ギャラリーフェイク ストーリー

ギャラリーフェイク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 04:20 UTC 版)

ストーリー

表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と様々な美術品を通じて、時に世界を駆け巡り、「美とは何か?」を追い求める。主人公は単なる守銭奴・単なるビジネスではなく、アートへの奉仕者、美の探求者として清濁併せ呑む人物として描かれている。美術・芸術・骨董・その背景となる歴史などの多分野にわたる薀蓄的描写があり、助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も描かれる。1話1エピソードが基本で、2話1エピソード、3話1エピソードの中長編がいくつかある。エピソード毎にゲストキャラクターがいるので、レギュラー、準レギュラーを含め登場人物は大変多い。

芸術に絡んで社会問題・時事問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

登場人物

声は「WEBドラマ版 / TVアニメ版」の順。

主要人物

藤田玲司ふじた れいじ
声 - 子安武人 / 森川智之
主人公。アートギャラリー「ギャラリーフェイク」を営む美術商。メトロポリタン美術館(MET)の元キュレーター
30代後半の中肉中背の男性。西洋絵画を始めとして東洋美術、彫刻や陶芸、古美術、骨董品、民芸品、果ては玩具まで美術品全般に造詣が深く、知識や観察力(鑑定眼)に優れる[注 2]。加えて高い複製や修復(修理)技術を持ち、特に西洋絵画の贋作製作に長ける。表向きは贋作・レプリカなどの美術品を専門に扱うアートギャラリー「ギャラリーフェイク」を経営しているが、その裏では税金逃れの横流し品や盗品などの表のマーケットで扱えない真作を法外な値段で売る闇商売をしており、美術界の鼻つまみ者として厄介者扱いされている。その商売柄、語学に堪能で駆け引きに秀でており、裏社会との繋がりやコネもある。また、本業の傍らで幻のモナ・リザとされる絵画を探している。
贋作騒動で画壇を追われた日本画家の父を持ち、幼少より美術に接する。美大を卒業後、メトロポリタン美術館(MET)のキュレーターに採用され、上記の天才的な技術と豊富な知識、美術に対する情熱から「プロフェッサー・フジタ」と評される有名人となる。ところが同僚の不正(美術品の横流し)に気づいたため、逆に罠に嵌められて退職を余儀なくされる。その後、帰国して悪徳画商・菱沼棋一郎の世話になり、彼から裏商売を学ぶが、その悪辣なやり方から袂を分かち独立した過去を持つ。
悪徳美術商と見なされているが、美に対する考えはMET時代と変わらず真摯であり、美を解さない者や美術界の不当な権威主義には厳しい。ギャラリーでの展示も贋作ばかりの中に常に真作・傑作をわずかに混ぜており、真作と知らずに足を止めて鑑賞する客を見極めている。裏商売も、美を解さずただ大金を叩いて買うような手合に対しては贋作を真作と偽って法外な値段で売りつけるが、逆に美を理解する者に対しては真作を二束三文で売ることも厭わない。一目には悪徳に見えることもその実は美術品の紛失や散逸を防ぐためであり、利害に絡まない第三者の押し付けがましい理想論を嘲笑う。また、美術に素質がある人間への支援も惜しまずパトロンや人材の仲介なども行っている(4#5や27#8など)。このため、藤田の人となりを知って賀茂のように評価を翻した者もいれば、三田村や地蔵のように普段は批判しつつも藤田を更生させたいと考える者も多い。また、MET時代の藤田を知る者でも、現在の彼を知って失望する者もいれば(1#6)、変わらず接する者もいる(24#3)。
億単位の美術品を扱っているが、プライベートはガサツで風呂なしボロアパートに住む。タバコを吸いながらパチンコをするシーンも多い。美術とパチンコ以外では蟹が大好物で、特に蟹チャーハンは自らこだわって調理する[4]。若作りだが顔立ちは悪くなくスマートであるため、比較的モテることが多く、女性関係は幅広い(失敗も多い)。サラに対しては、彼女の好意を知りつつも男女の仲にはならず、のらりくらりとかわす。しかし、大事には思っており、サラが飛行機事故で亡くなったと思われた時には酷く取り乱した(28#5)。
名前の元ネタは画家の藤田嗣治から。
サラ・ハリファ
声 - 西村ちなみ / 川澄綾子
メインヒロイン。藤田の助手。アラブの王族出身で富豪。
浅黒い肌と長い黒髪の中東系の美少女。年齢は不明(パソコン通信では19歳と自称。作中では飲酒している)。見た目や言動は天真爛漫な少女そのものだが、実は王族出身で資産家。右腕に酷い火傷の痕がある。後述の経緯から日本に流れ着き、傷ついたゴッホの「ひまわり」の一件で藤田に助けられ、押しかけるような形で彼の助手として「ギャラリーフェイク」に勤め始める。藤田を好いており、積極的にアプローチすることもあるが、当の藤田が朴念仁であることや、のらりくらりとかわすために業を煮やすことも多い。日本での生活では都内の高級ホテルのスイートルームを年間契約で借り切って一人暮らしをしている。
その出自は「Q首長国」の王族で、幼少より西洋美術に見識のあった両親の元で育つ(両親の一族内での地位は不明)。ところがクーデターによって両親を失って国を追われ(この際に右腕を負傷する)、その逃避行中に形見の「ひまわり」を騙し取られてしまう。そのため「ひまわり」の行方を追って日本に辿り着き、藤田によって取り戻すことに成功する。上記のクーデターの詳細は不明だが、親戚は健在である上、両親の莫大な遺産は維持されている(加えて日本の外務省が気を遣う要人でもある)。故国に帰省するエピソードもあり、現在も日本にいるのは、あくまで藤田に惚れているためである。
美術知識・鑑定眼はほぼ素人に近いが、幼少より一流の美術品を見てきた経験による感性や色彩感覚など鋭敏な美的センスはある。また資産家であるため、自分が良いと思ったことに対する金払いは非常によく、千手が露頭で売っていた腕時計に言い値の300万円を小切手でポンと払うなどしている。また、上流階級の出であるため、社交性は高く、チャリティーなども主催している。
三田村小夜子みたむら さよこ
声 - かかずゆみ / 雪野五月
準ヒロインかつ藤田のライバル。私立高田美術館の館長。ニューヨーク近代美術館の元キュレーター。
気が強く生真面目な美人。28歳(登場時)。エール大学卒、日本人女性初となるニューヨーク近代美術館のキュレーターを務めた経歴を持つ。藤田には及ばないものの、経歴通りの高い美術知識、鑑定眼を持ち、その手腕と能力を買われて高田美術館の館長に就任する。世界基準から外れた日本美術界の、権威主義的な美術行政や学会、閉鎖的な市場、曖昧な真贋問題といった慣習や悪弊を嫌悪し、変えようと活動する。特に自ら他の美術館へ乗り込んで鑑定を行い贋作判断を行う活動で恐れられ「美術界のジャンヌ・ダルク」と評される。また、交友関係が非常に広く、日本国内・海外問わず、様々な業界の者と親交がある。
MET時代の藤田を尊敬していると同時に、現在の藤田を「美術界に巣食う魑魅魍魎」として批判する。当初は、賀茂と罠を仕掛けて潰そうとしたが、逆にやり込められた上に「ひまわり」の件で助けられる。以降は、表向きは批判しつつも彼の審美眼や美術知識は信頼し、彼が再び表の世界へ戻ることを望むようになる。藤田の方も、表向きは小夜子をからかったり、邪険に扱ったりするものの、彼女が理不尽な目にあっている場合には、陰日向に助けている。

