超積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/17 05:25 UTC 版)
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数理論理学のとくにモデル理論、あるいは普遍代数学における超積(ちょうせき、英: ultraproduct)は、同じシグネチャの数学的構造からなる族の直積の適当な商構造をとる数学的構成を言う。任意の直積因子が等しい特別の場合として、超冪(ちょうべき、英: ultrapower)がある。
例えば、与えられた体から新たな体を構成するのに超冪が利用できる。超実数体はそのような方法で実数体の超冪として得られる。
超積の顕著な応用として、例えばコンパクト性定理および完全性定理の非常にエレガントな証明、キースラーの超冪定理(初等同値に関する 意味論的概念の代数的特徴付けを与える)、そして解析学の超準モデルを構成するための超構造およびその間の単型射の使用に関するロビンソン–ザコン表示(アブラハム・ロビンソンが(コンパクト性定理の応用として)開拓した超準解析の分野の成長を導いた)などを挙げることができる。
定義
超積を得る一般の方法として、添字集合を I の各添字 i ∈ I に(すべて同じ型の構造)Mi が対応付けられ、I 上の超フィルター U が与えられているとする。通常は I として無限集合を取り、U は I の補有限部分集合をすべて含むものとする。あるいは、超フィルターが単項生成で、得られる超積が直積因子の一つに同型となるものを考える。
- 定義 (超積)
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直積対象
距離空間の列の超極限は超極限 (距離空間)を参照
モデル理論および集合論において超極限 (ultralimit) あるいは極限超冪 (limiting ultrapower) は超冪の列の帰納極限を言う。
構造 A0 と超フィルター D0 があらかじめ与えられているとして、それらから超冪 A1 を作り、さらにそこから A2 を作り、以下同様に繰り返す。各 n に対して、標準的な対角線埋め込み An ↪ An+1 が存在するから、その極限段階 Aω は帰納極限として得られる。これはさらに超限段階まで続けることができる。
注
注釈
出典
参考文献
- Bell, John Lane; Slomson, Alan B. (2006) [1969]. Models and Ultraproducts: An Introduction (reprint of 1974 ed.). Dover Publications. ISBN 0-486-44979-3
- Burris, Stanley N.; Sankappanavar, H.P. (2000) [1981]. A Course in Universal Algebra (Millennium ed.)
外部リンク
- Insall, Matt. “Ultraproduct”. mathworld.wolfram.com (英語). / Insall, Matt. “Ultrapower”. mathworld.wolfram.com (英語).
- ultraproduct in nLab
- reduced direct product - PlanetMath.
- Definition:Ultraproduct at ProofWiki
- “Filtered products”, Encyclopedia of Mathematics, EMS Press, 2001 [1994]
超積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 10:05 UTC 版)
「フィルター (数学)」の記事における「超積」の解説
詳細は「超積」を参照 N を自然数の集合、F を N 上の単項フィルターでない超フィルターとする。任意の集合 S について S の元の列がなす集合 SN の上で、「N の部分集合 { n | xn = yn } が F に入っている」という関係 (xn)n∈N ∼ (yn)n∈N を考えることができる。フィルターの満たす条件からこれは SN 上の同値関係を定めており、この関係 ∼ によって SN を割って得られる集合 Sω は S の超積(超冪)とよばれる。もとの集合 S は定値列によって Sω に埋め込まれていると考えることができる。 こうして構成される超積は超準解析の最も簡単なモデルを与えている。S が有理数の集合 Q のとき、数列 (0, 1, 0, 1, 0, 1, 0, ...) が表す Qω の元は、偶数集合と奇数集合のどちらが超フィルター Fに入っているかに応じて Q の元 0 か 1 のどちらかと同じものを表している。
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