ウマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 06:43 UTC 版)
動き
馬は駆けたり、ジャンプすることが得意である。訓練次第ではさまざまな歩法で歩いたり駆けたり、ジャンプすることができる。また、群れで生活する動物であることから、複数の馬が同じ方向へ一団となって駆けるのが、乗馬等で指示しない場合は、通常である。
歩法
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英語:Walk、日本語:なみあし(漢字表記:常歩) 5–8 km/h (3.1–5.0 mph)
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英:Trot、日:はやあし(速歩) 8–13 km/h (5.0–8.1 mph)
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英:Pace、日:側対歩 8–13 km/h (5.0–8.1 mph)。ただしこの動画はスローモーションで再現している。実際の動きはもっと速い。
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英:Canter、日:かけあし(駈歩) 16–27 km/h (9.9–16.8 mph)
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英:Gallop、日:しゅうほ(襲歩) 40–48 km/h (25–30 mph), record: 70.76 km/h (43.97 mph)。ただしこの動画はスローモーションで再現している。実際の動きはこれよりはるかに速い。
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疾走中の馬の脚の動きは速すぎて人の目では理解できず、高速連続撮影が発明されるまで解明されなかった。
ジャンプ
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1920年の障害レース
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ジャンプ
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World cup competition at the 2011 Helsinki Horse Showにて、ウマの Untouchableとドイツ人騎手Daniel Deußerが見せた見事なジャンプ
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空中での一瞬の姿勢
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ジャンプの前半と後半
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ジャンプの分解写真
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ジャンプの動画
リアリング
「後脚立ち」すること、つまり後ろ脚だけを地につけて前脚を宙に向かって上げることを英語では「rearing リアリング」と言う。ウマはさまざまな時にこのリアリングを行うが、たとえば驚いた時、興奮した時、攻撃的になっている時、人間に従いたくない時、背中に乗っている人間を振り落としたい時などに行う。野生のウマ(家畜でないウマ)で、自由に行動しているウマもこれをすることがある。飼われている馬では、訓練次第でこれを意図的にさせることができる。だが乗り手が望まないのに乗馬中に突然この動作をされると、落馬や大怪我などの結果になりがちである。
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人が背に乗らない状態でリアリングするウマ
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騎乗状態での普通のリアリング
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よく訓練されたリアリング
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コントロールできなくなったリアリング。こうなると乗り手は落馬してしまう。
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リアリングしたウマの骨格
後ろ蹴り
ウマが攻撃しようとする時にとりうる行動のひとつが「うしろげり」を食らわせることである。まず後脚で地面を蹴り尻を上げ気味の姿勢になると同時に後脚をやや引き付け、足先を鋭く後方に突き出す。ウマの目は頭部の側面についていて、単眼視野は350度ほどある[13]、と言われており後方もほぼ視野に入っており[14]、後方にいる対象がほぼ見えた状態で狙いをつけてかなり正確に蹴りを繰り出す。ウマどうしの喧嘩でも、しばしば互いに後ろ蹴りを食らわせる。人間が不用意にウマの後方から近づくと(ウマの機嫌が悪い時などは特に)ウマは突然後ろ蹴りをすることがあり、これを食らうとしばしば死亡事故に至る。そもそも馬の脚力は猛烈で、動作も素早くて避け難い上に、馬の足裏には金属性の硬い蹄鉄がつけられているので、人が頭部に食らえばしばしば頭蓋骨骨折の即死という結果となりがちなのである[要出典]。胸部・肩・鎖骨などに受けても骨折するほどの大怪我となりがちである。馬の調教本の多くでも「ウマの後方に立たないように」との注意がなされており、「ウマの後ろ(尻側)に立たないこと」は乗馬クラブなどでも乗馬初心者に対してまず最初に指導されることのひとつである。