準レギュラー

賀茂水仙
声 - 緒方賢一
当代随一の茶人。初登場は『傷ついた「ひまわり」』(1#2)。
いかにも茶人らしい、穏やかで小柄な老人。小夜子の茶の湯の師匠。藤田を美術界から追放するために、小夜子の頼みを受け砕けた「柴庵」を使って彼をペテンに掛けようとするが、罠を完全に見破られた上、諦めていた「柴庵」を完全に復元したために藤田への態度を改める。以降は藤田の協力者となっており、藤田もまた真の美の理解者として国宝級の器を優先的に賀茂に流すなどしている(3#8)。また、書画の鑑定はやや自信がない藤田の頼みを受けて助言を行うなどもしている(8#6)。
その立場・人柄上、その回のサブキャラクターとして藤田を介さずに登場することも多く、上記の小夜子を始めとして、地蔵や香本とも元々知り合いであった。
轟大一
大手スーパーマーケット「ダイイチ」の創業者兼社長。初登場は『北斎の市』(1#3)。
一代で日本を代表する大手スーパーマーケット「ダイイチ」を築いた社長。もともと美術の素養はないものの、葛飾北斎の作品が好きで自身のデパートに併設した美術館で北斎の展示を行おうとする。当初は悪質アートコーディネーターに騙されて、その言いなりになり大失敗する。その後、改めて藤田に助けを求め、北斎に対する熱は本物だと判断した彼の手助けで、独創的な北斎の展示を行い成功を納める。その後も、菱沼絡みの一件で登場したり(2#7)、サラが誘拐された際には藤田が身代金工面のため急な借り入れにも事情を察して応じたりする(29#1)。
カルロス・ピサーロ
声 - 内海賢二
国際的美術窃盗団及び盗難美術品の仲介業「パンプローナ商会」のボス兼ブローカー。初登場は『13人目のクーリエ』(1#6)。
大柄な体格にスキンヘッドの強面の男。貫禄があり、裏社会の名士としても知られる。今は基本的に部下に指示する立場だが、元は単独の怪盗であり、今でも俊敏な動きを見せることもできる。そのような裏の顔とは対象的に、表向きは家族思い(かつ愛人にもマメな)のよきパパで、オペラ鑑賞が趣味であり、涙脆く感動屋でもある。また、どこまで本当かわからないが、自称・閉所恐怖症で怖がり屋で感情豊か。
商売柄、藤田との関係は長く、互いに持ちつ持たれつの関係。互いの能力の高さは信頼しあっており、時にビジネス関係を超えて助力することもある。個人的な趣味としてジョルジョーネを好む。
35巻においてジョルジョーネの真作探しと謝肉祭を楽しむためのバカンスの為ヴェネチアに滞在した際、新型コロナウイルスに感染し、死亡する(35#5)。カルロス自身は愛人との間の息子レオンを後継にしたく事後を藤田を頼むが、同エピソードでの事件を経て本妻との娘フィオーネが後を継ぐことになる。
黒川紀生
日本画、浮世絵の画商。嘉永画廊のオーナー。初登場は『愛国者のトリック』(2#1)。
日本政界の大物も相手にする有力画商。盗品と知らず売買した雪舟の真筆の一件を巡って藤田に助けてもらい(2#1)、以降、彼と誼を築く。その後はしばしば端役として登場する。
徳川昇
徳川美術運送の社長。美術品搬送の専門家。初登場は『罠』(2#4)。
美術品運搬において業界で絶対の信頼を置かれ、下手な画商より美術品に対する造形が深い中年男性。かつては大手運送会社に勤めていたが6年前に独立したという経緯を持つ。独立して間もない頃、菱沼画廊の仕事を請け負った際に、それが贋作だと気づいて顧客に教えたために、菱沼が零落する原因となり、以降、彼から恨まれる。そこで岸田劉生の肖像画を使った罠に巻き込まれるも、細工をした藤田が菱沼を裏切ったため助かる。以降、藤田と交友関係を築き、彼を危機から救うためにサラに助力したこともあった(7#3)。また、徳川自身が登場しなくても藤田が使う運送会社として徳川運送が出てくることがある(3#4)。
