基準範囲とは? わかりやすく解説

基準値

(基準範囲 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/09 23:30 UTC 版)

基準値(きじゅんち、英語: reference values[注 1])は、臨床検査の結果値を解釈するために用いる基準の総称であり、結果値が一般に健常とみなされる人(基準集団)でよくみられる範囲(基準範囲)にあるか、結果値が特定の病態や治療の必要性を示唆するか(臨床判断値)、等の判断基準となるものである。

概要

臨床検査の検査結果を医療や健康増進に利用するためには、その結果値の意義を判断するための基準となる数値群や判定基準が必要であり、これらを総称して基準値と呼ぶ [注 2]

基準値には、健常とみなされる人の集団(基準集団)の測定値の分布から設定する基準範囲と、特定の病態の診断や治療の意思決定に用いる臨床判断値の二種類がある。検査項目によっては、基準範囲と臨床判断値の両方が存在する場合もある。検査項目や目的に応じ、基準範囲と臨床判断値は明確に意識して使い分ける必要がある[注 3]

基準値 基準範囲 定量検査 基準集団の検査値の大部分(通常、中央95 %)を含む範囲
臨床判断値 定量検査、
定性/半定量検査
  • 診断閾値:特定の病態有無の基準
  • 治療閾値:治療の必要性有無の基準
    • 健診閾値予防医学的閾値):予防的介入の必要性有無の基準

検査結果とともに基準値を供給するのは、検査室の基本機能の一つである[注 4]衛生検査所は「基準値及び判定基準」を記載した検査案内書作成が義務付けられている[1]。検査結果報告書には、各検査項目の名称・結果値と共に、その基準値が表示されるのが通常である。

基準範囲

正規分布をとる検査値の場合、平均±2σ(標準偏差)の範囲に95.45 %、平均±1.96σの範囲に95 %が含まれる。

基準範囲(きじゅんはんい、()reference interval[注 5])とは、通常、健常とみなされる集団(基準集団)の検査値の中央の95 %が含まれる数値範囲を意味する。ただし、検査項目によっては、病態との関係で、高値のみ(または低値のみ)が異常値として問題になるために[注 6]、中央ではなく、異常とみなされる分布の上側5 % (または下側5 %)を片側の限界値として基準範囲とすることがある。なお、医療における基準範囲を、産業における計測用語の「基準範囲」と区別するために、生物学的基準範囲(()biological reference interval)と呼ぶ場合もある。

基準範囲は、概ね、以下の手順で求める。

  1. 対象とする基準集団を決定する[注 7]
  2. 基準集団の中から、当該検査値に影響を及ぼす生理的変動等の要因(たとえば、著しい肥満、大量飲酒、大量喫煙、薬物治療中、直近の入院、妊娠、1年以内の出産など)を持たない個体(基準個体)を選択する。
  3. 基準個体から得られた検査値(基準個体値)[注 8]を統計処理し、95 %の区間を求める。

なお、本項の図では正規分布の例が示されているが、多くの検査項目では正規分布をとらない。べき乗変換法などにより正規分布に変換するか、またはノンパラメトリック法(大きさ順に並べ、2.5パーセンタイルの値と97.5パーセンタイルの値を上下限とする)により基準範囲を算出する[2]

基準範囲と基準値は同義語のごとく扱われることがよくあるが、実際には異なる概念であり、基準値は基準範囲に加えて臨床判断値も含んでいる。また、基準範囲は基準個体の測定値から統計的に算出されたものであるので、病態識別値、治療目標値、予防医学的な判断値、などの臨床判断値とは別のものである。基準範囲は、臨床的な判断の「参考」にはなるが、それのみで臨床判断ができるものではない。「基準」という語を含むので誤解されやすいが[3]、基準範囲内かどうかで、「正常」/「異常」の判別はできない。

なお、全ての検査項目について基準範囲を求めることはできない(基準範囲を設定できない検査項目参照)。

基準範囲を設定できない検査項目

定性/半定量検査

基準範囲は検査結果が連続した数値として得られる検査項目(定量検査)についての概念であり、定性検査(結果が「陰性」、「陽性」、等)や、半定量検査(結果が、-、±、+、2+、3+、等)には適用できない。定性/半定量検査においては、臨床的検討により定められた臨床判断値(後述)が用いられる[2]