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片足での後ろ蹴り(動作の前半)
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片足での後ろ蹴り(後脚が伸びてゆく途中)
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片足での後ろ蹴り(後脚が伸びきったところ)
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両足での後ろ蹴り
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両足での後ろ蹴り(伸びきったところ)
噛み付く
ウマどうしが喧嘩する時にとるもうひとつ行動が「かみつく」ことである。
食べる
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草を食べるウマ
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草を食べるウマ
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干草を食べるウマ(動画)
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木の葉を食べるウマ
リラックス時の動作
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脚を曲げ、座っているウマ
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座っているウマ
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すっかり身体を横にし、脚を伸ばしたウマ
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すっかりリラックスして仰向けになったウマ
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リラックスしたウマたち
フレーメン
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牡(オス)馬は歯をむき出しにして、あたかも笑っているような表情を見せることがある。これを「フレーメン」と呼び、ウマだけでなく様々な哺乳類に見られる。このフレーメンによって鼻腔の内側にあるヤコプソン器官(鋤鼻器)と呼ばれるフェロモンを感じる嗅覚器官を空気にさらすことで、発情した牝(メス)馬のフェロモンをよく嗅ぎ取れるようにしている。発情した牝馬の生殖器の臭いをかがせるとこの現象を容易に起こせるため、ウマのフレーメンに関する歴史的エピソードがいくつかある。また、ウマはレモンなどのきつい匂いをかいだり、初めて嗅いだにおいのときにもフレーメンをし、牝馬もフレーメンをすることがある。[要出典]
速度
![](https://weblio.hs.llnwd.net/e7/redirect?dictCode=WKPJA&url=https%3A%2F%2Fupload.wikimedia.org%2Fwikipedia%2Fcommons%2Fthumb%2F6%2F66%2FMongols_Wrangler.jpg%2F220px-Mongols_Wrangler.jpg)
駆ける速度については、平均60 km/h、ともされ、最高速度は87 km/hともされる。競走用のサラブレッドならば最高87 km/hを出すことができる。また、競走用クォーターホースは、比較的容易に90 km/hを達成する。2005年のアメリカでの調査では、下級戦にもかかわらず302 mのレースのラスト101 mの平均速度が92.6 km/hに達していた[15]。(ただし、馬は速くはあるが、瞬間最高速度ではしばしば「地上最速」(駆ける速度が最速)と形容されるチーターには、さすがにかなわない。チーターのほうは(数秒程度の間は)100 km/h - 110 km/hほどで走ることができる、と言われている。)
速力に優れ、ヒトを乗せてかなり速い速度で走ることができる。実際のレースでの記録としては、クォーターホースの世界レコードで440ヤード(402 m)を20.274秒[16]というものがあり、これは時速に換算すると71.4 km/hとなる。
もう少し長い距離ではサラブレッドが有利となり、1000 mの世界レコードが53.07秒(時速68 km)を記録している。3200 mでも世界レコードは3分12秒5(時速60 km)となっていて、なお速度を維持している。