菱沼棋一郎
画商。菱沼画廊のオーナー。初登場は『罠』(2#4)。
その修復も含めた日本古美術に造形が深い美術商。かつてMETを追われた藤田を拾い、贋作商売を教え込んだ画商としての藤田の師匠であり、詐欺師のような胡散臭さも見せる。商売のやり方以外にも日本古美術の修復法なども、藤田に教えた彼の恩人ではあるが(23#7)、逆に藤田の渾身の贋作を足元を見て二束三文で買い叩いた関係でもあり、師弟としての感情は薄い。最後はあまりにも悪辣な菱沼のやり口についていけず、袂を分かったという(4#8)。
物語登場時点では、徳川の件で、贋作商売で信頼を失い、画廊は事実上閉店状態にある。そこで徳川に復讐しようとしたり(2#4)、轟から霊感商法で高価な絵画をタダで手に入れようとしたりしたが(2#7)、ことごとく藤田の妨害に遭い、失敗してしまう。その後、新たに画廊を立ち上げ、今度は逆に藤田の商売を邪魔しようとしたが、キリコの絵で失敗してしまう(4#8)。
23巻7話『もうひとつの鳥獣戯画』で久しぶりに登場するも病の床についており、実は余命1ヶ月として藤田に仕事の依頼を行う。おおよそ死にそうにない、いつものような詐欺師然とした態度に藤田は冗談だと気にしなかったが、実は本当で間もなく亡くなる。最後の依頼は自分の隠し子の財産を守るためのものであり、死の間際には藤田に感謝と共に自分の人生を鳥獣戯画に擬えた手紙を送り、物語から去る。
登場時は、棋一郎の「棋」が「楳」になっている。
エリザベータ
声 - 清水香里
愛称はリザ。本名はエリザベータ・デル・ジョコンダ。初登場は『ジョコンダの末裔』(2#8)。
13年前にローマを訪れた若き藤田と数週間愛し合ったという女性フローラの娘。フローラによれば、リザは藤田との娘だというが、この辺りの正確なことは最終的には曖昧なままとなっている。男の子のようなやんちゃな性格で、子供ながらビールを愛飲する問題児。後述の経緯で最終的に藤田の養女となり日本で暮らすが(ただし、住まいはサラのホテル)、その後、その類稀な歌唱力をオペラ界の第一人者に認められて、北イタリアの音楽院に寄宿するようになる(12#6)。
母と共に、モナ・リザのモデル候補とされるジョコンダの末裔とされ、藤田が探す「もう一つのモナリザ」の鍵をにぎる。別のモナリザのモデル候補コンスタンツァの子孫で、選挙対策からその説に拘るフィレンツェの名士ダヴァロスにその身柄と、ジョコンダ説を強固な物とする「ヴァザーリの手記」を狙われる。唯一の肉親だった母がダヴァロスに結果として殺される形となったため、藤田を頼って日本にやってくる。「ヴァザーリの手記」の一件が片付くと、そのまま身寄りがないことから、血縁関係は真偽不明のまま、対外的には藤田の養女となった。
長谷万次はせ まんじ
消費者金融会社「ミリオンローン」の経営者。通称・ハセマン。初登場は『驕れる円空』(3#1)。
借金返済が滞った顧客の美術品・骨董の処分を藤田に依頼するギャラリーフェイクの常連。前身は銀行員でMOF担と呼ばれる旧大蔵省との交渉を担当するエリート行員でもあったが、その職務内容に嫌気が差し、転身した過去を持つ(14#8)。
ラモス
声 - 堀内賢雄
トレージャーハンター。初登場は『海底に眠る夢』(3#5)。
アメリカ人。隻眼(少年の頃からアイパッチを着けている)の精悍な男。トレージャーハンターとして世界各地の遺跡を荒らして財宝を発掘している。悪ぶってはいるが、お人好しかつお調子者でどこか憎めない性格。発見したお宝を藤田に売るなどして彼とは旧知の仲。初登場時は藤田を出し抜き、まんまと真の狙いであった小型潜水艇を盗み出す。金や名声ではなく、あくまで冒険を志し、発掘旅行の費用や後述の養育費で年中借金漬けであり、たまにお宝を発見して大金を得ても、その費用を元手にまた別の冒険に乗り出す日々を送る。