簡単に入手できない検査材料

尿や静脈血は容易に入手可能であるが、骨髄液、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄液、胸水、腹水、心嚢水、などは、採取の侵襲性が高いため基準集団から検体を入手することが非常に難しい。これらの検査材料を用いる検査については、基準範囲を求めることができないため、成書に記載された、必ずしも根拠が明確ないし適切といえない基準値が採用されていることが多く、その限界を意識する必要がある[4]

薬物血中濃度(治療薬物モニタリング

基準集団は一般に薬物投与中でないことが条件となるので薬物血中濃度の基準範囲は算出できない。 臨床判断値として、当該薬物投与中の多くの患者において効果があり副作用が少ない濃度範囲が設定されており、これを有効血中濃度(参考域)とよぶ[5]

臨床判断値

臨床判断値(()clinical decision limits)とは、臨床検査の結果値により特定の病態について医学的判断を行うときの基準である[2]。診断閾値と治療閾値に大別されるが、治療閾値からさらに予防医学的閾値を区別することもある。

診断閾値(カットオフ値)

ROC曲線:ある閾値に対する感度と偽陽性率をプロットしたもの。検査の性能評価やカットオフ値の検討に使用。

診断閾値(()diagnostic threshold value)とは、特定の病態があると判断、ないし、強く疑う閾値である。 測定値高値が病態に関連している場合、 測定値が診断閾値(カットオフ値)と等しいか、より大きければ、陽性と判定する(なお、測定値低値が病態に関連している場合は、カットオフ値以下で陽性となる)[6]

診断閾値(カットオフ値)は、基準集団ではなく、臨床の場で当該病態の有無が知られている集団から得られた検討結果により設定される [注 9]。 結果が連続量で与えられる定量的検査では、カットオフ値を低くすると感度は高くなるが偽陽性率も高くなり(特異度が下がり)、カットオフ値を高くすると感度は低下するが偽陽性率が下がる。

ROC(受信者操作(動作)特性、Receiver Operating Characteristic)曲線はカットオフ値を連続的に変更した際の感度を縦軸、偽陽性率を横軸に設定してプロットしたものである。ROC曲線が左上に近づくほど、その検査の診断性能が優れている(感度・特異度が高い)ことになる。 検査のカットオフ値を決定する際、しばしば、ROC曲線と対角線の縦軸方向の距離が最大となる点(ユーデン指数英語版、すなわち、(感度+特異度-1)が最大となる点)が選ばれる[注 10]

また、カットオフ値は検査の目的により調整されることがある。一般に、確定診断を目的とする検査では特異度を重視し、スクリーニング検査では感度を重視する傾向にある(例えば、HIV感染のスクリーニング検査が偽陰性でHIV感染を見逃すリスクを考慮すれば、多少の偽陽性を許容しても、偽陰性が少なくなるような設定が必要である)[7]

診断閾値(カットオフ値)が用いられる検査の例としては、 ELISA法による特定の微生物や特異抗体の有無の判断、 腫瘍マーカーによる悪性腫瘍疑いの判断、などがあげられる。

治療閾値

治療閾値(()therapeutic threshold)とは治療的介入が必要となる閾値である。広義には、治療により検査値を一定範囲にコントロールする管理目標値や、緊急に処置の必要な緊急異常値(パニック値)も治療方針を決定する治療閾値として扱われる。治療閾値は患者集団の臨床的検討から設定される。例をあげれば、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の検査試薬添付文書に記載されている基準値は18.4 pg/mL以下であるが、100 pg/mL以上で治療対象となる心不全の可能性あり、200 pg/mL以上で治療対象となる心不全である可能性が高い、とされる[注 11][8]

健診閾値、予防医学閾値

放置すれば何らかの疾患を発症するリスクが高くなる閾値を治療閾値から分けて、健診閾値、または、予防医学閾値と分類することもある。設定されている項目の代表的なものが血中脂質である。

