イノンド イノンドの概要

イノンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 13:59 UTC 版)

イノンド(ディル)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: イノンド属
Anethum [1][2]
: イノンド
A. graveolens [2]
学名
Anethum graveolens
L.1753[3][4]
シノニム
和名
イノンド[2]
英名
dill [4]

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである(参照: #分類)。

名称

和名のイノンドの語源は、スペイン語名の eneldo, hinojo hediondo、あるいはポルトガル語名の endro が転化したものと考えられている[7][8]。また、イノンドは同じセリ科のキャラウェイと同じく「ヒメウイキョウ」(姫茴香)とよばれることがある[6][9]

英語名ディルは、古ノルド語(古代バイキング語)で「和らげる」「なだめる」という意味のディラ (dylla) に由来し、古くから西洋では乳幼児の夜泣きやコリック(仙痛)、しゃっくり止めの治療に使われていた[10][11]

分類

イノンドは#歴史で触れるように古くから人類に知られていた植物であり、近代植物学における分類法の基礎となったカール・フォン・リンネの『植物の種』(1753年) で記載されることとなる[12]。なお、この時同時にウイキョウ(フェンネル)もイノンドと同属の Anethum foeniculum として記載されたが、これは後に別属に分けるにあたって新たに Foeniculum vulgare の学名が与えられた[13]。イノンド属 (Anethum) に属する種としてはほかに1936年に新種記載され、モーリタニア北部のみに自生する Anethum theurkauffii Maire が存在する[5]。イノンドはまれにカワラボウフウ属 (Peucedanum) に分類されることもある。


注釈

  1. ^ ヨーグルトに塩、ニンニク、キュウリ、ミント、ライムジュースとともにディルを使う。本品にはオリーブオイルも使われている。

出典

  1. ^ 米倉浩司『高等植物分類表』(重版)北隆館、2010年。ISBN 978-4-8326-0838-2 
  2. ^ a b c 大場秀章(編著)『植物分類表』(第2刷)アボック社、2010年。ISBN 978-4-900358-61-4 
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Anethum graveolens L. イノンド(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月15日閲覧。
  4. ^ a b "Anethum graveolens L.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 2012年8月4日閲覧
  5. ^ a b POWO (2019). Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org Retrieved 15 September 2021.
  6. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 176.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 田中孝治 1995.
  8. ^ ディル/Dill. エスビー食品 ハーブ検索. 2015年5月10日閲覧。
  9. ^ イノンド. エーザイ くすりの博物館. 2015年5月10日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j 伊藤・野口監修 誠文堂新光社編 2013, p. 103.
  11. ^ a b c d e f g h i j k 日本メディカルハーブ協会監修 ハジェスキー 2016, p. 38.
  12. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 263. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358282 
  13. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=729 (2021年9月15日).
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 吉谷監修 マクビカー 2013, p. 88.
  15. ^ a b c d e 高浜・石倉監修 NHK出版編 2013, p. 103.
  16. ^ a b c d e f g h i j k l 日本メディカルハーブ協会監修 ハジェスキー 2016, p. 39.
  17. ^ a b c d 金子美登 2012, p. 158.
  18. ^ 武政 1997, p. 138.


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