古英語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 06:07 UTC 版)
文法
他のインド・ヨーロッパ語族の言語と同様、屈折語である。
名詞は、性・数の区別を持つ。性は男性・中性・女性の3種、数は単数と複数の2種。双数を持たないことは他のゲルマン諸語に同じである。格は主格(主語を作る他呼びかけに用いる)・属格(所有・起原などを表す)・与格(間接目的語)・対格(直接目的語)の4種。名詞は屈折語尾により強変化名詞と弱変化名詞とに分類される。
代名詞の性・数・格も名詞と同様に変化する。ただし一人称と二人称では双数が用いられる。形容詞も同様。
動詞は人称と数に支配される。一般に主語の省略はしない。法・相・時制に従い屈折する。動詞には、幹母音の交替を示す強変化動詞と、幹母音を変えない弱変化動詞がある。強変化動詞は、常用される動詞に多く、現代英語の不規則動詞はほとんどがこれに由来する。完了形はまだなかった。
主な言語資料
- 『ベーオウルフ』(Beowulf)
- 作者不詳の英雄叙事詩。頭韻法が用いられており、もともとは口承文学であったとされる。詳細は該当項目を参照。
- 『ユリアナ』(Juliana)
- 宗教詩人キネウルフ(Cynnewulf)作の宗教詩。4世紀の初め頃を舞台とし、ユリアナという名の女性の殉教を描く。
- 『アングロサクソン年代記』(The Anglo-Saxon Chronicle)
- アルフレッド大王の命により、イングランドの歴史を、1世紀頃のローマ帝国の襲来から1154年まで叙述した歴史書。散文体で書かれている。各地の修道院で編纂が行われたとされている。
- 『哲学の慰め』(De Consolatione Philosophae)
- ローマ帝国の哲学者、ボエティウスの哲学書を、アルフレッド大王がラテン語から古英語に翻訳した。散文訳と、頭韻法を用いた韻文訳が存在する。
- 『九つの薬草の呪文』(The Nine Herbs Charm/Nigon Wyrta Galdor)
- 10世紀に書かれた治療用の呪文。キリスト教の影響を受けているが、元々は多神教信仰に由来する呪文だったと考えられている。
脚注
- ^ デジタル大辞泉 - オー‐イー【OE】[Old English]. コトバンク. 2019年3月13日閲覧。
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