例をあげると、LDLコレステロールの共用基準範囲は、65〜163 mg/dLであるが、高LDLコレステロール血症と診断するためのカットオフ値は140 mg/dL以上である[9]。検査結果を受診者が見た場合、検査結果値が上限と下限の間にあれば「正常」・「問題なし」と受け取る可能性が大きいが、LDLコレステロール値が 140 から 163 mg/dLであれば、基準集団の95 %には含まれるが、高LDLコレステロール血症として動脈硬化性疾患予防のための生活習慣改善などの治療的介入の対象にはなる[注 12]。このため、検査結果報告書に表示される基準値は65〜139 mg/dLが採用されることがある[10][11]

LDLコレステロールの各種の基準値の例
分類 区分・説明
基準範囲[12] 基準集団の測定値の中央95% 65〜163 mg/dL
診断閾値[13] 高LDLコレステロール血症 140 mg/dL以上
境界域高LDLコレステロール血症 120〜139 mg/dL
健診閾値
/予防医学閾値[14](*)
受診勧奨値(特定健診) 140 mg/dL以上
保健指導判定値(特定健診) 120〜139 mg/dL
治療閾値
(管理目標値)[13]
一次予防
(動脈硬化性疾患は未発症)
患者のリスク区分(※)により異なる達成目標を設定

低リスク:160 mg/dL未満
中リスク:140 mg/dL未満
高リスク:120 mg/dL未満
(合併する疾患によっては 100 mg/dL未満)

二次予防
(動脈硬化性疾患既往あり再発予防)

100 mg/dL未満
(合併する疾患によっては 70 mg/dL未満)

(参考)報告書表示基準値の例[10] 下限に基準範囲下限、上限に診断閾値を採用 65〜139 mg/dL
(*)診断閾値と予防医学的閾値に同じ数値が設定されているが、前者は日本動脈硬化学会による疾患診断基準、後者は厚生労働省による特定健診事後指導の判定基準であり、目的が異なる。
(※)リスク区分は、糖尿病/慢性腎臓病/末梢動脈疾患の有無、年齢、性別、収縮期血圧、糖代謝異常の有無、喫煙歴、血清HDLコレステロール値・LDLコレステロール値などから総合的に設定される。合併する疾患として、急性冠症候群/家族性高コレステロール血症/糖尿病/冠動脈疾患/アテローム血栓性脳梗塞などを有する場合はさらに厳格な管理を要する[13]

基準値の類義語・慣用表現

正常値・正常範囲

かつては、基準値(基準範囲、臨床判断値)は正常値(せいじょうち、()normal value)または正常範囲(せいじょうはんい、()normal range)と呼ばれていたが、範囲から外れると正常でない(=異常/病的)との誤解を招くため、近年は推奨されなくなった。(基準範囲の場合、定義上、健常と考えられる集団の5 %が必ず基準範囲外となるが、外れたことのみをもって異常/病的とするのは不適切である。)[2]

参考値・参考基準値

参考値は基準値の同義語としてよく使用されているが、基準値よりも規範性の少ない(外れることを問題視しない)ニュアンスをもつことがある。また、元データを得た集団の人数が少ない、根拠が不明確、など、基準値とする根拠が不十分と思われるときは、意識して「参考値」という表現が選択されることがある[注 13]

なお、基準値の同義語としての「参考基準値」という表現もよくみられる[10][15][16]

基準値の意味での「基準範囲」・参考基準範囲

「基準範囲」を基準値の意味で使用する例(例えば、「基準範囲一覧」の中に「臨床判断値」も含める)はよく見られる[17][2]。 「参考基準範囲」も基準値の同義語としてしばしば使用されている[11][18]。 いずれも、実務上は広く用いられているが、概念的には臨床判断値も含まれていることに注意を要する。

基準値を適用する際の注意事項

検査方法・検査試薬による差

近年は臨床検査値の標準化が進んできているが、蛋白ホルモン、腫瘍マーカー、抗体、等においては、校正物質や基準測定操作法の設定が難しい項目が多く[19]、検査方法・検査試薬ごとに基準値を設定しなければならない場合も多々ある。

