台湾鉄路管理局E1000型電車 台湾鉄路管理局E1000型電車の概要

台湾鉄路管理局E1000型電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 04:08 UTC 版)

台鉄E1000型電車
PP自強号
基本情報
運用者 台湾鉄路管理局
製造所 GECアルストム(電装品)
UCW(電動車)
現代精工(付随車)
台湾車輌(増備車)
製造年 1995年 - 2002年
製造数 動力車 64両
客車 381両
主要諸元
編成 12 - 15両編成
軌間 1,067 mm (狭軌)
電気方式 交流 25,000V 60Hz
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 1.44 km/h/s
減速度(非常) 3.6 km/h/s
編成長

12両 13両 14両

15両
全長 20,000 mm
主電動機 籠形三相誘導電動機
主電動機出力 550 kW
編成出力 4,400 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
保安装置 ATS-SN、ATS-P
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先頭の動力車と中間の付随車とで製造メーカーが異なり、南アフリカユニオン・キャリッジ・アンド・ワゴン(UCW)が製造した動力車が64両、韓国現代精工(現:現代ロテム)が製造した中間車が336両存在する[1]。このほか唐栄鉄工廠(現:唐栄鉄工廠の子会社台湾車輌)が製造し内装デザインの異なる中間車が45両あるため総両数は445両にのぼり[1]、単一車種としては台鉄史上最多の形式である。

概要

1996年民国85年)に第一編成が台湾に到着した際、台湾では初の流線形車両で当時の動力分散方式の自強号と大きく違っていた為、多くの鉄道ファン(台湾では「鉄道迷」)の関心を引いた。数ヶ月に及ぶ集中試運転の後、同年の中秋節休暇に1019次、復路は1020次自強号でEMU100型に替わって台北高雄直通列車の運用に就いた。知名度を上げる為に運用開始後に発行された時刻表の表紙に何度も登場し、市民の注目を集めた。

編成数がある程度揃うと台鉄は多くの自強号をE1000型での運行に改めると共に、自強号の大増発の要望には停車駅が比較的少ない莒光号の自強号への格上げで応えた。しかし初期は運用車両に慣れていなかった事と、光号を格上げした列車のスピードアップをしなかったので所要時間が長く人々の不評をかった。1996年3月24日ダイヤ改正では自強号の大増発とダイヤ見直しが行われ、ようやくE1000型が自強号の主力車両となった。

宜蘭線電化完成後2000年5月3日には初めて羅東まで入線し、一部のディーゼルカー自強号に取って代わった。この改正で初めて“PP速”が始まり、良好な条件で最高の能力を発揮できるようになる。台鉄は4本の自強号で最高速度130km/hでの運行に挑戦し、台北高雄間の所要時間を再び4時間以内に短縮した。2004年9月時点での最速列車は途中台中・彰化・台南に停車して3時間59分で結び、途中の嘉義では同種別の自強号を追い越していた。しかし台湾高速鉄道開業後は途中停車駅が多くなり一部の列車を除いて現在は4時間50分~5時間程度の所要時間である。

2003年7月4日北廻線全線電化完成で電化区間は花蓮まで延長され、更に2014年6月の台東線電化完成等でE1000型の運用範囲は徐々に拡大し、北の基隆から南の潮州、東は台東まで足跡を残している。南廻線の電化後は台湾鉄路の主要3路線すべてで運用されているが、東部幹線では太魯閣号、普悠馬号、ディーゼル車による自強号が主力であるため、本系列は西部幹線での運用が多い。特に、台北-高雄間直通の自強号は普悠瑪号で運行される南港 - 潮州間運行の最速達列車2往復を除いて全てE1000型の運用である[2]


現在、本系列は最大32編成(2両1組のE1000機関車が64両)を編成することができる。西部幹線を中心に運行されている(東部幹線は動力分散式の自強号が主に運行されている)。 他の3組は保守・修理用で、1組は救援車として彰化駅に配置される。

また、古いEMU300やEMU1200の状態が不安定なため、故障やメンテナンス時に本系列で代走することが多い。 以前は、代走専用の9両編成や10両編成を組成していたが、現在は全て定期列車と同じ12両編成である。

モーターの焼損事故等から主電動機の換装を行なう等したものの、製造から20年以上経過して老朽化が進んでいる為、東芝が製造し、2023年から運用開始予定のE500型電気機関車は、本形式の先頭機関車も置換える予定で[3]、今後の去就が注目されている。また、客車もE500型電気機関車との連結運転対応改造を開始している。

