基準率の誤謬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/10 01:32 UTC 版)
数多くの心理学的研究が基準率の無視または基準率の錯誤と呼ばれる現象を調べている。これはある集団がある特性を持っているとき、その集団の基準率を正規の方法で組み入れることを怠ってしまうことである。数学者Keith Devlinがこの錯誤がもたらすリスクをわかりやすく説明している;ある種のがんがあり、全人口の1%がこのがんに罹患する。医師がある検査をすれば見つけることができ、信頼性は80%だと言う。実際にがんにかかっている人の100%がこの検査で陽性になるが、偽陽性の確率も20%あると言う-実際にがんにはかかっていない人でも20%の人に陽性という結果がでる。このような検査を受けて陽性となったとき、人は80%の確率で自分はがんに罹患していると考えてしまう。実際には罹患している可能性は5%以下であることをDevlinは説明する。統計数字を聞かされるうちに人の頭から抜け落ちてしまうものは基準率の情報である。 医師に対してこのように質問すべきである、“陽性という結果がでた人の中で実際にがんにかかっている人は何人でしょうか?(これが検査を受ける側としては気になる基準率になる)” ある人が特定の集団に属している確率を計算する時に、基準率に加えて他の特徴的な情報を考慮することになる。例えば、病院の中で白衣を着て聴診器を首にかけ、処方箋を書いている人を見かけたとしよう。その人が“医療専門職”である確率は基準率の1%から大きく離れることになる。
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