名探偵コナン 漆黒の追跡者
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名探偵コナン 漆黒の | |
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Detective Conan The Raven Chaser | |
監督 | 山本泰一郎 |
脚本 | 古内一成 |
原作 | 青山剛昌 |
出演者 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 山口勝平 林原めぐみ 緒方賢一 堀川りょう 松井菜桜子 茶風林 岩居由希子 高木渉 大谷育江 |
音楽 | 大野克夫 |
主題歌 | 倉木麻衣 「PUZZLE」 |
撮影 | 野村隆 |
編集 | 岡田輝満 |
制作会社 | トムス・エンタテインメント |
製作会社 |
小学館 読売テレビ 日本テレビ 小学館集英社プロダクション 東宝 トムス・エンタテインメント |
配給 | 東宝 |
公開 |
2009年4月18日 2009年7月10日 2009年7月29日 2010年1月14日 2010年2月18日 2012年6月18日 |
上映時間 | 110分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 |
35億円[1][2][3][4][5][6][7] $39,664,359[8] |
前作 | 名探偵コナン 戦慄の楽譜 |
次作 | 名探偵コナン 天空の難破船 |
概要
主人公・江戸川コナンの最大の敵である黒ずくめの組織が登場するのは2001年公開の第5作『天国へのカウントダウン』以来、8年ぶり2作目となる[注 1]。
13作目と忌み数とされている13をかけて[注 2]、主人公・江戸川コナンと宿敵・黒の組織の対決を物語の軸の1つに据えている。
表題の「チェイサー」は「口直しの水、あるいは軽い酒」の意味も含んでおり、タイトルが示す通り、組織に追われるコナンと組織のコードネームである酒の名前を表現した。
本作のオープニングは尺が長くとられており、BGMはメインテーマと「ブラックインパクト」のメドレー形式で使用されている。オープニングの解説は原作のストーリーの一部[注 3]にも触れられている。オープニング映像の一部は過去の劇場版から流用されているため、ジンの髪の色が本編と異なっている。
最後の「小さくなっても頭脳は同じ、迷宮入りなしの名探偵!真実はいつも一つ!」のセリフは、今作のみ、コナンと新一が同時に発している。
TVシリーズからの劇場版初登場のキャラクターが多く、ベルモット[注 4]、キャンティ、コルン、ピスコ[注 5]、松本清長、横溝参悟[注 6]、大和敢助、上原由衣[注 7]、第10作『探偵たちの鎮魂歌』でモブ出演していた山村ミサオ[注 8]が正式に初登場を果たした。
本作の事件は京都府で起こった火災と関係しているため、服部平次と遠山和葉も『探偵たちの鎮魂歌』以来3年ぶりに、第7作『迷宮の十字路』に登場した京都府警の綾小路文麿警部は6年ぶりに再登場した[注 9]。
本作では、BREAKERZのメンバー・DAIGOが水谷浩介役で出演し、本作以降このような「スペシャルゲスト出演」が恒例となる。
本作と同じく黒の組織との対決がメインだった『天国へのカウントダウン』では連続殺人犯の様子を描いた回想シーンが見られたのに対し、本作は連続殺人犯の殺害動機や動機となる事件のシーンは、コナンと犯人の会話で語られるのみである。また、ラストは本編の内容を反映し、シリアスな終わり方で締められている。
本作以降は劇場版の公開に合わせその劇場版で活躍する人物や劇場版のテーマにちなんだエピソードが本放送枠で再放送されるようになり、公開間近の3月23日にはピスコが登場したテレビアニメ第176話 - 178話「黒の組織との再会」が再放送された。
公開から約5か月後に神谷明が降板したため、神谷が演じる毛利小五郎が登場する劇場版は本作が最後になった[注 10][注 11]。次作『天空の難破船』以降の劇場版は、2009年10月から2代目小五郎役を引き継いだ小山力也が担当している。また、2014年1月17日に加藤精三が死去したため、加藤が演じる松本清長が登場する劇場版は本作が唯一である(ただし、松本も管理職を交代して以降登場しなくなったため、後任は未定)。
