デカルト積とは? わかりやすく解説

直積集合

(デカルト積 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/19 14:30 UTC 版)

A = {x, y, z} と B = {1, 2, 3} との直積の図示

数学において、集合デカルト積(デカルト­せき、: Cartesian product)または直積(ちょくせき、: direct product)、直積集合、または単に(せき、: product)、積集合は、集合集まり集合族)に対して各集合から一つずつをとりだしてにしたもの(元の族)を元として持つ新たな集合である。

具体的に二つの集合 A, B に対し、それらの直積とはそれらの任意の元 aA, bB順序対 (a, b) 全てからなる集合をいう[1]集合の組立記法英語版 では

標準的なトランプの52枚のデッキ

直積集合の視覚的にわかりやすい例としては、標準的な52枚一組のトランプのデッキがある。トランプのランクは {A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2} という 13 の元からなる集合である。スーツは {♠, , , ♣} という 4 の元からなる集合である。この2つの集合の直積集合は、52 の組の元からなる集合であり、それぞれの元は、52枚のトランプのカードと1対1に対応している。

たとえば、ランク × スーツ という直積集合は、

{(A, ♠), (A, ), (A, ), (A, ♣), (K, ♠), ..., (3, ♣), (2, ♠), (2, ), (2, ), (2, ♣)}

という集合であり、スーツ × ランク という直積集合は、

{(♠, A), (♠, K), (♠, Q), (♠, J), (♠, 10), ..., (♣, 6), (♣, 5), (♣, 4), (♣, 3), (♣, 2)}

という集合である。

直積集合の元は順序対なので、同じ元はひとつも含まれていない。

2次元直交座標系

点の直交座標の例

有名な歴史的な例としては、解析幾何学における直交座標系がある。ルネ・デカルトは、数を用いて幾何学的な図形を表現したり、図形から数の情報を得たりするために、平面のそれぞれの点に実数の組を対応させ、その点の座標と名付けた。ふつう、このような組の1番目および2番目の要素は、それぞれ x および y 座標と呼ばれる。したがって、実数の組のすべての集合、すなわち ℝ×ℝ(ℝ は実数)という直積集合は、平面上のすべての点の集合に対応する。

定義

有限直積
n 個の集合 A1, …, An に対する直積集合を、
例として A = {y : 1 ≤ y ≤ 4}, B = {x ∈ ℝ : 2 ≤ x ≤ 5}, C = {x ∈ ℝ : 4≤x≤7}} のとき、A ×(BC) = (A × B)∩(A × C), A ×(BC) = (A × B)∪(A × C), A ×(BC) = (A × B)∖(A × C) などが読み取れる。
上と同じ例で (AB)×(CD) ≠ (A × C)∪(B × D) もわかる。
集合 A = {x ∈ ℝ : 2 ≤ x ≤ 5}, B = {x ∈ ℝ : 3 ≤ x ≤ 7}, C = {y ∈ ℝ : 1 ≤ y ≤ 3}, D = {y ∈ ℝ : 2 ≤ y ≤ 4} に対して (AB)×(CD) = (A × C)∩(B × D) が成り立つ。

性質

Aλ = ∅ であるような λ ∈ Λ が少なくとも一つ存在すれば、
λ∈Λ
Aλ = ∅
であることは、直ちに示される一方、その逆にあたる命題は選択公理 (と同値)である。[3]

集合算

集合のデカルト積は交叉に関してよく振る舞う。すなわち

直積の普遍性: この図式は可換である

普遍性

直積は次のような普遍性を持つものとして特徴付けることができる:

直積の普遍性
任意の集合 Y と任意の写像の族 (fi: YXi)iI が与えられたとき、写像 f: YX
iI
Xi
fi = πif を満たすものがただ一つ存在する。

圏論の言葉で言えば、集合の直積は集合の圏におけるである。

写像の直積

ふたつの写像 f: AX, g: BY が与えられたとき、直積集合 A × B から直積集合 X × Y への写像を

カテゴリ

デカルト積

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 06:12 UTC 版)

記号の濫用」の記事における「デカルト積」の解説

デカルト積はしばし結合的と見ることができる: ( E × F ) × G = E × ( F × G ) = E × F × G . {\displaystyle (E\times F)\times G=E\times (F\times G)=E\times F\times G.} これはもちろん厳密に正しくない。x ∈ E, y ∈ F, z ∈ G とすると、等式 ((x, y), z) = (x, (y, z)) は (x, y) = x, z = (y, z) を意味することになってしまい、また等式 ((x, y), z) = (x, y, z) は無意味である。 この概念圏論において自然同型概念用いて厳密にできる。

※この「デカルト積」の解説は、「記号の濫用」の解説の一部です。
「デカルト積」を含む「記号の濫用」の記事については、「記号の濫用」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「デカルト積」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「デカルト積」の関連用語

デカルト積のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



デカルト積のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの直積集合 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの記号の濫用 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS