"Texas Leaguer"(テキサスリーガー)あるいは"Texas League single"という。メジャーリーグでテキサスリーグ出身の選手にこの安打を多く打つ者がいたからであるとか、あるいはテキサスリーグで見られるような情けない安打であるからなど、語源については諸説あって真相は不明。日本では球が緩く落ちる様子が日本語の擬声語で「ポテン」と表現されることからポテンヒットの語が多用される。
強襲安打
野手のグラブ、または体に当たって地面に落ちた安打。打球の強さや野手の守備位置から、記録員が安打か失策かの決定を行う。

安打に関する個人記録

日本プロ野球

最多安打

通算記録

順位 選手名 安打
1 張本勲 3085
2 野村克也 2901
3 王貞治 2786
4 門田博光 2566
5 衣笠祥雄 2543
5 福本豊 2543
7 金本知憲 2539
8 立浪和義 2480
9 長嶋茂雄 2471
10 土井正博 2452
順位 選手名 安打
11 石井琢朗 2432
12 落合博満 2371
13 川上哲治 2351
14 山本浩二 2339
15 坂本勇人 2321
16 榎本喜八 2314
17 高木守道 2274
18 山内一弘 2271
19 大杉勝男 2228
20 大島康徳 2204
  • 記録は2023年シーズン終了時[1]

シーズン記録



















1 あきやま/秋山翔吾 216 2015年 143 せいふ/埼玉西武ライオンズ パ・リーグ記録、左打者記録、日本人枠記録
2 まあとん/M.マートン 214 2010年 144 はんしん/阪神タイガース セ・リーグ記録、右打者記録、外国人枠記録
3 いちろお/イチロー 210 1994年 130 おりつくす/オリックス・ブルーウェーブ 130試合制における唯一の200安打達成
4 あおき/青木宣親 209 2010年 144 やくると/東京ヤクルトスワローズ 最多安打以外での最多記録
5 にしおか/西岡剛 206 2010年 144 ろって/千葉ロッテマリーンズ 両打者記録
6 らみれす/A.ラミレス 204 2007年 144 やくると/東京ヤクルトスワローズ
7 あおき/青木宣親 202 2005年 144 やくると/ヤクルトスワローズ 新人記録[注 1]
8 はせかわ/長谷川勇也 198 2013年 144 そふとはんく/福岡ソフトバンクホークス
9 おかさわら/小笠原道大 195 2001年 140 につほんはむ/日本ハムファイターズ
9 かわはた/川端慎吾 195 2015年 143 やくると/東京ヤクルトスワローズ
9 あきやま/秋山翔吾 195 2018年 143 せいふ/埼玉西武ライオンズ
  • 記録は2023年シーズン終了時[2]
  • 日本人枠右打者記録は山田哲人の193安打(2014年、143試合出場、東京ヤクルトスワローズ、歴代12位タイ)
  • 外国人枠左打者記録はタフィ・ローズの180安打(2001年、140試合出場、大阪近鉄バファローズ
  • 外国人枠両打者記録はスティーブの156安打(1984年、129試合出場、西武ライオンズ)
  • 左投左打者記録は嶋重宣の189安打(2004年、137試合出場、広島東洋カープ)

その他の記録

連続試合記録
選手名 所属球団 記録 開始日 終了日
高橋慶彦 広島東洋カープ 33試合 1979年6月6日 1979年7月31日
ゲーム記録
選手名 所属球団 安打 記録日 対戦相手
大下弘 東急フライヤーズ 7 1949年11月19日 大陽ロビンス

メジャーリーグベースボール

通算記録

  • 記録は2023年シーズン終了時[3]
  • 19 - 20世紀間の記録の扱いがMLB公式サイト、Baseball Reference、ESPNなどの各サイトにより違いがある。そのために順位が前後することがある。現在MLB公式サイトの記録が公式とされている。

以下、Baseball Referenceによる記録

  • 記録は2023年シーズン終了時[4]

シーズン記録



















1 イチロオ/イチロー 262 2004年 161 マリナアス/シアトル・マリナーズ ア・リーグ記録
2 シスラア/ジョージ・シスラー 257 1920年 154 フラウンス/セントルイス・ブラウンズ
3 オトオル/レフティ・オドール 254 1929年 154 フイリイス/フィラデルフィア・フィリーズ ナ・リーグ記録
3 テリイ/ビル・テリー 254 1930年 154 シヤイアンツ/ニューヨーク・ジャイアンツ ナ・リーグ記録
5 シモンス/アル・シモンズ 253 1925年 153 アスレチツクス/フィラデルフィア・アスレチックス 右打者記録
6 ホオンスヒイ/ロジャース・ホーンスビー 250 1922年 154 カアシナルス/セントルイス・カージナルス ナ・リーグ右打者記録
6 クライン/チャック・クライン 250 1930年 156 フイリイス/フィラデルフィア・フィリーズ
8 カツフ/タイ・カッブ 248 1911年 146 タイカース/デトロイト・タイガース
9 シスラア/ジョージ・シスラー 246 1922年 142 フラウンス/セントルイス・ブラウンズ
10 イチロオ/イチロー 242 2001年 157 マリナアス/シアトル・マリナーズ 新人記録

注釈

  1. ^ 新人王資格を有した2年目
  2. ^ 19世紀を含めると上記のマット・キルロイ
  3. ^ 19世紀を含めると1881年のリー・リッチモンド
  4. ^ 同年のWHIP0.79もナ・リーグ記録
  5. ^ 同年にノーヒットノーランを達成
  6. ^ 同年のWHIP0.74はMLB記録
  7. ^ 同年のWHIP0.75は歴代2位
  8. ^ 同年にノーヒットノーランを達成、同年のWHIP0.80は歴代7位

出典



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