基準範囲を算出した基準集団に属さない個体

小児
小児の検査値は、年齢により成人と大きく異なることがしばしばある[20][21]。検査室から提供される基準範囲は、通常、成人の健常と思われる集団を対象に得られたものであり、そのまま小児に適用できないことがしばしばあり、入手可能な場合は小児の年齢別の基準範囲を参照する。例をあげれば、小児期のアルカリホスファターゼは成人の3倍前後の高値となる。
高齢者
高齢者の検査値も非高齢成人で得られた基準範囲から外れる場合がある[22]。例をあげれば、貧血の臨床判断値として血色素が、65歳未満では男性13 g/dL以下、女性12 g/dL以下とされているが、65歳以上では男女とも11 g/dL未満を明らかな貧血と判断するのが実用的とされる[23]
妊婦
妊娠中は多くの検査項目の値が変動する[24][25]。例をあげれば、アルカリホスファターゼ腫瘍マーカーα-フェトプロテインは、妊娠中に大きな増加が見られる。

生理的変動・採血条件

基準範囲は、なるべく検査結果に影響する生理的条件等を一定にするようにして得た検査値を元に算出しているため、実際の患者データでは、体位、飲酒・喫煙、食事、運動、体内リズム、などによる生理的変動により基準範囲を外れる場合がありうる[26][27]。例をあげれば、座位や立位では下肢に溜まった血液の水分や小分子量成分が血管外に漏出して、血球や高分子量の蛋白等は濃縮されているが、臥位では水分が血管内に戻るので希釈され、臥位では立位より5〜10 %程度低値となる[2]

個人の変動範囲と集団の変動範囲

健常者集団で見られる値範囲(個体間変動)より個人の取りうる値範囲(個体内変動)の方が狭い検査項目が存在する(個体間のばらつきが各個体内で取りうる値より大きいという意味で個人差が大きいとも言える)。例としては、アルカリホスファターゼがあげられる。このような項目については、たとえ基準範囲内であっても、同一個人で過去の数値群から大きな変動がみられた場合は、異常を疑う必要がある。

なお、個体内変動と技術変動から個人に異常な検査値の変動が生じたか判定するための指標として基準変化値(()reference change value)が提唱されている[7]。基準変化値は、本項で記載している「集団の基準値」に対して、同一個人の経時的変化の判定の参考となる「個人の基準値」のようなものとも考えることができるが、個人の平常時の測定値が複数必要であるため、臨床で広く活用されるにはいたっていない。

基準値のハーモナイゼーション

従来、同一の検体であっても、検査試薬や検査装置が異なると結果値が異なるため、それぞれ別の基準範囲で解釈しなければならないことがしばしばであり、複数の施設にまたがる医療提供、診療ガイドラインの構築や疫学研究の支障となっていた[12][28]

近年は臨床検査の標準化(規定された方法と規定された標準物質に準拠させる)が国際臨床化学連合英語版(International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine : IFCC)や国際血液学標準化評議会英語版(International Council for Standardization in Haematology : ICSH)などの国際団体により推進されている。 標準化が難しい検査については、ハーモナイゼーション、すなわち、標準化できない複数の検査を同等のものとして扱えるように調整する作業が進められており、同一検体に対し同じ測定値を得ることが可能となりつつある[29][28]

さらに、基準値も国際的なハーモナイゼーション(共通化)の努力が進行している[30]。 検査項目によっては、地域差や民族差が無視できないが、各地域で、その地域の特性に適合した基準値を採用していくことが勧められている[30][29]

日本国内では、標準化の進んだ検査項目について、地域差のないことを確認した後、共用基準範囲が作成されている[12]

日本の共用基準範囲

近年、日本国内の検査法の標準化が進み、標準化された測定法による基準個体(健常者)の検査データの蓄積が可能になり、それをもとに、2014年3月、JCCLS(日本臨床検査標準化協議会)から、総計6450例の基準個体のデータに基づく共用基準範囲 が公開された[12]。最近は共用基準範囲を採用する施設が増えている。

