癌予防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 04:11 UTC 版)
ある種の癌において、セレコキシブがその発生率を抑制する可能性については、多くの研究が行われてきた。しかし、心血管系のリスクを考慮し、癌の発生を軽減する目的でセレコキシブを使用することへの医学的推奨は今のところ行われていない。 アスピリンやセレコキシブ等のNSAIDsを服用している患者の場合、大腸癌リスクは明らかに減少する。さらにセレコキシブを含む特定のCOX-2阻害剤は、従来のNSAIDsと比較して癌抑制作用があり、毒性も低いことがいくつかの疫学研究や前臨床試験で指摘されている。12件の癌原性試験で、セレコキシブにラットやマウスの腸に対して癌発生の抑制作用があることが裏づけられた(Chemoprevention Databaseでデータの入手が可能)。非常にハイリスクな患者(家族性大腸腺腫症の家族歴あり)を対象とした小規模な臨床試験でも、セレコキシブがポリープの成長を抑制することが示されている。このため大規模無作為臨床試験が実施され、臨床成績が2006年8月にNew England Journal of Medicineで報告された。試験では、セレコキシブを400~800mg/日投与した患者において、ポリープの再発が33~45%減少したことが示された。この試験におけるセレコキシブの心血管系イベントの頻度はプラセボと比べ高いことが認められた。しかし、その差に有意差はなかったことが示されている。
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