乗法
(乗算 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/27 17:06 UTC 版)
| 演算の結果 |
|---|
| 加法 (+) |
| 項 + 項 = 和 加法因子 + 加法因子 = 和 被加数 + 加数 = 和 |
| 減法 (-) |
| 被減数 − 減数 = 差 |
| 乗法 (×) |
| 因数 × 因数 = 積 被乗数 × 乗数 = 積 被乗数 × 倍率 = 積 |
| 除法 (÷) |
| 被除数 ÷ 除数 = 商 被約数 ÷ 約数 = 商 実 ÷ 法 = 商 分子/分母 = 商 |
| 剰余算 (mod) |
| 被除数 mod 除数 = 剰余 被除数 mod 法 = 剰余 |
| 冪 (^) |
| 底冪指数 = 冪 |
| 冪根 (√) |
| 次数√被開方数 = 冪根 |
| 対数 (log) |
| log底(真数) = 対数 |
乗法(じょうほう、英: multiplication)とは、二つ以上の対象を組み合わせて一つの結果を得る二項演算または多項演算であり、四則演算の一つである。数に対する乗法は日常的には掛け算または乗算とも呼ばれ、記号 、、あるいは並記によって表される。乗法の結果は積(せき、product)という。[1][2]
定義
数 と に対して
または
と表される演算を乗法という。ここで , は因子(factor)と呼ばれ、結果 が積である。初等算術では、一方の数を他方の回数だけ繰り返し加える操作として理解されることが多い。たとえば
性質
数の乗法は、通常次の基本性質をもつ。
可換法則
が成り立つ。これは因子の順序を入れ替えても積が変わらないことを意味する。ただし、行列など一般の代数的対象では可換とは限らない。[5][6]
結合法則
が成り立つ。したがって、3 個以上の数の乗法では括弧の付け方によらず同じ積が得られる。[7]
乗法単位元
数の乗法には
分配法則
加法と乗法の間には
が成り立つ。これは乗法が加法に対して分配的であることを表す。[9]
乗法逆元
を満たす元 が存在する。これを の乗法逆元、あるいは逆数という。[10]
数の体系の拡張と乗法
自然数の乗法は、反復加法や長方形配列の個数として理解される。整数では負の数が導入され、符号の規則
が加わる。さらに有理数、実数、複素数へと数の体系が拡張されても、乗法は基本演算として保たれる。[11][12]
これらの数体系では、0 を除いた元の集合は乗法について群をなす。とくに有理数・実数・複素数の 0 でない元は、乗法についてアーベル群をなす。[13]
数以外の対象に対する乗法
乗法は数に限らず、多くの数学的対象に定義される。
多項式の乗法
多項式の乗法は、各項どうしを掛け合わせて同類項をまとめることで定義される。たとえば
である。[14]
行列の乗法
行列に対しても乗法が定義されるが、一般には
抽象代数学における乗法
抽象代数学では、ある集合の上に定義された二項演算を「乗法」と呼ぶことがある。たとえば環では、加法と乗法の二つの演算が定義され、加法はアーベル群をなし、乗法は通常結合法則を満たし、さらに加法に対して分配法則を満たす。乗法は必ずしも可換ではなく、また単位元をもたない環もある。[16][17]
この意味で乗法は、初等算術における掛け算にとどまらず、代数的構造を記述する基本概念の一つである。
記法
乗法は通常、記号 または で表される。代数学では、変数や括弧の並記
脚注
- ↑ “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Wolfram MathWorld. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Wolfram MathWorld. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Modern algebra”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Modern algebra”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Arithmetic”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Group theory”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Long Multiplication”. Wolfram MathWorld. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Modern algebra”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Wolfram MathWorld. 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
参考文献
- “Multiplication”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- “Multiplication”. Wolfram MathWorld. 2026年3月6日閲覧。
- “Arithmetic”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- “Group theory”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- “Ring”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
- “Modern algebra”. Encyclopaedia Britannica. 2026年3月6日閲覧。
関連項目
乗算(Multiply)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 03:04 UTC 版)
「ブレンドモード」の記事における「乗算(Multiply)」の解説
乗算(Multiply)のブレンドモードは、上のレイヤーのそれぞれのピクセルごとのカラーチャンネルの値を、下のレイヤーの対応するピクセルのカラーチャンネルの値で乗算(掛け算)する。その結果、元の画像よりも必ず暗くなる。と言うのも、各画像の各ピクセルのカラーチャンネルの値はいずれも1より小さいため、それらを掛け算した場合、互いの初期値よりも当然ながら小さくなるわけである。 f ( a , b ) = a b {\displaystyle f(a,b)=ab} なおこの数式において、「a」とは下のレイヤーのカラーチャンネルの値であり、「b」とは上のレイヤーの対応するカラーチャンネルの値である。 このブレンドモードは「対称的(シンメトリック)」である。つまり、2つのレイヤーの順番を交換しても結果は同じとなる。もし2つのレイヤーに同じ画像が含まれていた場合、つまり画像を統合してコピペして上にのっけて乗算レイヤーに設定して不透明度をあれこれして調整するという初心者にありがちな補正を行った場合、乗算ブレンドモードを使った画像補正は「2次曲線」または「γ= 2のガンマ補正」をしているのと同じことになる。そのため「有名画像編集ソフト」を使っている場合、「トーンカーブ」ダイアログを使った方が、曲線の形状の柔軟性が高いので便利なことが多い。あるいは「レベル補正」ダイアログを使う場合、中央の数値は通常1 /γであるため、0.5と入力するだけで同じ結果が得られる。 もし片方のレイヤーが均一な色、例えばRGB(0.8、0.8、0.8)のグレー1色で構成された画像だったとすると、これを乗算で合成した場合、一直線のトーンカーブを編集した時と同じ結果になる。これはつまり、このグレー1色画像を下のレイヤーに置き、上のレイヤーを「通常」ブレンドモードに設定して不透明度を変化させた時と同じ結果が得られるということである。
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