スズキ (企業) 概要

スズキ (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 02:50 UTC 版)

概要

大工から身を起こした鈴木道雄により、1909年織機メーカー「鈴木式織機製作所」として創業された[注釈 2]。当初の木製織機からのちには金属製自動織機の生産へ移行し、企業規模を拡大すると共に、精密機械の加工ノウハウを蓄積した。しかし、近代化された力織機はいったん織物工場に納入されると長年の稼働が可能な耐久商品で代替需要が小さく、将来の販路飽和が予見されたことから、機械技術を活かした多角化策として、早くから自動車産業への進出検討を始めていた[注釈 3]

本格的な参入は1950年代初頭の自転車補助エンジンブームを機にオートバイ開発に乗り出した1952年からである。更に1955年には四輪軽自動車分野にも進出し、以後、小型オートバイと軽自動車分野をメインに、日本の小型自動車業界での地歩を築いた。ロゴの制定は1958年で、美術系の大学生に呼びかけて候補を募った。300余点の候補のなかから手銭正道のデザインが選ばれた[14]

四輪車は軽自動車や小型車などを主力としている。軽自動車の分野では、1973年から2006年までの34年間にわたり販売台数日本一を誇り、マツダ日産自動車三菱自動車工業へのOEM供給も行っている。 社団法人全国軽自動車協会連合会の発表した2006年度(2006年4月 - 2007年3月)軽四輪車新車販売台数速報[15]によれば、長年競い合ってきたダイハツ工業に1位の座を譲った(ダイハツ61万6206台、スズキ60万5486台)。

同社は2006年にスイフトSX4などの小型車や普通車の強化を表明しており、生産能力確保の為には軽No.1にはこだわらず、軽生産の縮小も辞さないという姿勢を打ち出している。

しかし、2014年は同年1月に発売を開始したクロスオーバーSUVハスラーが発売初年で10万4233台とヒット車種となったことで軽乗用車販売台数の大幅アップ(2013年比15.9%増)に貢献し、同協会による2014年の軽四輪車新車販売速報[16]ではダイハツ工業(70万6288台)を2,795台上回る70万9083台となり、8年ぶりに軽自動車年間販売台数No.1の座を奪還した[17][18]

新興国市場への進出に積極的で、特にインド市場で強みを発揮しており、インドにおける自動車年間販売シェアの54 %はスズキが占めている[19]。2002年にインド政府との合弁会社マルチ・ウドヨグマルチ・スズキ・インディアとして子会社化し、連結経常利益の4割を占めている。ハンガリーマジャールスズキ)とインド(マルチ・スズキ)の生産拠点では、日本国外市場向けの製造のみならず、日本市場への輸出も積極的に行っている。

東京商工リサーチ浜松支店が2016年5月18日に発表したところによると、日本国内の仕入れ先は5,372社で、そのうち一次仕入れ先は1,154社、二次仕入れ先は4,218社であり、一次仕入れ先の約半数である506社が静岡県内の企業で、数としては一位を占めている。またそれとは別に、一次仕入れ先の過半数は資本金5000万円未満の企業である[20]。取引銀行は、三菱UFJ銀行静岡銀行りそな銀行である。

自動車以外ではモーターサイクルモーターボート(スズキマリン)、船外機発電機リース/クレジット事業(スズキファイナンス)、住宅(スズキハウス)、マジャール・スズキからの縁によるハンガリー産ワインはちみつ保険の販売やカー用品事業(オートリメッサ)、ガソリンスタンドゴルフ場の経営なども手がける。これらのほとんどは関連会社のスズキビジネスが担当している。

2020年に創立100周年を迎えた国内自動車メーカーの中でも歴史の長い名門企業である。現在の大手自動車メーカーでは珍しく、起業から現在に至るまで創業家一族が経営の中枢を担う役職を世襲している。ただし、2000年から2008年までは創業家以外から社長が選出されており、初代社長の鈴木道雄と2015年に社長に就任した鈴木俊宏以外の創業家出身の社長は全て婿養子である。