馬は加速に時間がかかるため、特に短距離戦ではレース中の大部分を上記の速度よりも遥かに速い速度で走っている。2005年のアメリカでの調査では、330ヤード(302 m)のレースのラスト101 mの平均速度が92.6 km/h、440ヤード(402 m)のレースでも、レース中間で時速92.4 kmに達していた[15]。402 mではサラブレッドもレース終盤で時速83.9 kmを記録している[15]。ただし、この2005年の調査は何れも下級戦である。同じ調査で、1006 mのレースでのサラブレッドの速度は、レース中盤でも時速59.6 kmに過ぎなかった。これは、2002年に日本でほぼ同じ距離(1000 m)で記録されたレース中間の200 m区間平均時速75.0 km(9.6秒)[17]よりかなり遅い。
馬術競技のカテゴリーに入るエンデュランス馬術競技は、ヒトにおけるウルトラマラソンに相当する競技であり、30 - 50キロメートルごとに馬体検査(心拍数が規定値を超えると失権)と休憩を挟みつつ最大160キロメートルを走破する。走路は整地されているとは限らず、山や川があったりする。平均速度はこの距離でも時速28 km近くに達することがある。使用するのは中間種でもサラブレッドでも何でもよいが、アラブ種が良く使われる。
競歩に相当する繋駕速歩競走では、Always B Mikiというスタンダードブレッドが、二輪馬車をけん引して側対歩で1マイル(約1609 m)を1分46秒(時速55 km)で完歩した[18]。
注釈
- ^ 欧州南東部にいたターパンが家畜化したという説もある。
- ^ 前者はインド・ヨーロッパ祖語にまで遡ることの出来る古い語彙。後者は、イタリア語の イタリア語: cavallo、スペイン語の スペイン語: caballo、フランス語の フランス語: cheval などに連なる。
- ^ 英: riding horse
- ^ 英: draft horse
- ^ 英: park horse
- ^ 英: walking horse、walker
- ^ 英: trotter
- ^ 英: galloper、runner
- ^ 英: hot-blood horse
- ^ 英: cold-blood horse
- ^ 英: light horse
- ^ 英: heavy horse
- ^ モンゴル語でタヒ、学名はEquus ferus przewalskii。
- ^ 2013年3月1日 - 2014年4月30日。
- ^ 6000年前頃、野生種のモウコウマを黒海からカスピ海の地域で家畜化したものと考えられている。ウマが家畜化されたと考えられる最古の遺跡は黒海の北岸に位置するデレイフカ遺跡から出土した馬である[24]。
- ^ 脚の先から肩までの高さ。
- ^ この時代の馬の体高は四尺(≒120 cm)を基準に、何寸あるというように記される。たとえば源義経の愛馬として名が残る青海波は「七寸」で四尺七寸≒約141 cmとなる。
- ^ このサイズはスピード競争を目的として近代に品種改良が重ねられたサラブレッドの平均的な体高である160-170 cmと比べるとかなり小型であるが、小型種シェトランドポニーの平均的な体高である100 cmに比べると遥に大型である。モンゴル帝国の征服事業で使われた蒙古馬のような中央ユーラシアの遊牧民の優秀な軍馬も日本在来馬と同じ程度のサイズである。馬は一概に大きければ優秀というものではない。
- ^ 小型化が意図的な改良の結果かどうかは不明。江戸期になってウマが軍用としてよりも荷駄用として重用されるようになり、小型のほうが便利だと考えられるようになった、と考える者もいる。一方で、江戸期の文書に現れるウマへの評価は、以前と同様に、大きいものが良い、というものであり、小型化は意図的なものではなく、当時の繁殖の方法論による帰結とも考えられる。
- ^ このうち、吉宗が長崎の出島の貿易でオランダ商人ケーズルより購入した種馬についてはカンス、トロン、ミキルという名も残っている。ウマの品種については不明。当時の日本のウマの分類は産地によるものであり、品種ではないため、オランダ産馬とか唐馬とかペルシャウマと記録されているが、現代でいうアラブ馬に相当するかは不確かである。品種を意味すると思われるものには安永年間に汗血馬を輸入したという記録もある。
- ^ 下総御料牧場の記録によればサラブレッド。
- ^ 明治時代になってフランス公使よりこの件についての抗議を受け、捜索により子孫が発見された。この子孫からは昭和に至るまで活躍競走馬が出た。
- ^ これについては、ナポレオン3世の贈呈馬は26頭で、日本に到着した年を1867年(慶応3年)とする異説もあり、日本外務省も同様の立場である。『日本馬政史』の原文と考えられる『大日本馬種略』では馬の散逸は明治政府に責任があるような記述になっている。詳しくはナポレオン三世の馬参照。
- ^ 欧米では、戦史上最後の騎馬突撃成功例として、第二次世界大戦の独ソ戦におけるイタリア軍騎兵の戦例(1942年)などが挙げられることが多い。
出典
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- ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
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- ^ ブライアン・フェイガン『人類と家畜の世界史』東郷えりか訳 河出書房新社 2016年、ISBN 9784309253398 p.253.
- >> 「ウマ」を含む用語の索引
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