プライベートでは元妻ショーンとの間に娘がいる。また、地図屋の娘と男女の仲で、商才を発揮して長らく店を手伝っていたこともある(12#4)。
三田村みちる
小夜子の妹でタレント。初登場は『林檎を持つ女神(ヴィーナス)』(3#7)。
知念護人ちねん もりひと
声 - 長島雄一
文化庁の嘱託職員。通称「国宝Gメン」。初登場は『国宝の守り人』(3#8)。
黒縁眼鏡と出っ歯が特徴の小男。元東京地検特捜部検事という経歴を持ち、大の古美術品好き。国宝や重要文化財の指定を行う文化財保護審議会とは別に、その候補の発見と保護を職務とする文化庁の嘱託職員で、市井に転がる数々の名品を見つけ出しては候補に挙げる日々を送る。だが、その本意は、自身の気に入った作品を、警備の問題を指摘するなどして無理やり国家の施設管理下に置くことで自分が好む時にそれらを愛でられる状況に置くという事実上の私物化であり、彼をよく知る者たちから「国宝Gメン」と忌み嫌われている。一方で美術品保護に対する信念は本物であり、背景をよく知らない地蔵からは国士として評価されることもある。
藤田とは互いの悪評を知っていて忌み嫌う仲であるが、それぞれの能力の高さは理解しており、協力関係を築くことも多い。藤田を利用しようとして逆に出し抜かれることが多いが、一方で、自分のミスの尻拭いを土下座してまで藤田に懇願する時もある(27#5)。また、藤田が標的を嵌めるために知念に情報を流すことも多い(6#8)。
アニメでは初登場が『消えた黄金仏』に変更され、藤田との出会いの経緯などが変更されている(原作の『消えた黄金仏』には登場しない)。
吉岡
Y大学助教授で、エジプト考古学者。初登場は『ナイル盗掘ツアー』(4#2)。
テレビでの露出が多いため世間的に有名な人物。藤田からタレント文化人と揶揄される。未だに助教授であることを気にしている。MET時代の藤田と面識があると同時に、現在の藤田をよく思っておらず、偶然エジプトで出会った彼が盗掘をしようとしていると予想し、彼をペテンにかける。ところが、ペテンをかけた先こそが、未だ見つかっていないハトシェプスト女王のミイラの安置場所であり、藤田からミイラ発見の偉業に対する50万ドルの取引を持ちかけられ応じる。
6#2で再登場し、藤田やラモスを批判しながらも、テレビ企画として彼らと共にアマゾンの黄金郷探しを行う。なお、この時点でもまだ助教授のままである。
翡翠フェイツイ
声 - 田中敦子
宝飾店「JADEジェイド」を営む宝石商。また宝石専門の泥棒。初登場は『翡翠フェイツイの店』(5#1)。
色香の衰えていない熟女。宝石の目利きからカッティングまで全般に精通する。一方で気に入ったものは盗み出すという世界的な女泥棒。色香を使って藤田を手玉にとることも多い。また、宝石以外にミステリークロックの熱心なコレクター。
少なくとも7年以上前から藤田と面識があり、彼の顧客リストを狙って初登場する。瑪瑙の密かな裏切りで計画は失敗するが、その後も東京の店を本拠地として、しばしば藤田と関わる。
瑪瑙めのう
声 - 清川元夢
翡翠の部下。初登場は『翡翠フェイツイの店』(5#1)。
温和で上品な中年紳士。翡翠の部下として宝飾品関係の知識も広く、裏社会にも通じる有能な人物。翡翠の宝石泥棒稼業ではサポート役をこなし、彼自身の窃盗技術も高い。極度のマゾで、翡翠から褒められるより暴力を受けたい一心で、わざとヘマをすることもある。
翡翠の忠実な部下かつ彼女をよく理解するがゆえに、彼女の危険を未然に防ぐこともしている。最初のエピソードでも、ギャラリーフェイクと競合するべきないという考えから、彼女を密かに裏切り、サラに手を貸す。
カジム
サラのいとこ。大学院の研究員。初登場は『ペルシャの秘宝』(5#4)。