以下、共用基準範囲の設定されている検査項目と上下限値を示す。白い背景は男女共通、青は男性用、赤は女性用、の基準範囲である。

日本の共用基準範囲
項目 (略称)(適用する性別) 単位 下限 上限
白血球数(WBC) 103/μL 3.3 8.6
赤血球数(RBC)(男性) 106/μL 4.35 5.55
赤血球数(RBC) (女性) 106/μL 3.86 4.92
ヘモグロビン(Hb) (男性) g/dL 13.7 16.8
ヘモグロビン(Hb) (女性) g/dL 11.6 14.8
ヘマトクリット(Ht) (男性) % 40.7 50.1
ヘマトクリット(Ht) (女性) % 35.1 44.4
平均赤血球容積(MCV) fL 83.6 98.2
平均赤血球血色素量(MCH) pg 27.5 33.2
平均赤血球血色素濃度(MCHC) g/dL 31.7 35.3
血小板数(PLT) 103/μL 158 348
総蛋白(TP) g/dL 6.6 8.1
アルブミン(Alb) g/dL 4.1 5.1
グロブリン[注 14] g/dL 2.2 3.4
アルブミン、グロブリン(A/G)比[注 15] 1.32 2.23
クレアチニン(Cr)(男性) mg/dL 0.65 1.07
クレアチニン(Cr)(女性) mg/dL 0.46 0.79
尿素窒素(BUN) mg/dL 8 20
尿酸(UA)(男性) mg/dL 3.7 7.8
尿酸(UA)(女性) mg/dL 2.6 5.5
ナトリウム(Na) mmol/L 138 145
カリウム(K) mmol/L 3.6 4.8
クロール(Cl) mmol/L 101 108
カルシウム(Ca) mg/dL 8.8 10.1
無機リン(IP) mg/dL 2.7 4.6
グルコース(Glu) mg/dL 73 109
中性脂肪(TG)(男性) mg/dL 40 234
中性脂肪(TG)(女性) mg/dL 30 117
総コレステロール(TC, T-Cho) mg/dL 142 248
HDL-コレステロール(HDL-C)(男性) mg/dL 38 90
HDL-コレステロール(HDL-C)(女性) mg/dL 48 103
LDL-コレステロール(LDL-C) mg/dL 65 163
総ビリルビン(TB) mg/dL 0.4 1.5
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST) U/L 13 30
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(男性) U/L 10 42
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(女性) U/L 7 23
乳酸脱水素酵素(LD)[注 16] U/L 124 222
アルカリホスファターゼ(ALP、JSCC法)[注 16] U/L 106 322
アルカリホスファターゼ(ALP、IFCC法)[注 16] U/L 38 113
γ-グルタミールトランスペプチダーゼ(γGT)(男性) U/L 13 64
γ-グルタミールトランスペプチダーゼ(γGT)(女性) U/L 9 32
コリンエステラーゼ(ChE)(男性) U/L 240 486
コリンエステラーゼ(ChE)(女性) U/L 201 421
アミラーゼ(AMY) U/L 44 132
クレアチン・ホスホキナーゼ(CK)(男性) U/L 59 248
クレアチン・ホスホキナーゼ(CK)(女性) U/L 41 153
C反応性蛋白(CRP) mg/dL 0 0.14
(Fe) μg/dL 40 188
免疫グロブリンG (IgG) mg/dL 861 1747
免疫グロブリンA (IgA) mg/dL 93 393
免疫グロブリンM (IgM)(男性) mg/dL 33 183
免疫グロブリンM (IgM)(女性) mg/dL 50 269
補体蛋白C3 (C3) mg/dL 73 138
補体蛋白C4 (C4) mg/dL 11 31
ヘモグロビンA1c(HbA1c) %(NGSP) 4.9 6.0