注釈

  1. ^ 2014年3月現在の本社所在地である静岡県浜松市南区(現・中央区高塚町300番地は、1991年5月1日の自治体合併前まで浜名郡可美村であったが、各種広報では「浜松市外高塚」と記していた時期も有った。
  2. ^ 創業者の鈴木道雄は120以上の特許ー実用新案を取得した発明者でもあり、名前がそのまま社名になった。
  3. ^ 戦前から自動車開発の企図を持ち、オースチン・セブンのコピー車製作などを試みていた。
  4. ^ スクーターとしては、発売当時世界最大の排気量であった。
  5. ^ 高価格ではあるが、四輪車の十分な代用となり高性能である、といったような複合的要素。
  6. ^ 各販売代理店に替わって新車の納車前整備や付属品等の取付を一括集中して行う施設で、当センターは東京都・埼玉県・神奈川県・山梨県・静岡県の販売代理店向けの納車前整備等を行っている。
  7. ^ UMKを除くNNS全29加盟局で放送
  8. ^ 『金曜ロードショー』からの移動。
  9. ^ 日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」から移動。
  10. ^ 2020年2月6日(NRN系列ネット局は翌7日)放送回から4月3日までの間、諸般事情により提供クレジット及びCM放送を休止。
  11. ^ 後任はパーソルテンプスタップに交代。
  12. ^ 2018年10月からは同業者のトヨタの提供。
  13. ^ 後任は三菱自動車
  14. ^ 柔道男子100kg・女子78kg 予選・決勝
  15. ^ グループローカル自販を除く。