車両

E1000型電動車と食堂車
貨物室

E1000型の最大編成は2両の機関車を含めて15両編成だが、初運用時は11両で、後に12両に変更された。2002年に6号車に食堂車が組み込まれ、13両編成となる。食堂車運営の競争入札新東陽が応札したが、多額の損失を出し契約を解除している。暫くそのままになっていたが、PPD2500型食堂車は入場、改装され、食堂設備が撤去され貨物室が設けられ、速達郵便車として13号車に連結された。日本新幹線便に相当するが、当局が積極的ではない為にあまり普及しなかった。その後、貨物室はさらに2両を自転車積込用車両に転用。後には再びラックを外し、一部の車両にはシートベルトを付け障害者用車両としても使用した。 2017年にはPPD2500の20両を親子車に改造して、型式をPPDからPPPに変更した。

設計上の問題で発車時に客車内でも解る位の大きなショックがある上、高速走行時に共振現象を起こしたが、台鉄機務処が解決策を講じたので高速時の振動問題は既にあまり見られなくなっている。


  1. ^ 少額調達の場合はその後も禁止されている
  1. ^ a b 台湾鉄道の旅完璧ガイド ベストルートで台湾の魅力をたっぷり堪能! イカロス出版 2014年8月10日 P.120 ISBN 978-4-86320-885-8
  2. ^ 主要幹線(對號快車) 定期行駛列車時刻表(9月1日起實施) アーカイブ 2017年7月21日 - ウェイバックマシン 台湾鉄路管理局時刻表(2017年8月29日閲覧)…車椅子マークが付いている列車がE1000型の運用
  3. ^ 編輯部 (2020). “世代交替的浪潮 臺鐵局「10年購車計畫」”. 鐵道情報 31 (243): p.62-p.68. ISSN 20732163. 
  4. ^ (繁体字中国語)自強號列車問題多 部長林陵三震怒 - ウェイバックマシン(2023年4月4日アーカイブ分)
  5. ^ (繁体字中国語)PP車問題多 駛來膽戰心驚 - ウェイバックマシン(2016年8月18日アーカイブ分)
  6. ^ 推拉式自強號又故障 10天7起 - ウェイバックマシン(2016年9月19日アーカイブ分)
  7. ^ (繁体字中国語)韓國PP車 馬達不夠力 - ウェイバックマシン(2016年9月19日アーカイブ分)
  8. ^ (繁体字中国語)當年低價競標 推拉式自強號 壽命短一半 - ウェイバックマシン(2004年11月9日アーカイブ分)
  9. ^ (繁体字中国語)EMU500電聯車「幾乎每組都有馬達故障」 - ウェイバックマシン(2016年9月19日アーカイブ分)
  10. ^ (繁体字中国語)自強號狀況多 台外交部:即日禁韓商參與台鐵標案 - ウェイバックマシン(2016年9月19日アーカイブ分)
  11. ^ (繁体字中国語)強號糾紛 台鐵禁止韓商競標 韓國揚言向GPA申訴 - ウェイバックマシン(2017年8月18日アーカイブ分)
  12. ^ (繁体字中国語)“踢爆台鐵700億採購案3大疑雲”. WEALTH MAGAZINE 財信雜誌社. (2018年6月27日). オリジナルの2020年10月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201030170557/https://www.wealth.com.tw/home/articles/16361 2023年4月4日閲覧。 
  13. ^ (繁体字中国語)“吳子嘉:台鐵百億通勤電聯車案 瞞天過海疑似綁標”. 中国時報. (2018年10月12日). オリジナルの2020年10月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201027020109/https://www.chinatimes.com/realtimenews/20181012003064-260407?chdtv 2023年4月4日閲覧。 
  14. ^ (繁体字中国語)日立榮獲交通部台灣鐵路管理局 600 輛城際電聯車訂單 - ウェイバックマシン(2021年7月20日アーカイブ分)
  15. ^ 台湾鉄道、日立に発注した新特急のデザインを発表 - ウェイバックマシン(2020年9月29日アーカイブ分)
  16. ^ 台湾鉄路管理局の自強号(1編成)が、金色の「日光詣スペーシア」デザインに変更されます! アーカイブ 2016年10月9日 - ウェイバックマシン 東武鉄道ニュースリリース 2016年9月28日配信 2016年10月8日閲覧
  17. ^ “スペーシア塗装自強号、17日にラストラン 半年におよび運行/台湾 | 観光 | 中央社フォーカス台湾”. オリジナルの2017年4月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170416151249/http://japan.cna.com.tw/news/atra/201704140005.aspx 2018年4月12日閲覧。 


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