本作の小説版が小学館のジュニア文庫から2013年1月9日に発売された[11]。また、第3作『世紀末の魔術師』に続いて、漫画版が2013年6月18日に発売された。
2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票で、今作は10位を獲得した[12]。
劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告は、今作でも放映された。エンディング終了後に、嵐の中の海の上を飛ぶ飛行船が映し出された後、「名探偵コナン」のロゴが浮かび上がり、字幕とともに江戸川コナン役の高山みなみの声で「劇場版名探偵コナン、第14弾製作決定!」というセリフが流れた。のちに次回作は、飛行船を舞台に怪盗キッドがメインとなる『天空の難破船』であることが発表された。
原作102巻File.2-4収録「秘密基地のメッセージ」では長野県警の大和勘助警部、上原由衣警部補が今作の事件について言及しているシーンがある。
ストーリー
東京・神奈川・静岡・長野で計6人が殺害される事件が起こった。どの現場にも縦線とアルファベットが書かれた麻雀牌が残されていたことから、同一犯もしくは同一組織による広域連続殺人事件と認定される。警視庁で各県警の刑事を集めて合同捜査会議が開かれ、特別顧問として小五郎も参加する事になった。事件のうち5件はスタンガンを使って拉致され、別の場所へ移してから刺殺されたもので、6人目の犠牲者は死の前に「七夕、きょう」という言葉を言い残していた。麻雀牌は1つが一筒、ほかは七筒で、それぞれ別の位置の丸が1つずつ赤く塗られており、被害者は所持品が1つずつ持ち去られていた。
会議終了後、コナンは山村警部が童謡「七つの子」に聞こえるプッシュ音を耳にしたことを聞く。これは黒ずくめの組織のボスのメールアドレスを示すもので、それを打った刑事がジンの車である黒のポルシェ356Aで去ったことから、コナンは捜査会議に組織の人物、おそらく変装の達人であるベルモットが紛れ込んでいたことを確信する。
七夕前日の7月6日、米花町に現れた容疑者の1人が逮捕されるが、その現場には変装したベルモットもおり、それを見抜いたコナンは彼女を追い、組織が今回の殺人事件を追う理由を追求する。ベルモットによると、被害者の中に一般人を装った組織の工作員がおり、犯人に持ち去られた所持品の中に工作員のリストが収められたメモリーカードが入っていたため、組織は警察より早く犯人を押さえてそれを取り戻す必要があるのだと言う。それを聞いたコナンは事件の捜査員の中に別の組織の一員を潜入させていると気付き、ベルモットからはコードネームが「アイリッシュ」であると教えられる。捜査会議には、警視庁や各県の顔見知りの警察官たちや、埼玉県警の荻野彩実警部らが居た。
ある人物から「犯人に心当たりがある」という通報が警察に入るが、その人物は組織や警察が到着する前に拉致されてしまっていた。犯行現場を見た佐藤刑事は、現場へ向かう途中に自動車の両輪が同時にパンクしたこともあり、犯人以外になんらかの組織が動いていることや、内通者の存在を懸念する。一方、捜査員の中に潜入したアイリッシュはコナンと新一の指紋を照合し、彼らが同一人物であるという確信を得る。
通報した人物が7人目の犠牲者として発見される中、「きょう」が「京都」と言いかけたものである可能性に気付いたコナンは平次の協力で、被害者たちが一昨年の七夕に京都のホテルで火事に遭ったことを突き止める。その火事では本上なな子という人物が死亡しており、2人はなな子がそのホテルの7人乗りのエレベータから追い出されたために逃げ遅れ、彼女の恋人であり、同じくホテルに泊まっていたものの外出していたため難を逃れた水谷浩介が復讐を図ったもので、麻雀牌の縦線はエレベータの扉、印はエレベータ内の人物配置を意味すると推理する。その後、なな子の実家を訪ねたコナンは、彼女の兄の和樹から、水谷が「許せない者が8人、まだ1人残ってます」と言っていたことを聞く。また、犯行現場が北極星と北斗七星を描いている[注 12]ことに気付いたコナンは最後の現場になる東都タワーを訪れ、小五郎も一歩遅れてそのことに気づき、警察もそちらへ向かう。