大学院でイスラム文化の研究をしている男性。そのため、イスラム文化に造形が深く、また王族として相応しい服装などを気にしている。実は原理主義過激派のメンバーでもあり、当初はラスター彩陶を盗掘しようとしていると疑った藤田の命を狙うが、その目的が復元であること、さらにサラの嘘で既に彼女が藤田の子を身籠っていると勘違いし、見逃す(5#4)。その後もしばしばQ首長国が舞台となる場合に登場し、特に第32巻の最終エピソードでは藤田を手助けする。
舟越誠一郎(ふなこし せいいちろう)
高田美術館の学芸員。初登場は『二人の嫌われ者』(6#3)。
小夜子の部下で、彼女に密かに好意を抱いている青年。高田美術館では一番の新米。小夜子のために藤田に掛け合うなど職務に熱心なエピソードもある反面、舟越を含めた美術館の学芸員たちが能力不足で小夜子一人に負担が掛かっているエピソードや、勤務中にギャルゲーで遊ぶなど不謹慎なシーンもある。
木戸
ニンベン師(偽の運転免許証やパスポートを作る偽造屋)。初登場は『ニンベン師』(7#5)。
日本一のニンベン師を自称するなど、自分の仕事に絶対の自信とプライドを持ち、安易な仕事は断る職人肌の人物。藤田に渾身の作(日本酒のラベル)を見破られ、彼の鼻を明かすため偽札製造を行い(7#5)、その後もパチンコの封印シール(8#2)などで藤田と因縁を持つ(いずれも最終的には藤田が勝っているが黙っているため、木戸自身は常に自分が勝ったと勘違いしている)。その後、スキミングの一件で藤田を助け(21#3)、以降は藤田の協力者になったらしく、27#5では藤田の急な依頼でカードキーの偽造を行い、27#7では彼に仕事を依頼している。
重度の警察フェチで警察イメクラに通い、そこの嬢であった麗美を公私のパートナーとしている。その後、足を洗い[注 3]、自ら凝りに凝った警察イメクラを経営している(21#3)。
仁王
高校生。後にプロレスラー。初登場は『仁王見参』(7#8)。
筋肉質で大柄な体格だが気弱な青年。日々、不良達のイジメを受けており、さらにカツアゲされて金に困り、家の仁王像を藤田に売ろうとする。この仁王像が逸品であったことや、仁王の事情を知った藤田に助けられ、度胸をつけてもらい、まさに仁王像な出で立ちで不良達を追い払う。その後、仁王像を買ったプロレスのプロモーターに見出され、プロレスラーとして活躍する。
益田
ハタ師(旧家を回って骨董品などを仕入れる人間)。初登場は『タブーの乾山』(8#1)。
基本は藤田の旧知のハタ師として名前が登場するのみで、藤田が欲している骨董品や情報を提供する。
藤原いづみ
ゲイクラブのママ。初登場は『書道・衆道』(8#6)。
サラが女性と勘違いするほどの和装の美人。作中ではクラブの常連である藤田に、金策のため、かつて少年時代の書道の師匠からもらったという良寛の書を売りたいと持ち込む。その際に衆道の方の師匠であったことも朗らかに話すが、実は性的知識がないところに、少年愛者の師匠より裸で書を書かされるなどの性的虐待を受けていた。さらには彼が撮影していた写真が家族や学校にバレてトラブルになり、最後は師匠の家に火を着けたという心の傷がある。実は良寛の書は師匠が作った贋作であること、さらにその製法すらも知っていたが、その贋作を藤田と賀茂がほぼ真作と判断して高く評価したことに、逆にトラウマが抉られることになり、最後は自らこれが贋作であると暴露する。
その後も店の子が依頼人なるなど、しばしば登場する(23#2)。
千手計せんじゅ はかる
声 - 山口勝平
時計師で、超高級機械式時計専門店「千手堂」の店主。初登場は『千手堂の男』(9#2)。
