b値の低下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:07 UTC 版)
「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の記事における「b値の低下」の解説
3月9日以降の地震活動にはもうひとつの顕著な特徴が見られた。地震の発生数と規模は一般的に logN = a-b log (M) という式で表されることが知られている。ここでNはマグニチュードMの地震の数、a・bは対象となる地震により一定の係数となる。bは通常1に近い値を取る。これはマグニチュードが1増えると地震数は10分の一となることを示している。しかし前震では通常よりも小さな地震が少ないため、bの値が1よりも遥かに小さな値を取ることが知られている。日本海溝付近の地震のbは0.8程度とかなり小さめであるが、3月9日から11日までの地震活動ではbは約0.47であり、通常の1、日本海溝周辺の地震の0.8と比べて極めて小さな値であり、これは3月9日以降の地震活動が3月11日の東北地方太平洋沖地震の前震である有力な根拠であるとされている。 また、日本海溝周辺の地震についてのb値について詳しく検討してみると興味深い事実が明らかとなった。もともと日本海溝周辺の地震のb値は約0.8と小さめの値であることが知られていたが、1960年代から現在までbの値が減少し続けていた。これらの事実から、太平洋プレートの西進によってひずみの蓄積が進んだ日本海溝のプレート境界では、岩石にかかる圧力が増大することにより小さな地震が減少してきており、3月9日のM7.3の地震以降は、プレート間の破壊が徐々に進行して小さな割れ目が結合して大きな割れ目となる中で小さな地震数が顕著に減少して、3月11日の本震発生に至ったという経過が想定される。
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