コナンは東都タワーで水谷と相対するが、なな子と水谷が好きだった星の位置を犯行現場に当てはめる理由が理解できなかったことや性格の違いから、犯人は彼ではなく、こちらもタワーに来ていた、和樹だということを見抜いていた。なな子は自発的にエレベータを譲った[注 13]のだが、和樹はそれでも火事の生還者たちや、駆け落ちした水谷を許せなかった。そこで水谷に対してはなな子がエレベータから追い出されたと嘘を吐き、なな子を救えなかった自責の念に駆られていた水谷に対し、自分が殺害を実行する代わりに罪を被ったうえで自殺するよう要求したのだった[注 14]。水谷もその計画に同意していたのだが、コナンに諭されて身代わりになることをやめ、和樹に自首を促すが、和樹は逆上してコナンに襲いかかる。そこに松本警視が現れ、コナンは彼が和樹を掴んだところに時計型麻酔銃を向けるが、針は外れて水谷に刺さってしまう。
この松本警視こそがアイリッシュの変装であり、コナンはベルモットがそのまま潜入を続けなかった理由を体格が大きく異なるため変装ができなかったためとの考えから、彼が偽物であると見当をつけていた。アイリッシュはコナンと新一が同一人物であることを掴んでいたが、ジンに対する恨み[注 15]から、コナンをボスのところへ連れていきジンを失脚させるため。[注 16]に、まだ誰にも話していなかった。コナンは逃げながらアイリッシュと戦い、タワーの外縁部に出るが、そこへジンら組織のメンバーがAH-64攻撃ヘリコプター[注 17]に乗ってやって来る。アイリッシュはメモリーカードを取り戻したことを彼らに示すが、タワー周辺に警察が終結し逃げ切れないと判断したジンの命令で、キャンティによってメモリーカードともども撃ち抜かれ重傷を負う。コナンはアイリッシュを救命しようとするが、その存在に気付いたジンの命令でキャンティの狙撃を受けてしまう。しかしコナンのその行動に感じ入ったアイリッシュが致命傷を負う代わりにコナンを庇い、コナンに「いつまでも追い続けるがいい」と言い残して死亡した。組織はコナンを始末するべくヘリに搭載されたM230チェーンガンで銃撃しながらタワーの上の方へと追い詰め、姿を確認しようとするが、コナンは以前阿笠博士から貰った、100メートルまで自在に伸ばせるサスペンダーを使って飛び降り、自身は落下の勢いを殺しながら破損したライトを反動で射出することで、組織のヘリを撃墜する。
ヘリからは遺体は発見されず、全員が脱出したものと思われた。また、監禁されていた松本警視は、阿笠の通報で佐藤刑事と高木刑事によって救出された[注 18]。コナンは今後組織と戦ううえで武器になると考えていたNOCリストを入手できず、組織もコナンの正体を掴めないままの幕引きとなるが、コナンはアイリッシュが死に際に残した「いつまでも追い続けるがいい」という言葉を思い返し、組織と戦い続ける決意を新たにするのだった。
注釈
- ^ 後に、第20作『純黒の悪夢』と第26作『黒鉄の魚影』にも登場する。
- ^ 本編に13に関する話は特に出ておらず、公式パンフレットで触れられている程度。
- ^ コナンがベルモットと対決した事[9]、それにより組織のボスのメールアドレスを入手した事[10]。
- ^ 第9作『水平線上の陰謀』の冒頭解説において姿は現しているが、劇場版本編に登場するのは本作が初である。
- ^ 回想シーンのみで、台詞は無い。
- ^ 双子の弟で神奈川県警警部の横溝重悟は第10作『探偵たちの鎮魂歌』で初登場しており、3年ぶりに登場した。
- ^ 本作ではテレビアニメに先駆けて長野県警に復帰している。
- ^ 本作で警部に昇進していたことが発覚した後、原作でも共通の公式設定となった。
- ^ 綾小路警部は、本作以降も準レギュラーとして劇場版にたびたび登場することになる。
- ^ なお、本作のパンフレットには、神谷のコメントが記されていない。
- ^ 小五郎役を降板後の神谷は、2019年4月公開の第23作『紺青の拳』の予告映像の一つで、『北斗の拳』とのコラボとしてケンシロウ役にてナレーションを担当し、変則的な形式ではあるが、本作公開から10年ぶりに劇場版『名探偵コナン』の出演を果たした。
- ^ アルファベットは、それぞれの星のバイエル符号のギリシャ文字の大文字。
- ^ コナンは被害者の一部でなく全員が匿名で花を贈っていたのは、罪の意識ではなく感謝の念のはずであるという理由からこれも見抜いていた。