やや神経質で世間慣れしていない青年。世界的なクォーツ時計メーカー「オイスター」の御曹司で幼少より時計に接し、父に才能を見込まれてスイスで時計師修行をした経験を持つ。その腕前は機械式時計にも詳しい藤田を驚嘆させるほどの物だが、高級な機械式時計に拘るあまり、クォーツ時計である父の会社を継ぐ気はなく、帰国後に自らが製作した時計を売る「千手堂」を開いていた。時計自体の価格が高い上に(サラに売ったもので300万円)、真に時計の価値を知る客でなければ売らないという頑迷なポリシーのため、店は閑古鳥が鳴いている。
自分の時計を一目で気に入り、大金をポンと払ったサラに好意を抱く。そのため、藤田にはライバル心を抱いており、最初のロレックスの組み立て勝負では、その腕を認めつつも、わざとネジを隠すという姑息な真似をしてしまう。しかし、父との確執を藤田のおかげ(伝説の懐中時計「マリー・アントワネット」の復刻)で解消でき、以降は、変わらずサラに恋慕しつつも(13#8)、藤田の依頼を受けるなどしている(17#1など)。
高倉隼人たかくら はやと
声 - 大川透
八曲署の生活安全課の刑事(警部補)。初登場は『TIN TOY刑事(デカ)』(10#3)。ただし端役としては『イタチの辰蔵』(10#1)で登場。
ブリキ玩具に目がない大柄のベテラン刑事。趣味面では情けない姿を見せることもあるものの、刑事としては非常に優秀。公式には生活安全課の刑事だが、作中では窃盗犯(10#1)や殺人犯(27#1)の捜査をしていることもある。
地蔵大作
高級料亭「望月」の主人。初登場は『地蔵現る!』(14#5)。
肥満体の丸顔で額に白毫を思わせる黒子があり、かつ後述の性格も含め、名前の通りお地蔵様に見える中年男性。高級料亭の主人らしく腰が低く、風流を解し、藤田とは対照的な好人物。特に現代の孟嘗君といった懐の広さを持ち合わせており、様々な人間と交友を持つ。たとえ泥棒などいかがわしい人間でも許し、懐に抱え、更生させる。目利きなど、個々の能力では自分は二流と認めつつも、一流の人間を見抜き、彼らと広く交友することに価値があると自負する。そして一匹狼である藤田と仲間が多い自分を比較して、どちらが望ましい人生かを藤田に問う。藤田を一流の人間として高く評価するがゆえに、足を洗って表社会でまっとう生きることを望んでいるが、それを藤田からはお節介として煙たがられる。初登場時など、藤田をやり込められる数少ない人物だが、MOF担の如何わしい人物との付き合いから「はてなの茶碗」で恥をかくなど、逆に藤田にやり込められることも多い。他方で、国宝の五重塔再建や桜の花見など、協力することもある。
美鈴
横浜にある西洋アンティーク専門店「スワン」の店主である老婆。初登場は『かくも長き不在』(16#6)。
藤田から骨董界の妖怪と評されるこの道40年のプロのバイヤー。性格は偏屈であり、藤田からは根性ワルとも陰口される。世界中の陶磁器の窯印が網羅・解説された絶版の古書を所有しており、藤田から羨まれる。元は最愛の夫と初めた店であったが、夫は海外の山で遭難して行方不明となり、店が生き甲斐となっている。顧客は少ないが大口ばかりで経営は無難と藤田からは見られていたが、実は大きな借金があり、加齢による体調の問題も合わせ店の存続は危うかった。店を気に入ったサラによって、形式的には彼女が買収という形で店の存続を果たす。
店にはサラが入り浸っており、その後もしばしば登場する。
ジャン・ポール・香本(ジャン・ポール・こうもと)
声 - 速水奨
調香師香道の家元。初登場は『奈翁(ナポレオン)のオー・デ・コロン』(18#2)。
「鼻(ネ)」と呼ばれる香りのプロフェッショナル。世界的に著名な調香師で、常人離れした鋭敏な嗅覚を持ち、体臭からその人の健康状態を把握したり、アロマテラピーに関しても相当な知識と腕前を持つ。背の高い美丈夫でもあり女性人気もあるが、その探究心は狂気と紙一重で、香りのためには変態的な行動を取ることも多い(鶏の生き血を浴びるなど)。後述のことからサラに執心しており、無理やり肉体関係を迫ろうとしたほどで、サラからは苦手意識を持たれている。一方、藤田のことは「カニ臭い」と称して嫌っており、サラの件もあり、犬猿の仲にある。嗅覚が敏感であるためにワサビなどの刺激臭が大の苦手で、しばしば藤田にやり込められる。