出典

  1. ^ コーポレートガバナンス - スズキ株式会社
  2. ^ a b c 会社概要|スズキ”. スズキ. 2022年9月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e 2021年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)” (PDF). スズキ株式会社 (2021年5月13日). 2021年5月17日閲覧。
  4. ^ 有価証券報告書 第154期 (PDF) (スズキ)2021年1月18日閲覧。
  5. ^ コーポレートガバナンス報告書 2021年12月19日閲覧
  6. ^ 四半期報告書 第155期第2四半期 (PDF) (スズキ)2021年1月18日閲覧。
  7. ^ スズキ株式会社定款第1条
  8. ^ クルビア
  9. ^ MOBY
  10. ^ JAMAGAGINE #50 2016年7月号
  11. ^ ホンダ、苦戦が続く船外機で巻き返しを狙う Response.jp
  12. ^ スズキが初のホンダ越え! 国内2位躍進の裏に“軽だけじゃない”小型車作りの功 bestcarweb.jp
  13. ^ 国内四輪 新スローガンについて』(プレスリリース)スズキ株式会社、1998年10月7日https://www.suzuki.co.jp/release/a/a981007b.htm2022年8月24日閲覧 
  14. ^ 『ロゴの秘密』(高橋書店 2013年)p.16f.
  15. ^ 社団法人全国軽自動車協会連合会の該当ページ
  16. ^ 社団法人全国軽自動車協会連合会の該当ページ
  17. ^ スズキ、8年ぶり年間販売台数首位!「ハスラー」のヒットが貢献 - サンケイスポーツ 2014年12月27日(2014年12月28日閲覧)[リンク切れ]
  18. ^ http://qbiz.jp/sp/article/52774/1/[リンク切れ]
  19. ^ 工藤貴宏 (2020年5月15日). “スズキがインドでシェア50%超を維持する理由”. 東洋経済オンライン. 2023年1月7日閲覧。
  20. ^ “スズキの1次仕入れ先 県内506社で半数近く 民間まとめ”. 静岡新聞: pp. 31. (2016年5月19日) 
  21. ^ スズキ、米の車販売から撤退 現地販社を法的整理 日本経済新聞 2012年11月6日
  22. ^ 日産自動車、スズキと軽商用車のOEM供給につき基本合意 - 日産自動車プレスリリース 2013年8月29日
  23. ^ 三菱自動車、スズキからのガソリン軽商用車のOEM供給受けについて - 三菱自動車工業プレスリリース 2013年8月29日
  24. ^ a b “スズキ、独VWとの提携解消へ…仲裁裁判所判断”. 読売新聞. (2015年8月30日). https://www.yomiuri.co.jp/economy/20150830-OYT1T50061/ 2015年8月30日閲覧。 
  25. ^ a b “スズキと独VW、提携解消へ 国際仲裁裁判所が判断”. 朝日新聞. (2015年8月30日). http://www.asahi.com/articles/ASH8Z5DFDH8ZUTPB00T.html 2015年8月30日閲覧。 
  26. ^ トヨタ・スズキ、インドで相互OEM合意発表日本経済新聞2018年3月29日(2018年9月1日 閲覧)
  27. ^ スズキ、創立100周年を迎えて - プレスリリース
  28. ^ スズキ100周年記念サイト
  29. ^ スズキ、コーポレートベンチャーキャピタルファンドを設立”. 2022年11月24日閲覧。
  30. ^ マツダとスズキ、軽四輪車OEM契約を継続
  31. ^ 自動車産業(2)軽自動車 ガラパゴスから世界のエコカーへ
  32. ^ トヨタとスズキ エコカー技術などで業務提携 基本合意発表 NHK NEWS 2017年2月6日付
  33. ^ トヨタ・スズキ 資本提携 自動運転研究 国内業界3陣営に 東京新聞 2019年8月29日
  34. ^ https://www.news-postseven.com/archives/20130528_190558.html
  35. ^ 【カナダ―生産】GM、スズキとのCAMI合弁工場を完全子会社化 - 国際自動車ニュース・2009年12月7日
  36. ^ スズキの原点、新型「アルト」発表会 - CAR Watch・2009年12月16日
  37. ^ スズキとVW 包括的提携に基本合意(2009年12月9日)
  38. ^ https://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE8BA04F20121211
  39. ^ 【スズキ・VW会見】(1) 鈴木会長「環境技術で助け借りたい」 - MSN産経ニュース・2009年12月9日
  40. ^ https://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111027-OYT1T00390.htm?from=main4
  41. ^ VWAGとの提携関係に関するお知らせ(2011年9月12日)
  42. ^ https://web.archive.org/web/20111028193630/http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102701001055.html
  43. ^ https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD250SI_V20C13A4TJ0000/
  44. ^ スズキ会長、独VWと「再婚ない」 提携解消「満足」. 日経新聞 (2015年8月30日). 2015年9月3日閲覧。
  45. ^ 和解による仲裁の解決に関するお知らせ - スズキ株式会社 ニュースリリース 2016年2月10日(2016年2月12日閲覧)
  46. ^ http://core-room.sblo.jp/article/48031222.html
  47. ^ http://www.echirashi.com/column/html_columns/momo135.htm
  48. ^ カンブリア宮殿2009年3月2日放送
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  50. ^ https://www.carsensor.net/contents/editor/category_849/_31679.html
  51. ^ https://www.nikkan.co.jp/releases/view/135964
  52. ^ スズキ、豪州Applied EVに出資--次世代モビリティ用ソフトウェア開発を推進”. CNET Japan. 2022年11月18日閲覧。
  53. ^ 合併に関するご案内”. 株式会社タジマモーターコーポレーション (2015年9月). 2021年1月21日閲覧。
  54. ^ スズキ、ワークス撤退! トーチュウF1エクスプレス 2023年9月26日閲覧
  55. ^ 日本経済新聞 スズキが12億円の申告漏れ 海外販促費を前倒し
  56. ^ 日本経済新聞 スズキ、3億円の所得隠し 名古屋国税局が指摘
  57. ^ スズキの走行抵抗値捏造は“吝嗇文化”の行き過ぎか - 日野三十四 日経クロステック(2016/06/05 23:50更新)2018年7月7日閲覧
  58. ^ スズキ、違法横行の悪質な企業体質
  59. ^ スズキ、鈴木修会長が燃費不正でCEO職返上 技術担当副社長は辞任
  60. ^ 燃費不正問題で「ネット美談」が広がったスズキ、会長は引責 何が起こった?
  61. ^ 国土交通省 報道発表資料
  62. ^ スズキ、検査不正6400台=マツダやヤマハ発も発覚-意図的改ざんとリコール否定 JIJI.COM 2018年8月9日
  63. ^ スズキもデータ改ざん、疲弊深刻な生産現場 止まらぬ検査不正、日産はコスト重視が根因 東洋経済ONLINE 2018年9月27日
  64. ^ スズキ202万台リコール=過去最多、経営に打撃-ブレーキなど検査不正で JIJI.COM 2019年4月18日
  65. ^ 【お詫び】弊社食堂厨房での体調不良者発生についてスズキ2022年8月23日(2022年8月24日閲覧)
  66. ^ “スズキ本社食堂で14人が体調不良訴える 一酸化炭素中毒か”. NHKニュース. (2022年8月23日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220823/k10013783611000.html 2022年8月25日閲覧。 





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