塔 ギャラリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 19:36 UTC 版)

ギャラリー

1. ワシントン記念塔(1848- 1884年)
2. シュエダゴン・パゴダ(6世紀に建立か)
3. 東京タワー(1957- 1958年建設)
4. 給水塔の一例
5. 航空管制塔の一例

塔と安全性

ピサの斜塔(1173- 1372年)
フォントヒル修道院(1776- 1812年)。塔は2回崩壊した。

塔はその高さのため、外部要因による思わぬ副作用や倒壊などの危険性をはらむ。

構造的欠陥

ピサの斜塔

1173年に着工のピサの斜塔(イタリア)は、地盤の弱い場所に建てられたことに原因し、建設途中に早くも傾き始めていた。

事態を受けて施工プランは変更を余儀なくされ、塔の高さは当初の予定の半分になったものの、工事が中止されることはなかった。そうして1372年不等沈下の最も顕著な例として世界にもまれなかたちで落成を見た。

ボーヴェ大聖堂

フランスのボーヴェ大聖堂(1225年 - 1300年頃)は高さ153 mという塔の建設に挑戦した。 しかし、完成して10年後に塔は自然崩壊している。

フォントヒル修道院

また、イギリスにおけるゴシック・リヴァイヴァル建築の先駆けであるウイリアム・バックフォード作のフォントヒル修道院(1776- 1812年。右の画像を参照)は、90 mの高さを持つ塔が予定されていた。しかし、工事中に塔は崩落し、バックフォードは設計ミスを認めた。結局、規模を縮小して完成を見たが、それも1825年に崩壊し、再建されることはなかった。

地震

アレクサンドリアの大灯台

先述したが、古代エジプトにあったアレクサンドリアの大灯台は14世紀頃の地震により崩壊している。 ただしこれは、1000年余の長きを耐えてのちのことであった。

柔構造

一方、日本の五重塔は地震で倒壊したという例をほとんど見ない。 これは、塔の各層が強固に結合していない、いわゆる「柔構造」を採っているため、地震の揺れに強い(対応力がある)ものと考えられている。

飛行機の衝突

ニューヨーク、エンパイア・ステート・ビルディング(1930年)
1945年に軍用機が衝突したが、建物はそのまま使用されている。

衝突の予防設備として、航空障害灯の設置がある。 日本の場合、航空法で地上面から60m以上の建物には航空障害灯の設置が義務づけられており、さらに鉄塔のような骨組み構造の構造物に関しては、点滅するランプなどによる昼間障害標識の設置も必要となる。

エンパイア・ステート・ビルディング

エンパイア・ステート・ビルディングは、1945年7月28日にアメリカ空軍の中型爆撃機 B-25 が79階に衝突する事故が発生した。原因は、濃霧による視界不良であった。B-25は目的地のニューアーク空港に向かっている途中で残りの燃料が少なかったこともあり、建物への被害が少なかった。

エンパイア・ステート・ビルディングが完成したのは1930年であり、航空機の衝突は設計上まったく想定されていなかった。

この事故を教訓に、高層建築物は航空機の衝突も想定した設計がなされるようになった。

ワールドトレードセンター・ビル

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件で、2機のボーイング767ワールドトレードセンター・ビルの南棟と北棟に相次いで突入した。 このビルは設計上、航空機の衝突を考慮されていたため、突入直後にはビルの倒壊はなかった。しかし、突入時の構造的ダメージに加え、衝突したボーイング767の残存ジェット燃料による火災で構造部材の強度が著しく低下したことにより、およそ1時間ののちに2棟とも倒壊した。

風による振動

塔が高くなると風による圧力も無視できない。また、強度上で風を克服しても、高層建築では強風によって長時間揺れ続けることが問題となった(風揺れとも呼ぶ)。

これに対応するための制振装置の導入も行われている。例えば横浜マリンタワーの最上部には、水槽が設置されている。これは「液体ダンパ」と呼ばれる装置であるが、水槽の中の水が建物の揺れに影響されて振動し、その水の振動が、打ち消すかたちで建物の揺れを抑える方向に働くというものである。

脚注


注釈

  1. ^ ただし、天守を英訳するときに tower をあてることがある。
  2. ^ 仮名転写はあくまで便宜上の表記であり、正確なものではない。以下同様。
  3. ^ 須達多(しゅだった)、須達(しゅだつ、すだつ)。常に孤独な者や貧しい者に慈善を施したため、「給孤独(ぎっ-こどく)長者」と尊称される。
  4. ^ 1970年日本万国博覧会においてこの塔は、古河パビリオン(鉄筋コンクリート製)として再現されている。
  5. ^ 後に324.0m

出典

  1. ^ a b c d 中村元編 『仏教語源散策』(第1版) 東京書籍、1977年、218-221頁(松本照敬著) :tupa の関連。塚の関連。初期仏教における塔についての記述。中国での仏塔の興り。
  2. ^ tower - Online Etymology Dictionary
  3. ^ a b c d 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、188頁。 
  4. ^ a b c d e f g h 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、50頁。 
  5. ^ a b c d e f 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、51頁。 
  6. ^ a b c 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、52頁。 
  7. ^ Claridge, Amanda 1998 Rome: An Oxford Archaeological Guide
  8. ^ a b c d e f g h i j k 堀越 宏一 「戦争の技術と社会」3.城と天守塔, 〜 15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史 ISBN 978-4-623-06459-5
  9. ^ a b c d 長さの比較資料:1 E2 m
  10. ^ cf. 律宗#日本の律宗
  11. ^ cf. 京都相国寺 - 日本の塔婆
  12. ^ a b c d e f 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、192頁。 
  13. ^ 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、192-193頁。 
  14. ^ a b 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、193頁。 
  15. ^ 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、194頁。 
  16. ^ Study for Woolworth Building, New York”. World Digital Library (1910年12月10日). 2013年7月25日閲覧。
  17. ^ 坪井善昭ほか『“広さ”“長さ”“高さ”の構造デザイン』建築技術、2007年、195頁。 






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