シオカラトンボ シオカラトンボの概要

シオカラトンボ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/16 14:25 UTC 版)

シオカラトンボ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目 Odonata
: トンボ科 Libellulidae
亜科 : ヨツボシトンボ亜科 Libellulinae
: シオカラトンボ属 Orthetrum
: シオカラトンボ
O. albistylum (Selys, 1848)
亜種 : 日本産亜種 O. a. speciosum
学名
Orthetrum albistylum speciosum
(Uhler, 1858)
和名
シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)
英名
Common skimmer
white-tailed skimmer

特徴

成虫

体長50-55 mm、後翅の長さは43 mm前後の中型のトンボ。雌雄で大きさはあまり変わらないが、老熟したものでは雄と雌とで体色が著しく異なっている。雄は老熟するにつれて体全体が黒色となり、胸部から腹部前方が灰白色の粉で覆われるようになってツートンカラーの色彩となる。この粉をに見立てたのが名前の由来である。塩辛との関係はない。雌や未成熟の雄では黄色に小さな黒い斑紋が散在するので、俗にムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)とも呼ばれる。稀に雌でも粉に覆われて"シオカラ型"になるものもあるが、複眼は緑色で、複眼の青い雄と区別できる。

幼虫

シオカラトンボのヤゴの3Dモデル

終齢幼虫の体長は20-25 mm程度、腹部背面には他のトンボ科のヤゴにしばしば見られる背棘(はいきょく:各節中央にある棘)が全くない。概形は一見オニヤンマの小型のヤゴにも似るが、(あご)の合わせ目のギザギザが小さく、手で掴んでもオニヤンマのヤゴのように腹部末端を反り上げて刺そうとするような行動もしない。

生態

飛翔の40倍高速度撮影
実時間1.2秒

主として平地から低山地帯までの標高の低い場所に生息し、どちらかと言えば開けた環境を好む。自然の池沼や流れの緩い小河川のほか、水田公園の池など人工の水域にも住むため、市街地でもよく見られる。他のトンボ同様、成虫・幼虫とも肉食で、小型の昆虫をよく喰う。幼虫は10齢以上を経て羽化するものと推定され、1年に2世代を営むと考えられている。幼虫で越冬し、羽化は春から初秋まで連続的に見られ、水面から出た植物の茎、杭、護岸の壁面などで行われる。本州では4月中旬頃から成虫が現れて10月頃まで見られるが、暖かい沖縄では2月末頃から成虫が出現する。

成熟した雄は縄張りを占有し、草上などに静止して警戒する。交尾は草や地面の上で行われ、その後は雄の警護下で雌が単独で産卵する。この雄の警護は、交尾相手の雌が産卵を終えるまでの間に他の雄と交尾するのを防止する適応的意義が大きいと考えられている。シオカラトンボの雄は多くのトンボと同様に交尾時に前にその雌と交尾した雄の精子が産卵時に受精に与るのを防ぐ操作を行うことが知られているが、カワトンボ類で知られているように貯精嚢内の精子の掻き出しを行うのではなく、奥に押し込むことで出口から遠ざける。

産卵は水面の上にホバリングしながら、腹部末端で水面をノックするようにして行われる。この行動は、平らで光を反射する面に対する反応として行われるため、たまには車のボンネットや、あるいは和室に飛び込んできて畳の面でこれを行うのを見ることがある。


  1. ^ Clausnitzer, V. (2009). "Orthetrum albistylum". IUCN Red List of Threatened Species. Version 3.1. International Union for Conservation of Nature. 2013年2月22日閲覧


「シオカラトンボ」の続きの解説一覧




シオカラトンボと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シオカラトンボ」の関連用語

シオカラトンボのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シオカラトンボのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシオカラトンボ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS