ファイヤーフォックス (映画) ファイヤーフォックス (映画)の概要

ファイヤーフォックス (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/26 03:47 UTC 版)

ファイヤーフォックス
Firefox
監督 クリント・イーストウッド
脚本 アレックス・ラスカー
ウェンデル・ウェルマン
原作 クレイグ・トーマス
製作 クリント・イーストウッド
フレディ・ジョーンズ
ウォーレン・クラーク
製作総指揮 フリッツ・メインズ
出演者 クリント・イーストウッド
音楽 モーリス・ジャール
撮影 ブルース・サーティース
編集 ロン・スパン
フェリス・ウェブスター
配給 ワーナー・ブラザース
公開 1982年6月18日
1982年7月17日
上映時間 136分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
ロシア語
製作費 $21,000,000
興行収入 $46,708,276[1]
テンプレートを表示

なお、小説の邦題は『ファイアフォックス』である(広瀬順弘早川書房 ISBN 4150404283)。

ストーリー

ソビエト連邦が、それまでの戦闘機を凌駕する高性能な新型戦闘機「MiG-31 ファイヤーフォックス」を開発したとの情報がNATOにもたらされる。これに衝撃を受け、軍事バランスが崩れることを恐れたNATO各国は対抗すべく戦闘機の開発を検討するが、間に合いそうもない。そのため、その技術を機体もろとも盗み出すことを決定し、ロシア語をネイティブで話し、考えることができる元米空軍パイロット、ミッチェル・ガントに白羽の矢を立てたのであった。ベトナム戦争で心に傷を負ったガントは隠遁生活を送っていたが、世界最高の戦闘機を奪取するという要請を繰り返し受けるうち、遂に計画へ加わることを決める。

ガントは、商用を隠れ蓑にヘロインを密輸しているアメリカ人ビジネスマンに変装してモスクワに入り、治安当局の監視・尾行を受けつつ、協力者のウペンスコイと接触する。ウペンスコイはガントが成りすましていた本物の密売人を殺害してKGBを撹乱する。彼等は最寄りの駅で地下鉄に乗るが、下車駅では駅利用者に対する検問が始まっていた。ガントはいったんトイレに身を隠すが、緊張の中でフラッシュバックに襲われ、職務質問をかけてきたKGB職員を早まって殺害してしまい、二人は騒ぎが起きる前に駅を脱出する。ガントはウペンスコイの相棒に成りすましてMiG-31の開発者バラノヴィッチ博士がいる基地に向かうが、既にウペンスコイの相棒本人はコンタルスキー大佐の部下に逮捕されており、大佐はガントの正体を探るべく二人を尾行するよう部下に命令する。ウペンスコイは途中でガントを車から降ろしてKGBの目を引き付け、ガントはバラノヴィッチと接触して基地に潜入する。バラノヴィッチ夫妻からは明日MiG-31の飛行訓練が実施されることを聞かされ、彼らがMiG-31の二号機を爆破する間に一号機を奪取すること、またミグを思考制御で操縦する際にはロシア語で考えることなどを助言される。

ガントはソ連空軍将校に扮してハンガーへ潜入し、MiG-31パイロットのヴォスコフ中佐を昏倒させて、彼のパイロット・スーツを身に着けて奪取の準備を進めるが、またもフラッシュバックに直面する。ガントの正体がアメリカのパイロットで、その目的がMiG-31の情報収集ないし強奪だと気付いたコンタルスキーは基地内の捜索を開始する。しかし、直前になって書記長が飛行訓練の視察に来ることが判明して、基地内は対応に追われる。バラノヴィッチは予定通りに二号機を爆破しようとするが、事前にKGBに悟られて爆破は不充分なものにとどまって1時間足らずで復旧できる程度にしかならず、直後に夫妻と部下の技術者は射殺される。その混乱の中、ガントは一号機に乗り込んで、コンタルスキーや書記長の目前で離陸に成功する。追っ手から逃れていたウペンスコイは飛び去るMiG-31を見届けると、拳銃で自決を遂げる。

