三段論法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 03:20 UTC 版)
詳細
包含タイプ
AAA-1(Barbara)
第一格のAAA、すなわち「MaP SaM SaP」の三段論法。
「入れ子」式に、主語(S)が述語(P)に包含されるパターン。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pである。 (MaP)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pである。(SaP)
具体例。(M=人間、S=ギリシア人、P=死ぬ存在)
- 大前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。 (MaP)
- 小前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのギリシア人」は、「死ぬ存在」である。(SaP)
AAI-1(Barbari) : 弱勢式
第一格のAAI、すなわち「MaP SaM SiP」の三段論法。
上記の「AAA-1」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
具体例。(M=人間、S=ギリシア人、P=死ぬ存在)
- 大前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。(MaP)
- 小前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるギリシア人」は、「死ぬ存在」である。(SiP)
AAI-4(Bamalip)
第四格のAAI、すなわち「PaM MaS SiP」の三段論法。
「AAA-1」とは逆に、主語(S)が述語(P)を包含してしまうパターン。したがって、主語(S)の観点から見れば、常にその一部だけが、述語(P)(の全体)に該当することになる。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
具体例。(M=人間、S=死ぬ存在、P=ギリシア人)
- 大前提:「全てのギリシア人」は、「人間」である。(PaM)
- 小前提:「全ての人間」は、「死ぬ存在」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある死ぬ存在」は、「ギリシア人」である。(SiP)
一部重複(絶対)タイプ
AII-1(Darii)
第一格のAII、すなわち「MaP SiM SiP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
- 小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
- 大前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaP)
- 小前提:「あるペット」は、「ウサギ」である。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるペット」は、「有毛生物」である。(SiP)
AII-3(Datisi)
第三格のAII、すなわち「MaP MiS SiP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pである。(MaP)
- 小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
具体例。(M=ウサギ、S=ペット、P=有毛生物)
- 大前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaP)
- 小前提:「あるウサギ」は、「ペット」である。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるペット」は、「有毛生物」である。(SiP)
IAI-3(Disamis)
第三格のIAI、すなわち「MiP MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「あるM」は、Pである。(MiP)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
具体例。(M=ウサギ、S=有毛生物、P=ペット)
- 大前提:「あるウサギ」は、「ペット」である。(MiP)
- 小前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある有毛生物」は、「ペット」である。(SiP)
OAO-3(Bocardo) : 否定形
第三格のOAO、すなわち「MoP MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「あるM」は、Pではない。(MoP)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
- 大前提:「あるネコ」は、「有尾生物」ではない。(MoP)
- 小前提:「全てのネコ」は、「哺乳類」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある哺乳類」は、「有尾生物」ではない。(SoP)
IAI-4(Dimatis)
第四格のIAI、すなわち「PiM MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「あるP」は、Mである。(PiM)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
具体例。(M=ウサギ、S=有毛生物、P=ペット)
- 大前提:「あるペット」は、「ウサギ」である。(PiM)
- 小前提:「全てのウサギ」は、「有毛生物」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある有毛生物」は、「ペット」である。(SiP)
AAI-3(Darapti)
第三格のAAI、すなわち「MaP MaS SiP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てM」は、Pである。(MaP)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pである。(SiP)
- 大前提:「全ての正方形」は、「長方形」である。(MaP)
- 小前提:「全ての正方形」は、「菱形」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある菱形」は、「長方形」である。(SiP)
一部重複(可能性・不明)タイプ : 全て否定形
EIO-1(Ferio)
第一格のEIO、すなわち「MeP SiM SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
- 小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)
- 大前提:「全ての宿題」は、「楽しみ」ではない。(MeP)
- 小前提:「ある読書」は、「宿題」である。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-2(Festino)
第二格のEIO、すなわち「PeM SiM SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
- 小前提:「あるS」は、Mである。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)
- 大前提:「全ての楽しみ」は、「宿題」ではない。(PeM)
- 小前提:「ある読書」は、「宿題」である。(SiM)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-3(Ferison)
第三格のEIO、すなわち「MeP MiS SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
- 小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)
- 大前提:「全ての宿題」は、「楽しみ」ではない。(MeP)
