おれは鉄兵 おれは鉄兵の概要

おれは鉄兵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 18:55 UTC 版)

おれは鉄兵
ジャンル 少年漫画
漫画
作者 ちばてつや
出版社 講談社
掲載誌 週刊少年マガジン
発表号 1973年33号 - 1980年20号
巻数 全31巻(講談社コミックス版)
全18巻(ワイド版)
全21巻(ちばてつや全集)
全12巻(文庫版)
全13巻(集英社ホームリミックス版)
アニメ
原作 ちばてつや
監督 長浜忠夫吉田茂承(演出)
シリーズ構成 松岡清治(文芸)
脚本 松岡清治、雪室俊一吉田喜昭
吉川惣司、みづいでこういち、大島武豊
キャラクターデザイン 楠部大吉郎
アニメーション制作 シンエイ動画
製作 日本アニメーション(企画・制作)
フジテレビ(制作)
放送局 フジテレビ系列
放送期間 1977年9月12日 - 1978年3月27日
話数 全28話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

概要

山奥で育った野生児・上杉鉄兵が父親の実家である上杉家や、学園で騒動を巻き起こす姿を描いた作品[1][3]。作者のちばにとっては『ハリスの旋風』以来の学園漫画となり、両作品とも型破りな主人公が騒動を巻き起こす展開は共通するが、『ハリスの旋風』の主人公・石田国松が多種多様なスポーツに挑戦するのに対し[1]、本作の主人公・鉄兵は剣道のみに挑戦する[4]

これについて、ちばは「全体を読めば確かに剣道マンガなんですけど、最初の方は剣道の『け』の字もない。ただ、野生児を描こうと思っていただけです」と語っている[4]。また、野生児を題材として選んだ理由については、塾通いの時間に追われて友達との遊びもままならない東京近郊の子供たちを憂い、「まずいなぁ、こういう子が大人になったらどうなるんだろうなぁ」という気持ちからだとしている[4]

単行本は、『週刊少年マガジン』版元の講談社からは講談社コミックス (KC) 版全31巻、KCスペシャルのワイド版全18巻、講談社漫画文庫版全12巻が発売。他にホーム社から『ちばてつや全集』として全21巻が、集英社から集英社ホームリミックス版全13巻が発売されているが、ホームリミックス版には初期と末期の財宝発掘エピソードが収録されていない。

1976年11月から1981年3月にかけて、練馬区が発行する広報誌『ねりまのこども』において、『テッペーくん』というタイトルの4コマ漫画を全17回にわたって連載した[5]。本作の主人公・鉄兵が中学生であるのに対し、小学生という設定となっている[5]

評価

本作は主人公の奔放さに振り回され、それまでの常識を揺さぶられていく周囲の人々の姿をコミカルに描いているが、本作の連載は「塾通いとテレビ」の子供が目立つようになった時期にあたり、そうした子供たちへアンチテーゼを示す狙いがあったと見られている[3]

詩人、映像作家の鈴木志郎康は、世の中の決まりを一時的に破壊して読者の気分を晴れさせる、そうした場面を次々に繰り返す作品を「痛快マンガ」としているが、本作はその代表的なものと位置付けている[6]。鈴木は本作について「作者は、この少年(主人公・上杉鉄兵)が生まれも育ちも特別であることを描いて、一般の少年との間を断ち切っているが、そのことによって、鉄兵は少年たちのアイドルになれるのである」「そのときそのときの、鉄兵が活躍する場面に胸を躍らせ、痛快味を味わい、自分の中に埋もれているかもしれない野生を夢見ればよいのである」と評している[6]

漫画編集者、白泉社代表取締役社長の鳥嶋和彦は最も読みやすい漫画として本作を挙げている[7]。鳥嶋は集英社の新人時代、意に反して漫画に関わることになるも、片っ端から漫画を読み漁るうちに本作に辿り着き、「なぜこのコマ割りで、なぜこのアングルなのか」を、分析しながら繰り返し読んだという[7]。本作の読みやすさについて、鳥嶋は「たぶん手塚治虫と比較すると分かりやすいんだよね。一言で言うと、手塚さんのコマ割りはストーリー展開の「理屈」に沿ってるけど、ちばてつやのそれは読者の「感情」に沿ってるんだよ」と評している[7]


  1. ^ a b c d 小学館漫画賞事務局『現代漫画博物館』小学館、2006年、87・169頁。ISBN 4-09-179003-8 
  2. ^ おれは鉄兵 作品紹介”. NIPPON ANIMATION. 2018年11月25日閲覧。
  3. ^ a b 『文藝別冊 総特集ちばてつや 漫画家生活55周年記念号』河出書房新社、2011年、225頁。ISBN 978-4-309-97745-4 
  4. ^ a b c 「巻頭ロングインタビュー ちばてつや」『編集会議』2004年1月号、宣伝会議、7頁。 
  5. ^ a b テッペーくん”. ちばてつや. 2018年11月25日閲覧。
  6. ^ a b 「現代マンガ・コレクション70選」『國文學 : 解釈と教材の研究』1981年4月号、學燈社、154頁。 
  7. ^ a b c 【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話”. 電ファミニコゲーマー. ドワンゴ (2016年4月4日). 2018年11月25日閲覧。
  8. ^ a b c アニメージュ編集部『TVアニメ25年史』徳間書店、1988年、72頁。 
  9. ^ 河北新報』1977年11月1日 - 1978年4月11日付朝刊、テレビ欄。
  10. ^ 当時は日テレ・朝日各系列のクロスネットだったが、岩手朝日テレビの開局により日本テレビ系列に一本化された。フジネットワークには加盟せず、番販扱いだった。
  11. ^ 日刊スポーツ』1977年10月5日付テレビ欄。
  12. ^ 1993年以降はテレビ朝日系列
  13. ^ 『河北新報』1977年9月12日 - 1978年3月27日付朝刊、テレビ欄。
  14. ^ 福島民報』1979年1月16日 - 2月23日付朝刊、テレビ欄。
  15. ^ 『日刊スポーツ』1978年5月1日付テレビ欄。
  16. ^ 『日刊スポーツ』1978年5月12日付テレビ欄。
  17. ^ 『北國新聞』1978年10月30日付朝刊、テレビ欄。
  18. ^ 『北國新聞』1977年10月15日付朝刊、テレビ欄。
  19. ^ a b 南日本新聞』1978年3月6日付朝刊、テレビ欄。


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