カブトエビ 分類

カブトエビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/03 09:50 UTC 版)

分類

鰓脚類の中でカブトエビはカイエビミジンコ類と単系統群をなしている。これらは葉脚亜綱 Phyllopoda としてまとめられ、もしくはカブトエビが自らカブトエビ亜綱 Calmanostraca を構成し[1]、他の鰓脚類から区別される。カブトエビ(背甲目 Notostraca)はカブトエビ科 Triopsidae のみからなり、この科はカブトエビ属 TriopsLepidurus 属が含める。両属の見分け方として、カブトエビ属の第一胸肢の糸状部は長く、Lepidurus 属の尾節にはヘラ状の突起がある。

  • Triops カブトエビ属
    タイリクカブトエビ
Lepidurus apus

生きている化石

頭部の拡大写真、複眼と背器官が写る。

この類は石炭紀から出現し、中でもカブトエビ属はジュラ紀からの化石も存在し、甲殻類の中でも古い形質を残したものと考えられている。分化した当時から現在までほぼ同じ姿を保ち続けた生きている化石である。その原始的な特徴として、ノープリウス眼がある。大きな目が2つついているように思われるが、中心についている小さな目と合わせ、全部で3つ目である。通常、甲殻類のノープリウス眼は幼生のみに存在するため、このノープリウス眼が成体にも残っていることから原始的特徴と見なされている。

水田の除草

水田では雑草を食べるほか、餌の捕食あるいは産卵のために水底の泥をかき混ぜることにより、水が濁って光が遮られ、雑草の発芽と生長が抑制される。そのため、「田の草取り虫」とも言われている。水田雑草の除草を目的とした場合、生存期間が最長のアジアカブトエビが最適とする研究がある[6]。また、有機農法を行っている水田では水の pH が低いため、孵化しても死滅する[9]とする研究もある。


  1. ^ a b WoRMS - World Register of Marine Species - Calmanostraca”. Flanders Marine Institute. 2019年1月15日閲覧。
  2. ^ Denton Belk (2007). “Branchiopoda”. The Light and Smith Manual: Intertidal Invertebrates from Central California to Oregon (4th ed.). カリフォルニア大学出版. pp. 414-417. ISBN 978-0-520-23939-5. https://books.google.com/books?id=64jgZ1CfmB8C&pg=PA417 
  3. ^ Longhurst, A R (1955). “A review of the Notostraca”. Bulletin of the British Museum (Natural History) 3: 1-57. doi:10.5962/bhl.part.4119. ISSN 0007-1498. http://www.biodiversitylibrary.org/part/4119. 
  4. ^ Crustacea, the Higher Taxa - Notostraca (Branchiopoda)”. Australian Museum. 2019年1月15日閲覧。
  5. ^ 奥埜良信「アジアカブトエビ(Triops granarius)休眠卵が孵化する時間と幼生の変態段階」『大阪教育大学紀要. 第III部門自然科学・応用科学』第51巻第1号、大阪教育大学、2002年9月、 17-26頁、 ISSN 13457209NAID 80015866969
  6. ^ a b 高橋史樹、郷田雅男、赤山敦夫「カブトエビ3種の生命表の比較」『日本応用動物昆虫学会誌』第24巻第4号、日本応用動物昆虫学会、1980年、 229-233頁、 doi:10.1303/jjaez.24.229ISSN 0021-4914NAID 110001113220
  7. ^ 篠川貴司「長野県の水田で採集されたヨーロッパカブトエビ」『CANCER』第9巻、日本甲殻類学会、2000年、 15-16頁、 doi:10.18988/cancer.9.0_15ISSN 0918-1989NAID 110002952124
  8. ^ 片山寛之「カブトエビによる水田雑草の生物学的制御」『日本応用動物昆虫学会大会講演要旨』第17号、日本応用動物昆虫学会、1973年4月3日、 202頁、 NAID 110001081026
  9. ^ a b 浜崎健児「慣行農法水田と有機農法水田におけるアメリカカブトエビ Triops longicaudatus(LeConte)の発生」『日本応用動物昆虫学会誌』第43巻第1号、日本応用動物昆虫学会、1999年2月、 35-40頁、 doi:10.1303/jjaez.43.35ISSN 00214914NAID 110001124523
  10. ^ 出典:片山寛之、高橋史樹(1890)カブトエビ-日本への侵入と生体。川合貞次等編「日本の淡水生物-侵入と攪乱の生態学」東海大学出版協会
  11. ^ 上野益三「Lepidurus arcticus(PALLAS)千島に分布す : 鰓脚類雜記5」『動物学雑誌』第42巻第498号、東京動物學會、1930年、 152頁、 NAID 110003359345NDLJP:10832987


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