T54シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 00:13 UTC 版)
「90mm戦車砲 (アメリカ)」の記事における「T54シリーズ」の解説
T15を元に、より高初速のタングステン弾芯の高速徹甲弾の運用に対応するとともに軽量化されて開発された試作型がT54であり、これは、M56対戦車自走砲に搭載された。 T54をもとに、戦車砲として開発された改良型がT119である。T119は多くの点で、イギリスのオードナンス QF 20ポンド砲(84mm口径)と併行して開発された。最大の変更点は、より高い砲腔内圧に対応できるよう砲構造を強化した点であるが、排煙装置とマズルブレーキも改められている。T119を量産に適するよう改正したものがT119E1であり、これはM36として制式化され、当初はT42に搭載される予定であったが、整備計画の繰り上げに伴ってM47パットンより搭載された。 T119E1/M36をもとに、単肉砲身として軽量化されたものがT139で、これはM41として制式化され、T148砲架と組み合わせてM48パットンに搭載された。 M47・M48が冷戦下の西側諸国に広く供与されたこともあり、技術的に類似しているQF 20ポンド砲とともに、T54シリーズは西側の第1世代主力戦車における戦車砲のデファクトスタンダードとなった。しかし、1950年代後半には、ソビエト連邦軍がD-10 100mm戦車砲を搭載したT-54中戦車の運用を開始したことから、威力不足が指摘されるようになった。このことから、西側諸国ではイギリスがQF 20ポンド砲を元に開発したロイヤル・オードナンス L7 105mm戦車砲の採用が拡大され、のちにはアメリカ軍もM68として採用し、新しいデファクトスタンダードとなった。 ただし、90mm口径の戦車砲というニッチそのものは、軽戦車や装輪戦車向けの低反動砲・低圧砲として引き継がれることになり、コッカリル 90mm低圧砲などが開発されている。
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