シュンギク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/01 20:10 UTC 版)
シュンギク | |||||||||||||||||||||
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シュンギクの花
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Glebionis coronaria (L.) Cass. ex Spach[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
シュンギク(春菊) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
crown daisy[7] Garland chrysanthemum[8] |
日本では、葉に切れ込みの少ない大葉(おおば)が四国・九州・山口県で、切れ込みのある中葉(ちゅうば)がそれ以東でそれぞれ栽培される。中葉はさらに、株立ち型と株張り型とに分かれる。香りと葉や花の形から、関西では菊菜(きくな)ともよばれ、品種により葉の形や茎の太さに違いがある[11]。
和名は他のキクが秋に花を咲かせるのとは異なり、春に黄色い花が咲き、キクに似た香りがすることに由来する[10][12][13]。日本には室町時代に渡来したとされ、地方により切れ込みが深い葉をした中葉、切れ込みが浅い大葉がみられる[8]。
品種
葉の大きさや切れ込み形によって、主に大葉種、中葉種、小葉種と品種が大別されるが、野菜としての栽培は葉が厚く味が良い中葉種が主流である[10][12][7]。中葉種は、伸びた葉先を摘み取りながら繰り返し収穫する「摘み取り種」と、葉が柔らかく、株ごと収穫する「株張り種」がある[7][13]。日本において、関東地方では葉の切れ込みが深い中葉種が、茎から摘み取られて出荷されるが、関西地方では根をつけたまま出荷されるものが多い[10]。
大葉種
葉の切れ込みが浅く、大ぶりで丸く肉厚。香りは弱い。日本では九州や四国、中国地方に多い[8][7]。味にクセがなく柔らかい。関西地方では「菊菜」とも呼ばれ、株ごと収穫することが多い[13]。
中大葉種
葉の切れ込みが深い中葉系と、独特の香気が柔らかく葉の切れ込みが少ない大葉系、両方の特徴をもつ。
中葉種
切れ込みの多い細い葉は「中葉」と呼ばれる形で、日本では関東地方で多く見られる[8]。葉の切れ込は大葉種と小葉種の間で、香りは強く、鍋料理には欠かせない[7]。摘み取り収穫することが多い[13]。根付きで株ごと抜き取った「株張り」は関西地方に多く、「菊菜」とよばれている[7]。
小葉種
葉の切れ込みは深く、香りが強いものの収量が少ない為、あまり栽培されていない[7]。
栽培
1年のうち、3 - 5月に種まきをして初夏に収穫する「春まき」で育てる方法と、9月下旬 - 10月に種まきして晩秋から早春にかけて収穫する「秋まき」で育てる方法がある[15][12]。種まきから収穫するまでに約1か月を要する[13]。栽培に適した土壌酸度は pH 6.0 - 6.5で、発芽適温は15 - 20℃、栽培適温は15 - 20℃とされる[12][13]。連作が可能とする文献もあるが[15]、連作障害回避のため、同じ畑での栽培は1 - 2年あけるとする文献もある[12][13]。栽培難度は比較的易しいほうであるが、春まきはすぐに薹(とう)立ちするので、秋まきのほうが栽培しやすい[15]。秋まきの場合は、防寒のためにトンネル掛けをするとよいとされる[11]。肥料を好むため、元肥となる堆肥は多めにすき込んでおく[11]。
畑に畝をつくり、畝の中央に浅く30センチメートル (cm) ほどの間隔で2条の溝を作って、1 cmほどの間隔で種まきをする[12]。種子は光が当たらないと発芽しない好光性のため、種まきは日光に当たるように覆土はごく薄く被せる程度で良い[15][12]。種まき後6 - 7日で発芽するが、発芽まで水やりを管理をして土壌を乾燥させないようにする[15][12]。
シュンギクは比較的寒さに弱く、霜に当たると葉が黒くなって枯れてしまうため、秋まきでは寒冷紗や厚手のビニールシートでトンネルがけにして防寒対策する[14][13]。種まき後、1週間ほどで発芽する[15]。間引きを行って育てていくが、1回目は本葉が1 - 2枚のとき葉が触れ合わない程度に3 cm間隔で間引き、2回目は3 - 4枚になるころに株間6 cm程度、3回目は草丈が8 - 10 cmごろに株間10 - 20 cm程度に間引きする[14][13][注 1]。育苗箱に腐葉土を入れて筋まきし、本葉が出たら育苗ポットに移植して苗をつくり、本葉4、5枚になったら畑におよそ15 cm間隔で定植してもよい[11]。
草丈が10 cmを迎えるころには追肥と、株が倒れないようにするため土寄せを行っていく[14]。肥料を好むため、追肥は2週間に1回ぐらいのペースで与えるとよい[11]。草丈が12 - 15 cmになったころが収穫期で、下の葉を4 - 5枚残すように中心から上部の茎葉を摘んで収穫する[11][14]。残った株からわき芽が出てくるので、株元から少し離れたところに追肥すると、わき芽も伸びて次々と収穫することが出来る[15][14]。
シュンギクは家庭などで手軽にコンテナ栽培もでき、大きめの鉢に種をばらまいて、間引きや施肥は畑で育てる要領で、水やりを切らさないように注意しながら行う[15]。
病虫害に、ヨトウムシ、アブラムシ、ハモグリバエがついたり、炭そ病、ベと病にかかる場合がある[12][13]。それでも、キク科のシュンギクは病害虫が少なく、作りやすい野菜だといわれている[11]。アブラナ科の野菜に発生する害虫を防ぐ効果もあり、コンパニオンプランツとして利用できる[11]。
注釈
出典
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Glebionis coronaria (L.) Cass. ex Spach”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum coronarium L. var. spatiosum L.H.Bailey”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum coronarium L.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum coronarium L. f. spatiosum (L.H.Bailey) Kitam.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Xanthophthalmum coronarium (L.) P.D.Sell”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chrysanthemum roxburghii Cass.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 講談社編 2013, p. 129.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 23.
- ^ a b 【旬菜物語】シュンギク(JA福岡市)癖少なく 生もいける『日本農業新聞』2020年1月11日(8-9面)
- ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 122.
- ^ a b c d e f g h 金子美登 2012, p. 116.
- ^ a b c d e f g h i 丸山亮平編 2017, p. 62.
- ^ a b c d e f g h i j 藤田智監修 2019, p. 175.
- ^ a b c d e f g h 丸山亮平編 2017, p. 63.
- ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 123.
- ^ a b c “春菊(しゅんぎく,シュンギク)農業”. ジャパンクロップス. アプレス. 2021年11月7日閲覧。
- ^ “春菊(しゅんぎく,シュンギク)市町村産地”. ジャパンクロップス. アプレス. 2021年11月7日閲覧。
- ^ 文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』
- ^ 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)』
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