はてなの茶碗とは? わかりやすく解説

はてなの茶碗

作者田中啓文

収載図書ハナシがはずむ!―笑酔亭寿謎解噺 3
出版社集英社
刊行年月2008.5


はてなの茶碗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 13:33 UTC 版)

はてなの茶碗』(はてなのちゃわん)は、古典落語上方落語の演目の一つ。東京では『茶金』の名で演じられる。

三代目桂米朝が、子供の頃にラジオから流れていた二代目桂三木助の口演の記憶をもとに戦後復活させた。現代では、米朝の実子五代目桂米團治などが得意として口演している。

あらすじ

京都清水音羽の滝のほとりで、大阪出身の油屋の男が茶屋で休憩していた。そこに京では有名な茶道具屋の金兵衛、通称「茶金」が、茶屋の茶碗のひとつをひねくり回しながら、しきりに「はてな?」と首をかしげた後、茶碗を置いて店を出た。それを見ていた油屋は、あの茶金が注目していたことからさぞかし値打ちのあるものに違いないと考え、茶屋の店主にその茶碗を買いたいと申し出る。同じことを考えていたため断る店主であったが、油屋は売ってくれなければ過失を装って割ってしまうと脅迫まがいの交渉を行い、最終的に二両で茶碗を手に入れる。

油屋はさっそく茶碗を緞子と桐箱に収めると茶金の店へ押しかけ、応対した番頭に千両の値打ちがあると言って茶碗を売り込むが、どう見てもただの数茶碗に番頭は買い取りを拒否する。しかし、自信がある油屋はごね、番頭と押し問答となり、最終的に金兵衛自ら出てくる。茶碗について聞かれた金兵衛は、ヒビも割れもないのに、どこからともなく水が漏れるので、「はてな?」と首をかしげていただけだと明かす。油を仕入れる金も残っていないと意気消沈する油屋であったが、通人でもある金兵衛は、油屋から三両で茶碗を買い取り、いつか親元へ帰って孝行できるよう、地道に励むように諭す。

後日、茶碗を実見した関白・鷹司公によって「清水の 音羽の滝の 音してや 茶碗もひびに もりの下露」という歌が詠まれる。この話が公家たちの間で評判となり、さらには時の帝も興味を持ち、この茶碗から滴った水は御裾を濡らした。茶碗には帝の筆による「はてな」の箱書きが加わり、金満家にして好事家の鴻池善右衛門が千両の保証金と引き換えに預かるという体裁で、金兵衛から茶碗を買い取る。思いがけない展開であったが、やはり通人である金兵衛はこれを自分だけのものとせず、油屋を探し出すと半分の五百両を渡し、残りを慈善の施しに使い、余った分で家中の者たちのための宴を開きたいと告げる。油屋は深く感謝し、金兵衛のもとを辞する。

すると後日、再び油屋が金兵衛の元に現れ、「十万八千両の金儲け」だという。理由がわからない金兵衛が問いただすと油屋はこう答えた。

「今度は水甕の漏るやつを見付けて来ました」

特徴

戦後途絶えていたのを資料を基に再構成したもので、基本の筋はそのままだが、ほぼ米朝による創作とされている。一山あてようとする油屋のエネルギッシュさ、それを受け流す茶金の鷹揚さとが見事な対比を成していて、店先での両者のやり取りがこの噺の眼目でもある。[要出典]とくに、鴻池、関白家、宮中、とのつながりのある茶金の存在感は大きく、「『店が騒がしい』の一言が日本第一の文化人、茶金になっている」[1]と評されているように、品格が求められ、演じ方が難しい。また、関白や時の帝が出てくる唯一の噺で、その点でもスケールが大きい。[要出典]

鴻池、関白、帝の台詞は地の文とそんなに違わないように演じる口伝がある。また、サゲの直前でも地の文と台詞の移行が難しい箇所があり、いずれも演者の手腕が求められる。自ら高座によく上がる松尾貴史がこの噺を演じたとき、米朝の口演のCDを繰り返して聞いて練習したおかげで、この箇所を上手く演じ、称賛を受けたことがある。[要出典]

舞台化

2023年、わかぎゑふの脚本・演出による舞台『上方落語~はてなの茶碗より~伊之吉の千両茶碗』が、5月に大阪・新歌舞伎座、6月に名古屋・御園座で上演された[2][3]

油屋の伊之吉を松平健、金兵衛を五代目米團治、金兵衛の息子を辰巳ゆうとが演じる[2]

脚注


はてなの茶碗(*)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 20:31 UTC 版)

ちりとてちん (テレビドラマ)」の記事における「はてなの茶碗(*)」の解説

第22週-第24週取り上げられた噺。秀臣が正平作った塗箸見てあの時一緒だ」と意味深な言葉を残したのを聞いた小次郎正平塗箸値打ちがあると合点して京都儲けようとしたのを見て喜代美がこの展開に似た噺の説明をする。小草若は草々手を付けていないからという理由で、この噺を寄席演じた草原教えを請うた。この噺は「底抜けに〜」のネタ混ぜた小草若の十八番になった

※この「はてなの茶碗(*)」の解説は、「ちりとてちん (テレビドラマ)」の解説の一部です。
「はてなの茶碗(*)」を含む「ちりとてちん (テレビドラマ)」の記事については、「ちりとてちん (テレビドラマ)」の概要を参照ください。


はてなの茶碗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 20:31 UTC 版)

ちりとてちん (テレビドラマ)」の記事における「はてなの茶碗」の解説

秀臣が正平作った塗箸見てあの時一緒だ」と発し、それを聞いた小次郎正平塗箸値打ちがあると思い込む。京都売り行った結果儲けにならなかったため、小次郎は秀臣に「ややこしい箸の見方をするな」と抗議した

※この「はてなの茶碗」の解説は、「ちりとてちん (テレビドラマ)」の解説の一部です。
「はてなの茶碗」を含む「ちりとてちん (テレビドラマ)」の記事については、「ちりとてちん (テレビドラマ)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「はてなの茶碗」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「はてなの茶碗」の関連用語

はてなの茶碗のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



はてなの茶碗のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのはてなの茶碗 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのちりとてちん (テレビドラマ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS