パイナップル パイナップルの概要

パイナップル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:44 UTC 版)

パイナップル
パイナップル
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: パイナップル科 Bromeliaceae
: アナナス属 Ananas
: パイナップル A. comosus
学名
Ananas comosus (L.) Merr. (1917)[1]
シノニム
和名
パイナップル、アナナス、鳳梨
英名
Pineapple
パイナップルの果実

形態

地下茎から叢生して剣状で硬く、ふちにとげのある品種とない品種がある。増殖させるときの苗は葉の付け根の腋芽が発達した吸芽を用いる。

苗を植えて12 - 18カ月すると株の中心部から花穂が現れる。60センチメートル (cm) から長いものでは100 cmに至る花軸が伸び、先端部分に円筒形の花序が付き、約150個のが咲く。花序にらせん状に密生する花はがく(外花被)、花びら(内花被)とも3枚で、単子葉植物の典型的な姿である。花びらは肉質であり、色は白を基調とし、先端部分が薄紫色を帯びる。開花後、受粉の有無によらず、約6カ月で結実する。結実後、子房に由来する真の果実と個々の花の基部にある花托、さらに花序の軸までが融合して肥大化し、いわゆる「パイナップル」となる。本当の果実は、実の表面にらせん状に並んでいる固い部分で、果実部分を皮のように剥くと果肉との間にゴマくらいの大きさの褐色の種子がみられる場合もある[3]

花序の先端の成長点は開花後も成長を続けて葉をつけた冠芽になり、これを挿し木しても繁殖できるが、吸芽を用いるよりも開花までの時間がかかるため、経済栽培における繁殖用には用いられていない。

フルーツなどの農産物を取り扱うドール・フード・カンパニーでは、2009年から、収穫時に切り取った冠芽を新しい苗に再利用したパイナップルをエコパインの名称で販売している[6]

栽培

パイナップル畑(ガーナ
パイナップルの花(西表島・沖縄県

パイナップルは多年草であり、実を収穫後、根茎から再び芽を出し、これが成長すると先端部に結実する。しかしながら、収穫ごとに実が小さくなっていくため、株を3年以上用いることは少ない。パイナップルの果実といわれる食用部分は伸長した花序の軸の周りに排列した小果実の付け根の部分が軸もろとも融合肥大し、多量の汁を含むようになったもので、真の果実は表面へ螺旋状に並んだ、硬化して食べられない疣状の部分から果肉の表層までの部分である。多くの市販品を生産している農園では遺伝的に同一個体のクローンである同一品種ばかりを植えるので、自家不和合性によって受精がほとんど起こらず、果実内に種子ができていない。しかし、市販品でも時々他の農地の他品種の花粉がハチなどによって運ばれるなどの原因で受精が起きていることもあり、皮として剥いた部分と食用になる果肉の境界部分に褐色の胡麻粒のような種子が小数見られることがある。もちろんこれを土にまけば発芽するが、開花して果実をつけるに至るまで何年もかかる。

CAM型光合成を行うパイナップル科の他の植物と同様に、パイナップルもあまり土壌には依存しておらず、熱帯のやせた酸性土壌や乾燥した環境でよく育ち、降った雨水を葉の付け根に集めて葉面から吸収する。そのため、葉面散布肥料が効果的である。


注釈

  1. ^ なお、現在の英語で松かさ(松ぼっくり)はPinecone(松の円錐)である。
  2. ^ 英語の“apple”は、かつてはリンゴに限らず「果実全般」を指す語としても用いられた[4][5]
  3. ^ CAS登録番号 16672-87-0
  4. ^ パイナップルの上部から押さえつけていくことで内部に取り付けられた刃によって軸と皮の部分を切り落としていき、パイナップルをリング状・放射状に切り分ける道具。
  5. ^ パイナップルの軸の部分に刃を差し込み、スライサーの本体を手で回していくことでパイナップルが螺旋状にスライスされる道具。

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ananas comosus (L.) Merr. パイナップル(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月28日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ananas comosus (L.) Merr. f. sativus (J.H.Schult.) Mez パイナップル(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月8日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 202.
  4. ^ a b c 『英語語源辞典』、1069頁。
  5. ^ a b c 『シップリー英語語源辞典』、465頁。
  6. ^ スウィーティオ エコパイン”. ドール. 2015年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月6日閲覧。
  7. ^ 下川耿史『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p.388 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  8. ^ 植民地期台湾における日系パイン缶詰工場の経営 台湾鳳梨缶詰株式会社を事例として関沢俊弘 経営史学会『経営史学』第 46 巻第 1 号(2011 年 6 月)
  9. ^ 鈴木商店と台湾パイン缶詰産業-台湾鳳梨缶詰株式会社の設立と事業齋藤尚文 鈴木商店記念館
  10. ^ a b c d e f g h パイナップル”. 丸果石川中央青果. 2019年10月19日閲覧。
  11. ^ 【世界】パイナップルの産地・生産量ランキング”. 食品データ館 (2021年6月13日). 2023年6月7日閲覧。
  12. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  13. ^ フルーツ寒天”. キユーピー3分クッキング (2012年7月16日). 2018年6月9日閲覧。
  14. ^ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)別表第四「生物の耐用年数表」”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2018年3月31日). 2020年1月10日閲覧。 “2018年4月1日施行分”


「パイナップル」の続きの解説一覧




パイナップルと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パイナップル」の関連用語

パイナップルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パイナップルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパイナップル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS