VCAM-1とは? わかりやすく解説

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VCAM1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 06:10 UTC 版)

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VCAM1または血管細胞接着分子1(けっかんさいぼうせっちゃくぶんし1、: vascular cell adhesion molecule 1)は、ヒトではVCAM1遺伝子によってコードされるタンパク質である[1]CD106(cluster of differentiation 106)としても知られる。VCAM1は細胞接着分子として機能する。

構造

VCAM1には6つまたは7つの免疫グロブリンドメインが存在し、大小の血管において血管内皮細胞サイトカインによって刺激された後にのみ発現する。ヒトでは選択的スプライシングを受け、2つの異なるアイソフォームをコードするRNA転写産物が生じることが知られている[2]。VCAM1は細胞表面のシアロ糖タンパク質英語版であり、免疫グロブリンスーパーファミリー英語版に属するI型膜貫通タンパク質である。

機能

VCAM1はリンパ球単球好酸球好塩基球の血管内皮への接着を媒介する。白血球-内皮細胞間のシグナル伝達にも機能し、アテローム性動脈硬化関節リウマチの発症にも関与している可能性がある。

サイトカインによる内皮細胞でのVCAM1のアップレギュレーションは、遺伝子の転写の増加(TNF-αIL-1などへの応答)とmRNAの安定化(IL-4などへの応答)によって行われる。VCAM1遺伝子のプロモーター領域には機能的なNF-κB結合部位がタンデムに存在している。VCAM1の発現は24時間以上維持される。

VCAM1タンパク質は、インテグリンβ1サブファミリーのVLA-4英語版(インテグリンα4β1)に対する内皮細胞のリガンドである。VCAM1の発現は平滑筋細胞など他の細胞種でも観察される。エズリンモエシンと相互作用することも示されている[3]

VCAM1は間葉系幹細胞の一部の細胞表面にも存在している[4]

薬理学

ある種の悪性黒色腫の細胞は血管内皮に接着するためにVCAM1を利用する[5]。VCAM1はアテローム性動脈硬化部位への単球のリクルートに関与している可能性があり、また炎症を起こした脳でも高度に発現している[6]。これらの理由により、VCAM1は薬剤標的としての可能性がある。

出典

  1. ^ “The human VCAM1 gene is assigned to chromosome 1p31-p32”. Cytogenet. Cell Genet. 58 (3–4): 1850–1867. (1991). doi:10.1159/000133735. 
  2. ^ Entrez Gene: VCAM1 vascular cell adhesion molecule 1”. 2021年5月4日閲覧。
  3. ^ “Dynamic interaction of VCAM-1 and ICAM-1 with moesin and ezrin in a novel endothelial docking structure for adherent leukocytes”. J. Cell Biol. 157 (7): 1233–45. (Jun 2002). doi:10.1083/jcb.200112126. PMC: 2173557. PMID 12082081. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2173557/. 
  4. ^ ZX Yang (2013). “CD106 identifies a subpopulation of mesenchymal stem cells with unique immunomodulatory properties”. PLOS One 8 (3): e59354. Bibcode2013PLoSO...859354Y. doi:10.1371/journal.pone.0059354. PMC: 3595282. PMID 23555021. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3595282/. 
  5. ^ “Molecular resolution of cell adhesion forces”. IEE Proceedings - Nanobiotechnology 151 (3): 128–32. (2004). doi:10.1049/ip-nbt:20040707. PMID 16475855. 
  6. ^ Marcos-Contreras, Oscar A (2020). “Selective targeting of nanomedicine to inflamed cerebral vasculature to enhance the blood–brain barrier”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 117 (7): 3405–3414. doi:10.1073/pnas.1912012117. PMC: 7035611. PMID 32005712. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7035611/. 

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