- 小前提:「ある宿題」は、「読書」である。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EIO-4(Fresison)
第四格のEIO、すなわち「PeM MiS SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
- 小前提:「あるM」は、Sである。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=宿題、S=読書、P=楽しみ)
- 大前提:「全ての楽しみ」は、「宿題」ではない。(PeM)
- 小前提:「ある宿題」は、「読書」である。(MiS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある読書」は、「楽しみ」ではない。(SoP)
EAO-3(Felapton)
第三格のEAO、すなわち「MeP MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
- 大前提:「全ての花」は、「動物」ではない。(MeP)
- 小前提:「全ての花」は、「植物」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある植物」は、「動物」ではない。(SoP)
EAO-4(Fesapo)
第四格のEAO、すなわち「PeM MaS SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
- 小前提:「全てのM」は、Sである。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=花、S=植物、P=動物)
- 大前提:「全ての動物」は、「花」ではない。(PeM)
- 小前提:「全ての花」は、「植物」である。(MaS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある植物」は、「動物」ではない。(SoP)
AOO-2(Baroco)
第二格のAOO、すなわち「PaM SoM SoP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「あるS」は、Mではない。(SoM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
- 大前提:「全ての参考情報」は、「有用」である。(PaM)
- 小前提:「あるウェブサイト」は、「有用」ではない。(SoM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるウェブサイト」は、「参考情報」ではない。(SoP)
分裂(排反)タイプ : 全て否定形
EAE-1(Celarent)
第一格のEAE、すなわち「MeP SaM SeP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)
- 大前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeP)
- 小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
EAO-1(Celaront) : 弱勢式
第一格のEAO、すなわち「MeP SaM SoP」の三段論法。
上記の「EAE-1」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのM」は、Pではない。(MeP)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)
- 大前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeP)
- 小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SoP)
EAE-2(Cesare)
第二格のEAE、すなわち「PeM SaM SeP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)
具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)
- 大前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(PeM)
- 小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
EAO-2(Cesaro) : 弱勢式
第二格のEAO、すなわち「PeM SaM SoP」の三段論法。
上記の「EAE-2」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mではない。(PeM)
- 小前提:「全てのS」は、Mである。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=爬虫類、S=ヘビ、P=有毛生物)
- 大前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(PeM)
- 小前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(SaM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SoP)
AEE-2(Camestres)
第二格のAEE、すなわち「PaM SeM SeP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「全てのS」は、Mではない。(SeM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)
具体例。(M=爬虫類、S=有毛生物、P=ヘビ)
- 大前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(PaM)
- 小前提:「全ての有毛生物」は、「爬虫類」ではない。(SeM)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのヘビ」は、「有毛生物」ではない。(SeP)
AEO-2(Camestros) : 弱勢式
第二格のAEO、すなわち「PaM SeM SoP」の三段論法。
上記の「AEE-2」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「全てのS」は、Mではない。(SeM)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
具体例。(M=有蹄生物、S=人間、P=ウマ)
- 大前提:「全てのウマ」は、「有蹄生物」である。(PaM)
- 小前提:「全ての人間」は、「有蹄生物」ではない。(SeM)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある人間」は、「ウマ」ではない。(SoP)
AEE-4(Calemes)
第四格のAEE、すなわち「PaM MeS SeP」の三段論法は、以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「全てのM」は、Sではない。(MeS)
- 結論:ゆえに(∴)、「全てのS」は、Pではない。(SeP)
具体例。(M=爬虫類、S=有毛生物、P=ヘビ)
- 大前提:「全てのヘビ」は、「爬虫類」である。(PaM)
- 小前提:「全ての爬虫類」は、「有毛生物」ではない。(MeS)
- 結論:ゆえに(∴)、「全ての有毛生物」は、「ヘビ」ではない。(SeP)
AEO-4(Calemos) : 弱勢式
第四格のAEO、すなわち「PaM MeS SoP」の三段論法。
上記の「AEE-4」と同じ形だが、結論の主語(S)だけを不必要に特称にしてしまっている「弱勢式」。
以下のようになる。
- 大前提:「全てのP」は、Mである。(PaM)
- 小前提:「全てのM」は、Sではない。(MeS)
- 結論:ゆえに(∴)、「あるS」は、Pではない。(SoP)
- 大前提:「全てのウマ」は、「有蹄生物」である。(PaM)
- 小前提:「全ての有蹄生物」は、「人間」ではない。(MeS)
- 結論:ゆえに(∴)、「ある人間」は、「ウマ」ではない。(SoP)
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