上記の通り、女性にモテるが、相手の体臭にも拘るため基本は一匹狼。特にフェイツェイとサラの体臭を「たぐいまれなる高貴な香り」と評して好み、楊貴妃の香りを再現するためサラをさらに徹底的な香りのための体質改良を行った(19#6)。
ロジャー・ワーナー
声 - 大塚芳忠
ロンドン警視庁美術骨董課の捜査官。初登場は『似た者どうし』(18#5)。
オカッパ頭で個性的な顔立ちの中年男性。盗難に遭った美術品の捜査・回収の専門捜査官であり、一流美術館のキュレーター並の知識や鑑定眼を有し、特に西洋絵画に対する造詣が深い。職務以上に、名画に会えることを楽しみにしている面もあり、その能力と美術品への熱意は藤田からも認められる。
捜査では巧みな変装でバイヤーなどに扮し、悪質ブローカーと接触する。変装する人物は様々おり、それぞれ個々の設定に余念がない。『二重奏』(21#2)では、普段のオカッパ頭もカツラで、変装のために坊主にしているシーンも描写される。
宮森
アニメやゲームのメカニックデザイナー。初登場は『カリスマ真贋』(22#4)。
藤田のボロアパートの隣室に引っ越してきた中年男性。アパートの廊下で自ら効果音を発してプラモデルで遊ぶなどの奇人だが、メカニックデザイナーとしてはその道で知られた有名人。しかし、商売に興味がないこともあって貧乏生活を送っている。ジャパニーズサブカルチャーを基にした現代アートが世界で高く評価され、高価格で取り扱われる中にあって、藤田より真の貢献者だと評される。
後にも登場し、映画批評で絶大な力を持ったインフルエンサーを失脚させる手助けをしている(28#3)。
ハンス・ポッセ
ドイツ人。ナチス略奪品の調査・回収を行う「カナン・ファウンデーション」の弁護士。初登場は『20世紀より来た刺客』(24#2)。
その徹底的なナチス略奪品の調査・回収によって「Wolf(ドイツ語で狼)」の異名で恐れられる青年。美術への造詣が深い。かつてナチス政権下で美術品収集を行った同名のハンス・ポッセ英語版の孫で、贖罪のためにあえてその名を名乗っているという。特に職務意識を超えて第一級の美術品に心を踊らせてしまうことを、美術に溺れ戦争犯罪に加担した祖父と同じだとみなし、強く自身を律しようとする。
ニコライ・カプスチン / G・D
総統美術館の構成員(後に館長、G・D)。初登場は『ジョコンダの姉妹』(25#6)。
無愛想な小柄な中年男性。ロシア人。元はサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館の優秀なキュレーターであったが、ソ連崩壊の余波で真っ先にクビになる。その後、画商というよりブローカーのロトチェンコに拾われ、彼の右腕として暗躍する。ロトチェンコが、総統美術館の設立を目指すナチ残党の協力者だったことから、カプスチンも総統美術館のために尽力する。卓越した美術知識と、芸術という魔に取り憑かれており、ロシア人ながら、先代より後継者に指名され、G・D(ドイツ語で館長の意)を名乗ることも多い。
フィオーネ
パンプローナ商会CEO。カルロスの娘。初登場は『幻のジョルジョーネ』(35#5)。
カルロス亡き後に、商会を継いだ彼の実娘(本妻の娘)。インテリ的で険のある外見通りの締まり屋で、カルロス存命時から会社の経理や事務を担っていた。能力は高く、父に強い敬意を抱いており、藤田からはティツィアーノ・ヴェチェッリオに擬えて「最強の後継者」と評される。以降も、しばしば登場し、藤田の頼みを受ける。

