呼出符号 交通

呼出符号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/09 08:43 UTC 版)

交通

海上

ロシアの原子力砕氷船アルクティカ」のコールサインはUKTYである。

商船と海軍の艦船には、各国の認可機関によってコールサインが割り当てられている。リベリアパナマなどに便宜置籍船として船を登録した場合、大型船舶のコールサインは国別の接頭辞に3文字が続く(例:3LXY、場合によっては3LXY2)。米国の商船には「W」または「K」で始まるコールサインが、米海軍の艦船には「N」で始まるコールサインが割り当てられる。元々、船舶と放送局の両方に3文字から4文字のコールサインが割り当てられていたが、船舶と放送の両方のコールサインの需要が高まるにつれ、徐々にアメリカ船籍の船には文字と数字が混在した長いコールサインが与えられるようになった。

航空

航空機局は、以下のいずれかの方法で呼出符号が決められる。

  • 航空機の国籍記号および登録記号(尾翼番号や米国ではN番号とも呼ばれる)
  • 航空機運航者の電話略号の後ろに数字(定期運航便の場合)またはアルファベットを付加したもの

ほとんどの国では、不定期の一般航空便は、機体記号(尾翼番号や米国ではN番号とも呼ばれる)に対応するコールサインを使用して自身を識別する。この場合、コールサインは、 国際民間航空機関(ICAO)が定めるフォネティックコードを使用して発声される。機体記号は、国際的に割り当てられた国を表すプレフィックスの後に、文字と数字で構成される一意の識別子が続く。

ほとんどの国では、航空機の機体記号と1対1に紐付けられた無線局のコールサインがあり、航空機の無線局(さらには航空機自体)には5文字のコールサインを受信する。例えば、全ての英国の民間航空機には、「G」で始まる5文字のコールサインがある。カナダの航空機には、C-FABCのような「C-F」または「C-G」で始まるコールサインがある。カナダの地面効果翼機(ホバークラフト等)はC-Hxxxのコールサインを、超軽量航空機はC-Ixxxのコールサインを受け取ることができる。昔は、アメリカの航空機でもKH-ABCなどの5文字のコールサインが使われていたが、第二次世界大戦前には現行のアメリカ方式のコールサインで置き換えられた。

民間航空会社の電話略号はICAOが定めている。
基本的に会社名にちなんだ物(「Japan Air(日本航空)」「All Nippon(全日本空輸)」「American(アメリカン航空)」「Lufthansa(ルフトハンザドイツ航空)」など)が使われるが、ブリティッシュ・エアウェイズの「Speedbird」、チャイナエアラインの「Dynasty(王朝の意)」、南アフリカ航空の「Springbok」、エアリンガスの「Shamrock」など例外もある。また中華人民共和国では、国内の航空会社に対して独自の中国語のコールサインが別に設定されている(「国航(中国国際航空)」、「白鹭(廈門航空)」など)。

軍用機では飛行隊ごとに異なる呼出符号が用いられる。一般的に英単語の後に数字を付加するが、英単語は部隊の任務特性を表していることもあり、航空自衛隊第4航空団飛行群第11飛行隊は部隊愛称である『Blue Impulse(ブルーインパルス)』をそのまま使用、海上自衛隊でパイロットの初等練習を行う第201教育航空隊は『rookie flight(ルーキーフライト)』を使用している。また、部隊章は呼出符号の英単語と関連する図案が使用されていることも多い。

アメリカ合衆国では、大統領が搭乗している航空機は、その機体の所属に応じて「エアフォースワン」(空軍機の場合)、「エグゼクティブワン」(民間機の場合)などといった特別なコールサインが使用される。大統領専用機(VC-25)はエアフォースワンと俗称されるが、大統領を乗せていない場合はエアフォースワンというコールサインを使用しない。戦闘機のパイロットは友軍機との交信時に部隊の呼出符号ではなくTACネームアメリカ海軍ではコールサイン)と呼ばれる渾名で呼び合う習慣がある(航空管制では呼出符号を使用)。

空港と管制機関にもそれぞれ呼出符号が設定されており、航空機局から呼びかける際には空港名または航空交通管制部名を使う。呼出符号は部署ごとに設定されており航空交通管制部(Control)の他、管制塔は管制承認伝達席(Delivery)、地上管制席(Ground)、飛行場管制席(Tower)に、レーダー管制室は出域管制席(Departure)、入域管制席(Approach)に分かれている。東京管制部(Tokyo)の航空交通管制部である東京航空交通管制部は『Tokyo Control』となる[4]

宇宙

有人宇宙飛行での通信に使用されるコールサインについては、航空機のような国際的な公式化や規制はされていない。現在、有人宇宙飛行を実施している3つの国(米国、ロシア(旧ソ連を含む)、中国)では、地上と宇宙の無線局を特定するために様々な方法を使用している。米国は宇宙船の名前、プロジェクト名、任務番号のいずれかを使用する。ロシアは伝統的に、宇宙船ではなく個々の宇宙飛行士にコールサインとしてコードネームを割り当てる。

宇宙船のためのコールサインで唯一国際的に関連性を持たせているのは、多くの国が、国際宇宙ステーション(ISS)に設置されるアマチュア無線局に「ISS」のサフィックスのコールサインを発行していることである。ISSに最初に割り当てられたアマチュア無線局のコールサインは米国のNA1SSだった。その後、OR4ISS(ベルギー)、DP0̸ISS(ドイツ)、RS0̸ISS(ロシア)が割り当てられた。


注釈

  1. ^ 1934年(昭和9年)発足。それまでは1908年(明治41年)発足の「国際無線電信連合」だった。
  2. ^ 従前は「無線通信主管庁会議」(ARC)、「世界無線通信主管庁会議」(WARC)。
  3. ^ 1943年(昭和18年)9月8日に休戦。同10月13日に対ドイツ宣戦布告。1945年(昭和20年)7月14日に対日本宣戦布告。

出典

  1. ^ Radio Call Letters” (英語). U.S. Department of Commerece, Bureau of Navigation (1913年5月9日). 2021年10月4日閲覧。
  2. ^ Table of International Call Sign Series (Appendix 42 to the RR)” (英語). ITU. 2021年10月4日閲覧。
  3. ^ GB90MGY - A Special event station to honour the memory of Jack Phillips” (英語). Titanic Wireless Commemorative Group, Godalming, Surrey. 2008年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月8日閲覧。
  4. ^ エアバンドを聞いてみよう - 航空管制官”. 航空:航空管制官 公式. 国土交通省. 2020年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月11日閲覧。
  5. ^ Gernsback, H (1909-5) (英語) (PDF). First Annual Official Wireless Blue Book of the Wireless Association of America. New York: Modern Electrics Publication. オリジナルの2018-12-11時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181211130628/https://www.seas.upenn.edu/~uparc/documents/First%20Annual%20Official%20Wireless%20Blue%20Book%20-%201909.pdf 2018年8月14日閲覧。 
  6. ^ Callsign Database” (英語). QRZ.COM. 2021年10月4日閲覧。
  7. ^ Qsl Manager - Qsl Info on-line”. 2021年10月4日閲覧。
  8. ^ World Wide HamCall Callsign Server”. 2021年10月4日閲覧。
  9. ^ QSL INFORMATION by F6CYV” (英語). 2019年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月24日閲覧。
  10. ^ DXInfo, your DX web resource”. 2010年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月24日閲覧。
  11. ^ QSL Search machine by OZ7C” (英語). 2021年10月4日閲覧。
  12. ^ QSLInfo” (英語). 2021年10月4日閲覧。





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