カブトエビ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/03 09:50 UTC 版)
この記事で示されている出典について、該当する記述が具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 |
カブトエビ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
tadpole shrimp | |||||||||||||||||||||
属 | |||||||||||||||||||||
特徴
大きさは2-10cm、鰓脚類にしてはかなりの大型である[2]。
ミジンコ類やカイエビ類と共に鰓脚類に含まれる。しかし、体の左右に包まる背甲と発達した第二触角をもつミジンコ類とカイエビ類に対してカブトエビの背甲は平らに開き、第二触角は著しく退化し完全に欠如した場合もある。短い第一触角は背甲前方の腹側にあり、大顎は発達する。背甲の前方には2つの大きな複眼・1つの目立たないノープリウス眼・および1つの丸い背器官(dorsal organ)が集約する[3]。胸部と腹部は多数の節に分かれ、腹側にある11対の胸肢と数十対の腹肢は鰭状で、呼吸と遊泳に使われる。第1対の胸肢からそれぞれ3本の糸状部が伸ばし、感覚器官として役を果たす。本当の触角は不明瞭であるため、この触角のような第1胸肢はしばしば触角と誤解される場合もある。腹部後端には1対の尾肢が備える[4]。
日本では6-7月、水田などに大量発生する。水田への注水後10時間程度で孵化が始まり、6日程度継続して孵化する[5]、孵化から10日程度で産卵し、1 - 2か月の短い一生を終えるが、成長速度と生存期間は水温で大きく変化する。水温が21 °Cの場合、アジアカブトエビは8日目、アメリカカブトエビは10日目、ヨーロッパカブトエビは16日目から産卵する[6]。水田の水抜きで水が枯れる頃には、泥内に卵が残っている。他の地域では頻繁に干上がるような浅い水たまりや池に生息することが多く、乾燥に強い耐久卵を持ち、水田のような環境に適応したものと考えられる。雑食性で、泥中の動植物の死骸の破片や小型藻類、プランクトンを泥と共に捕食する。
分布
日本国内では以下の4種が生息する。
- アメリカカブトエビ(Triops longicaudatus):関東以西
- ヨーロッパカブトエビ(Triops cancriformis):山形県、長野県[7]
- タイリクカブトエビ(Triops sinensis):鳥取、近畿地方(※従来アジアカブトエビ(T. granarius)とされていたもの)
- シラハマオーストラリアカブトエビ(Triops strennus):和歌山県
タイリクカブトエビは在来種と考えられる[8]が、残りの2種はいずれも移入種で、1916年、香川県でアメリカカブトエビが発見された[9]後、各地で発見されている。関東・中部地方以西に広く分布している。なお、タイリクカブトエビも中国からの帰化動物という研究もある[10]。
また、日本周辺ではヘラオカブトエビ Lepidurus arcticus が千島列島から記録されている[11]。
- ^ a b “WoRMS - World Register of Marine Species - Calmanostraca”. Flanders Marine Institute. 2019年1月15日閲覧。
- ^ Denton Belk (2007). “Branchiopoda”. The Light and Smith Manual: Intertidal Invertebrates from Central California to Oregon (4th ed.). カリフォルニア大学出版. pp. 414-417. ISBN 978-0-520-23939-5
- ^ Longhurst, A R (1955). “A review of the Notostraca”. Bulletin of the British Museum (Natural History) 3: 1-57. doi:10.5962/bhl.part.4119. ISSN 0007-1498 .
- ^ “Crustacea, the Higher Taxa - Notostraca (Branchiopoda)”. Australian Museum. 2019年1月15日閲覧。
- ^ 奥埜良信「アジアカブトエビ(Triops granarius)休眠卵が孵化する時間と幼生の変態段階」『大阪教育大学紀要. 第III部門自然科学・応用科学』第51巻第1号、大阪教育大学、2002年9月、 17-26頁、 ISSN 13457209、 NAID 80015866969。
- ^ a b 高橋史樹、郷田雅男、赤山敦夫「カブトエビ3種の生命表の比較」『日本応用動物昆虫学会誌』第24巻第4号、日本応用動物昆虫学会、1980年、 229-233頁、 doi:10.1303/jjaez.24.229、 ISSN 0021-4914、 NAID 110001113220。
- ^ 篠川貴司「長野県の水田で採集されたヨーロッパカブトエビ」『CANCER』第9巻、日本甲殻類学会、2000年、 15-16頁、 doi:10.18988/cancer.9.0_15、 ISSN 0918-1989、 NAID 110002952124。
- ^ 片山寛之「カブトエビによる水田雑草の生物学的制御」『日本応用動物昆虫学会大会講演要旨』第17号、日本応用動物昆虫学会、1973年4月3日、 202頁、 NAID 110001081026。
- ^ a b 浜崎健児「慣行農法水田と有機農法水田におけるアメリカカブトエビ Triops longicaudatus(LeConte)の発生」『日本応用動物昆虫学会誌』第43巻第1号、日本応用動物昆虫学会、1999年2月、 35-40頁、 doi:10.1303/jjaez.43.35、 ISSN 00214914、 NAID 110001124523。
- ^ 出典:片山寛之、高橋史樹(1890)カブトエビ-日本への侵入と生体。川合貞次等編「日本の淡水生物-侵入と攪乱の生態学」東海大学出版協会
- ^ 上野益三「Lepidurus arcticus(PALLAS)千島に分布す : 鰓脚類雜記5」『動物学雑誌』第42巻第498号、東京動物學會、1930年、 152頁、 NAID 110003359345、 NDLJP:10832987。
固有名詞の分類
- カブトエビのページへのリンク