保険金殺人とは? わかりやすく解説

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ほけんきん‐さつじん【保険金殺人】

読み方:ほけんきんさつじん

ある人物掛けられ死亡保険金受け取ることを目的に行う殺人


保険金殺人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/22 21:52 UTC 版)

保険金殺人(ほけんきんさつじん)とは、ある人が死亡することにより、その人に対して掛けられている生命保険保険金を得ることを目的として、その人を殺害することである[1][2][3][4]

概要

保険金詐欺という要素も存在するため、金銭的動機の計画的殺人として悪質性が高くなる[1][5][6][7][8][9][10]

金銭的動機のために保険金をかけていることは外見上から解明されやすい[1][11][12][13]。また保険金を得るためには、犯人本人、または共謀する第三者が保険金の受取人として指定されている必要があるため、犯人が発覚しやすい殺人といえる[14][15][16][17][18][19]。保険金の掛け金が収入や資産に対してあまりにも不自然な場合などは、一層動機として注目されやすくなる[20]

刑事訴訟では合理的な疑いを超えて証明されないと無罪判決となる疑わしきは罰せずが原則であるため、事件が殺人罪として有罪にならないこともある[21]。しかし、保険会社が保険金支払いを拒否する一方で犯人が保険金支払いを求めて民事訴訟となった場合、たとえ刑事訴訟で有罪にならなくとも、証拠優越が原則の民事訴訟では保険金殺人の可能性を認めて、保険金が下りないことを認める判決が出る場合がある[15]。これにより、結果として犯人が経済的利益を一切得ることができないこともある[15]

保険金殺人事件の中には、マスコミがセンセーショナルな報道をして世間の好奇の目を集めることになり、マスコミが先行する形で警察が捜査に乗り出す劇場型犯罪のような事件もある(例:別府3億円保険金殺人事件ロス疑惑トリカブト保険金殺人事件本庄保険金殺人事件[22][23]

また、捜査機関が動機的視点での捜査に固執してしまうと物証がほとんどなく状況証拠だけの状態での立件になってしまい、無実の可能性がある人を殺人罪で起訴してしまい、裁判で無罪判決が出て冤罪として扱われてしまう事例もある(例:ロス疑惑[24][25]

日本において捜査機関が保険金殺人と判断した事件

以下では保険金殺人として捜査機関が判断した事件を列挙する。そのため、冤罪の疑いのある事件や裁判所が有罪確定していない事件も存在する。

脚注

  1. ^ a b c 昭和57年版 犯罪白書 第1編/第3章/第1節/3 保険金目的の殺人・放火”. 法務省. 2025年8月12日閲覧。
  2. ^ 秋田・金浦保険金殺人で被告に死刑判決」『朝日新聞朝日新聞社、2004年9月22日。オリジナルの2004年9月24日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  3. ^ 栃木・小山市の保険金殺人、2審は無期判決」『読売新聞読売新聞社、2004年10月30日。オリジナルの2004年10月31日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  4. ^ マニラ保険金殺人、◯◯被告に無期懲役の判決」『読売新聞』読売新聞社、2004年11月9日。オリジナルの2004年11月9日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  5. ^ H、Y両被告に死刑 長崎地裁 25年ぶり極刑判決」『長崎新聞』長崎新聞社、2003年1月31日。オリジナルの2003年3月1日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ 主犯・Y被告に死刑判決…久留米の連続殺人」『読売新聞』読売新聞社、2004年9月24日。オリジナルの2004年9月26日時点におけるアーカイブ。2025年7月17日閲覧。
  7. ^ 埼玉・美里町の保険金殺人、被害女性の姉に無期判決」『読売新聞』読売新聞社、2004年11月10日。オリジナルの2004年11月12日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  8. ^ 養父・妻を保険金殺人、元会社役員に死刑判決 広島地裁」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年4月27日。オリジナルの2005年4月27日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  9. ^ ◯◯被告に死刑判決 福島・いわきの保険金殺人などで」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年6月15日。オリジナルの2006年6月17日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  10. ^ 読売新聞』2007年7月20日 全国版 西部朝刊 西社会35頁「夫2人殺害に無期 美人ママ、面影なし 「反省ない」にうつむく/福岡地裁」(読売新聞西部本社
  11. ^ 客恐喝容疑のスナック女性経営者、前夫2人は変死」『読売新聞』読売新聞社、2004年7月22日。オリジナルの2004年7月24日時点におけるアーカイブ。2024年10月30日閲覧。
  12. ^ 妻が主導、共犯2人誘う 北九州の保険金殺人」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年1月10日。オリジナルの2006年1月11日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  13. ^ 共犯容疑者に報酬約束 保険金見込む? インスリン事件」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年3月13日。オリジナルの2006年3月13日時点におけるアーカイブ。2024年12月27日閲覧。
  14. ^ 保険金殺人:高校生の息子を水死させる、母親を逮捕」『毎日新聞毎日新聞社、1999年8月30日。オリジナルの2001年2月23日時点におけるアーカイブ。2025年3月10日閲覧。
  15. ^ a b c 元夫2人の変死は殺人…元スナック経営の女が関与供述」『読売新聞』読売新聞社、2004年9月15日。オリジナルの2004年9月15日時点におけるアーカイブ。2025年1月27日閲覧。
  16. ^ 元夫殺害の疑いで元スナック経営者ら逮捕 保険金目的か」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年9月15日。オリジナルの2004年9月17日時点におけるアーカイブ。2025年1月27日閲覧。
  17. ^ ◯◯容疑者ら起訴 殺人罪で福岡地検 保険金目当て元夫刺殺」『西日本新聞西日本新聞社、2004年10月6日。オリジナルの2004年10月12日時点におけるアーカイブ。2025年1月27日閲覧。
  18. ^ 北九州の保険金殺人疑惑、妻ら3人を逮捕」『読売新聞』読売新聞社、2006年1月7日。オリジナルの2006年1月12日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  19. ^ 「保険金で分け前」、妻が男2人に約束…北九州殺人」『読売新聞』読売新聞社、2006年1月12日。オリジナルの2006年1月14日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  20. ^ 保険金疑惑:八木容疑者2億8000万円 保険金支払い」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年3月26日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  21. ^ 『読売新聞』2008年5月1日 全国版 西部夕刊 S社会11頁「福岡・中洲元ママ殺人 元家庭教師の無罪確定へ 検察が上告断念方針」(読売新聞西部本社)
  22. ^ 本庄保険金疑惑:金融業者ら4人逮捕 埼玉県警」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年3月25日。オリジナルの2001年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  23. ^ 本庄保険金疑惑:八木容疑者の金融会社などを捜索 捜査本部」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年3月25日。オリジナルの2000年10月5日時点におけるアーカイブ。2025年8月12日閲覧。
  24. ^ 「ロス疑惑」の三浦元社長、27年を経て米で逮捕」『読売新聞』読売新聞社、2008年2月24日。オリジナルの2008年5月1日時点におけるアーカイブ。2025年8月23日閲覧。
  25. ^ 「一事不再理が争点に」…三浦元社長弁護人が指摘」『読売新聞』読売新聞社、2008年3月2日。オリジナルの2008年3月8日時点におけるアーカイブ。2025年8月23日閲覧。

関連書籍

  • 山元泰生『保険金殺人―ドキュメント&データ』時事通信社、1987年。ISBN 9784788787247 
  • 室伏哲郎『保険金殺人-心の商品化』世界書院、2000年。 ISBN 9784792791216 

関連項目




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