評価

南 (2013, p. 80) は、作者の知識と取材に裏打ちされた巧妙なストーリーテリングまさに職人技と評し、合間に挟まれる食事シーンが物語の緩急やキャラクターのリアリティを生んでいると述べる。


出典

  1. ^ a b 同書への収録を前提として描かれた。
  2. ^ 逆に苦手なものとしては書作品を挙げており、実際に良寛の贋作に騙されている(8#6)。ただし、相対的な意味での苦手であり、副島種臣の書(22#5)の評価など、素人同然というわけではない。
  3. ^ 足を洗ったというが、27#5や27#7では偽造を行っている。
  1. ^ a b c “「ギャラリーフェイク」フジタが“悪女ヒロイン”に!縦スクロールマンガとしてリメイク”. コミックナタリー (ナターシャ). (2024年3月7日). https://natalie.mu/comic/news/564090 2024年3月7日閲覧。 
  2. ^ 細野不二彦氏『ギャラリーフェイク』33集&『短編集②』同時発売”. 小学館公式サイト (2016年11月29日). 2022年11月27日閲覧。
  3. ^ “SPINET”. SPINET. オリジナルの2003年2月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20030217123817/http://spi-net.jp/ 2018年10月1日閲覧。 
  4. ^ 南 2013, pp. 80–81.
  5. ^ “SPINET”. SPINET. オリジナルの2003年8月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20030805223104/http://spi-net.jp/ 2018年10月1日閲覧。 






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