脚注


注釈

  1. 英語では総称としての"reference values"の他、文脈に応じ、" reference interval"(基準範囲)や"clinical decision limit"(臨床判断値)なども用いられる。
  2. 本項では、上記のごとく、基準値とは「臨床検査の結果を解釈するための指標として供給されている値」を意味するという立場で記載しているが、この意味の基準値には同義語が複数あり、また、「基準値」という語自体にも別の意味(基準個体の検査値)があるので注意を要する。
  3. 血糖コントロールマーカーであるヘモグロビンA1cの共用基準範囲は4.9〜6.0 %であるが、日本糖尿病学会は糖尿病の診断基準(臨床判断値)は 6.5 %以上としている。
  4. ISO15189は臨床検査室の品質と能力に関する要求事項として国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)が作成した国際規格であり、「検査室は基準範囲または臨床判断値を定め、その根拠を文書化し、この情報をユーザに伝えなければならない。」としている。「JAB RM300:2021」5.5.2.(日本適合性認定協会) を参照。
  5. 基準範囲を指す英語としては、reference interval以外にreference rangeもよく使われるが、rangeは統計学で最大値と最小値の間の幅を意味することがあり、近年はreference intervalが推奨されている。
  6. 高値のみが問題となる検査項目の例としては、CRP尿蛋白、多くの腫瘍マーカーなどがあげられる。
  7. 関連の医療機関職員、健診の受診者、地域の住民の中の志願者、等。
  8. 基準個体から得られた検査値も「基準値」ないし「基準個体値」と呼ばれるが、本記事が対象とする、検査結果の臨床的判断にもちいる基準値とは異なる。
  9. 厳密には、カットオフ値を決定する際は検査試薬の検出限界・定量下限なども考慮する必要がある。
  10. ROC曲線からカットオフを決定する方法は複数あり、左上の点からROC曲線までのユークリッド距離が最小となる点(左上の点に最も近い点)が選ばれることもある。参照:Francis Sahngun Nahm (2022). “Receiver operating characteristic curve: overview and practical use for clinicians”. Korean Journal of Anesthesiology 75 (1): 25-36. doi:10.4097/kja.21209.
  11. 厳密には、BNPは腎機能などに影響される他、原因疾患によっても上昇の程度が異なるので、この数値だけで心不全の治療の要否を判断することはできない。
  12. 特定健診ではLDLコレステロール140 mg/dLを受診勧奨判定値、120 mg/dLを保健指導判定値としている。標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第2編別紙5・別添資料フィードバック文例集等”. 厚生労働省. 2026年4月8日閲覧。
  13. たとえば、衛生検査所の検査案内において、基準値が確立している項目については「基準値」と表示しWEB総合検査案内 (ALT(GPT))”. LSIメディエンス. 2026年4月7日閲覧。、研究的な検査では「健常者参考値」増殖因子・サイトカイン (WEB総合検査案内)”. LSIメディエンス. 2026年4月7日閲覧。と使い分けている例がある。
  14. グロブリンは総蛋白値からアルブミンを引いて算出される。
  15. A/G比はアルブミンとグロブリン(総蛋白値 - アルブミン)から算出される。
  16. 1 2 3 日本ではALPとLDはJSCC法で測定されていたが、2020年4月より海外で一般的なIFCC法に切り替えが進んでいる。ALPは従来のJSCC法の約1/3の測定値になるので共用基準範囲も変更となっている。LDの場合は測定値はほとんど変わらず、共用基準範囲も変更されていない。詳細は「ALP・LD 測定法変更について」(日本臨床化学会 酵素・試薬専門委員会)を参照されたい。


出典

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  22. 富田明夫, 木沢仙次, 新井哲輝「高齢者の正常値・基準値の考え方,生化学検査27項目における検討」『日本老年医学会雑誌』第36巻第7号、日本老年医学会、1999年、449-456頁、doi:10.3143/geriatrics.36.449ISSN 0300-9173NAID 130003444412
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関連項目

外部リンク



基準範囲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:17 UTC 版)

基準値」の記事における「基準範囲」解説

基準範囲(きじゅんはんい、(英)reference interval)とは、通常健常人集団検査値の中央の95%が含まれる数値範囲意味する。なお、医療における基準範囲を、産業における計測用語の「基準範囲」区別するために、生物学的基準範囲((英)biological reference interval)と呼ぶ場合もある。 基準範囲は、概ね、以下の手順で求める。 対象とする健常者集団決定する健常者の中から、当該検査値に影響を及ぼす生理的変動等の要因(たとえば、著し肥満大量飲酒大量喫煙薬物治療中、直近の入院1年以内妊娠、など)を持たない個体基準個体)を選択する基準個体から得られ検査値 を統計処理し分布中央95%の区間求める。 基準範囲と基準値同義語のごとく扱われることがよくあるが、実際に異な概念であり、基準値は基準範囲に加えて臨床判断値含んでいる。また、基準範囲は基準個体測定値から統計的に算出されたものであるので、病態識別値、治療目標値予防医学的な判断値、などの臨床判断値とは必ずしも一致せず、基準範囲内であることのみをもってして、「問題ない」、「正常」、ということはできない。 なお、全ての検査項目について基準範囲を求めることはできない(基準範囲を設定できない検査項目参照)。

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