- ^ 被害者の所持品を持ち去ったのは、水谷にそれを受け渡すことで彼が犯人であると認定させるため。
- ^ かつて慕っていたピスコをジンが始末したため
- ^ ジンが始末したはずの新一が生きており、またコナンの正体を掴めなかったことはジンの重大な失点となる。
- ^ 現実のAH-64とほぼ同じ形状だが、タンデム複座の現実と異なり縦2人・横2人の4人乗りとなっているなど細部は異なる。
- ^ 阿笠はカブトムシにVの字型にコンビニのテープが貼られていたのを、ビートルズの5枚目のアルバム『HELP!』になぞらえ、救いを求めるメッセージであるという解釈でクイズを出したのだが、少年探偵団はそれを真に受けて捜索に乗り出していた。結果的にそれは当たっており、佐藤はビートルズ世代の松本のものであるという可能性をみて急行した。
- ^ お好み焼きの件は次作『天空の難破船』やその後日談に当たるOVA『大阪お好み焼きオデッセイ』でも触れられている。
- ^ テレビアニメでは村松康雄が担当していた。
- ^ 『天国へのカウントダウン』に原佳明(はら よしあき、声 - 橋本晃一)が登場しているが、ウォッカもジンも彼のことを「原」と呼んでおり、コードネームはない。
- ^ テレビアニメでは宝亀克寿が担当していた。
- ^ 2023年4月14日に最新作公開を記念して11年ぶりに放送。
出典
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- ^ a b “劇場版「名探偵コナン 純黒の悪夢」興収60億円突破 シリーズ累計は600億円に”. アニメニュース (アニメ!アニメ!). (2016年6月6日) 2017年7月6日閲覧。
- ^ a b “【どこまで行く!?】『名探偵コナン から紅の恋歌』63.5億でシリーズ最高興行収入突破!”. T-SITE NEWS (TSUTAYA). (2017年5月29日) 2017年7月6日閲覧。
- ^ “Detective Conan: The Raven Chaser (2009)”. Box Office Mojo. 2022年7月16日閲覧。
- ^ 単行本42巻File.5「満月の夜と黒い宴の罠」 - File.10「ラットゥンアップル」(アニメ345話「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」)。
- ^ 単行本46巻File.7「封印」 - File.10「不滅」(アニメ394話 - 396話「奇抜な屋敷の大冒険」)。
- ^ 青山 剛昌、水稀 しま『名探偵コナン 漆黒の追跡者』小学館〈ジュニア文庫〉、2013年1月9日。ASIN 4092306350。ISBN 978-4092306356。OCLC 840084274。全国書誌番号:22188680。
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- ^ 単行本第65巻File.5「危険な2人連れ」- File.6「半殺し」(アニメ557話「危険な2人連れ」)。
- ^ 単行本63巻File.9「銀白の魔女」 - File.11「魔女の正体」(アニメ545話 - 546話「霧にむせぶ魔女」)。
- ^ 単行本69巻File.1「沼底からの依頼」 - File.3「河童の正体」(アニメ600話 - 601話「河童が見た夢」)。
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- ^ a b "週間高世帯視聴率番組10 VOL.16 2023年4月10日(月)~4月16日(日)". ビデオリサーチ. 2023年4月26日閲覧。
- ^ 劇場版 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー) - Musing、ビーイング。2018年12月22日閲覧。
- ^ 劇場版 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)【ブルーレイディスク】 - Musing、ビーイング。2018年12月22日閲覧。
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