MiG-31を奪われた書記長は空軍のウラジミロフ将軍に追跡を命じ、復旧した二号機に乗り込んだヴォスコフが出撃する。ガントは手筈通りに飛行経路を偽装して追跡の目をくらまして北極海に向かい、公海上の氷原を滑走路代わりに着陸し、そこへ合流した味方の原子力潜水艦から給油を受ける。一方、ウラジミロフはガントの作戦に翻弄される書記長を説得して、ヴォスコフはガントを追い北部に向かう。給油を終えたガントはソ連国外への脱出を図るが、ヴォスコフが追い付きドッグファイトを展開する。激しい空中戦の最中ガントの乗った一号機の火器管制装置(FCS)が動作しなくなるが、バラノヴィッチの操縦する際にはロシア語で考えること、という助言を思い出し、このためガント機のFCSが復旧し、ヴォスコフの二号機を撃墜することに成功し、無事に国外へと脱出する。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
テレビ朝日 TBS
ミッチェル・ガント クリント・イーストウッド 山田康雄
ケネス・オーブリー フレディ・ジョーンズ 富田耕生 宮川洋一
バックホルツ デイヴィッド・ハフマン 大滝進矢 荒川太郎
パヴェル・ウペンスコイ ウォーレン・クラーク 内海賢二 麦人
セメロフスキー ロナルド・レイシー 小関一
コンタルスキー大佐 ケネス・コリー 家弓家正 城山堅
ウラジミロフ将軍 クラウス・ロウシュ 加藤精三 田中信夫
ピョートル・バラノヴィッチ博士 ナイジェル・ホーソーン 徳丸完
書記長[注 1] ステファン・シュナーベル 島宇志夫 藤本譲
ユーリ・アンドロポフKGB議長 ヴォルフ・カーラー
ブラウン将軍 トーマス・ヒル 飯塚昭三 今西正男
ラニエフ少佐 クライヴ・メリソン
ヴォスコフ中佐 カイ・ウルフ 高宮俊介
ナタリア・バラノヴィッチ博士 ディミトラ・アーリス 火野カチコ
ウォルターズ オースティン・ウィリス
シーアバッカー艦長 マイケル・カリー 小島敏彦
フライシャー海軍少佐 ジェームス・ステイリー 伊井篤史
ロジャース将軍 ウォード・コステロ 塚田正昭
クトゥゾフ空軍元帥 アラン・ティルヴァーン 今西正男
役不明又はその他 村松康雄
仲木隆司
藤本譲
矢野陽子
田口昂
広瀬正志
徳丸完
島香裕
伊井篤史
嶋俊介
山田礼子
稲葉実
田原アルノ
幹本雄之
星野充昭
牛山茂
演出 水本完 蕨南勝之
翻訳 宇津木道子 木原たけし
調整 山田太平 小野敦志
効果 南部満治
大橋勝次
リレーション
担当 圓井一夫
制作 ザック・プロモーション 東北新社
初回放送 1985年4月14日
日曜洋画劇場
1990年3月28日
水曜ロードショー
  • 吹き替え版の場合、音楽を変更している。特にラストシーンでは、オリジナルは2号機撃墜後静かな曲が流れ、その後、出演者のテロップと共にメインテーマが流れるが、テレビ放送でエンドロールがカットされる吹き替え版では撃墜・爆発中にメインテーマが途中から流れ始める。他にも護衛艦からのミサイル撃墜と回避のシーンでは、明らかに曲の音量が大きくなっている。また85年のTV放映版では、コンタルスキーが作業中のバラノヴィッチを間近で監視しているシーン、そして1号機と2号機の空戦シーンに映画『ブルーサンダー』の劇伴が流用・追加されていた。

注釈

  1. ^ テレビ朝日版のクレジット表記では第一書記
  2. ^ 形状による電波反射の制御や吸収材による実在のステルス技術とは異なり、何らかのECM装置によって自機のレーダー反応を消すことができる。原作の続編では、ステルス機能が故障したようだが、原理不明のため修理不可能といった描写がある。
  3. ^ 彼は傭兵を率いてコモロでクーデターに成功し、1990年代初頭までコモロの事実上の支配者として君臨した。
  4. ^ これを意識したものか、小説の続編中に「ロンドンに居る」という錯覚を持たせようとしてビッグ・ベンを窓外に映写させるくだりがある。

出典

  1. ^ Firefox” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年7月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e マーク・エリオット:著、笹森みわこ・早川麻百合:訳『クリント・イーストウッド―ハリウッド最後の伝説』 早川書房 2010年 ISBN 978-4-15-209103-1
  3. ^ マイクロソフトプレス/デヴィッド・チェル:編、鶴岡雄二:訳『実録!スーパー映画人』 アスキー 1987年 ISBN 4-87148-272-3
  4. ^ a b c マイケル・ヘンリー・ウィルソン:編、石原陽一郎:訳『孤高の騎士クリント・イーストウッド 映像作家が自身を語る』 フィルムアート社 2008年 ISBN 978-4-8459-0819-6
  5. ^ Firefox”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月29日閲覧。
  6. ^ Firefox Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年9月29日閲覧。


「ファイヤーフォックス (映画)」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ファイヤーフォックス (映画)」の関連用語

ファイヤーフォックス (映画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ファイヤーフォックス (映画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのファイヤーフォックス (映画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS