Pro Rata規則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 19:21 UTC 版)
「IRA (アメリカ)」の記事における「Pro Rata規則」の解説
Roth IRA拠出の所得制限が骨抜きにされる裏口Roth IRA転換の抜け道に対処して、「Pro Rata(按分)規則」がある。Pro Rata規則では、当人の通常IRAと401(k)からの課税繰延ロールオーバーIRAなどすべてのIRAの資産を合算し、そのうちの課税後拠出分の割合に実際に転換される課税後拠出分を乗じた分だけが課税後拠出の転換の際に非課税となる(課税前拠出はもともと課税繰延なので転換時には全額課税対象)。例えば上記A氏が以前の勤務先の401(k)をロールオーバーしたIRAに48万4,500ドル(課税前拠出)あり、課税前拠出とその運用益合計1万ドルの残高を持つ通常IRAに課税後所得から5,500ドル拠出直後にこの課税後拠出5,500ドル全額をRoth IRAに転換すると、転換される5,500ドルの1.1%(5,500ドル÷(48万4,500ドル+1万ドル+5,500ドル))の60.50ドルだけが非課税で、残りの5,439.50ドルは所得税の対象となる。 ただし上記の合算には既に存在するRoth IRAと雇用者の提供する退職資金口座(401(k)など)は含まれないことを利用して、もしA氏が現在の勤務先に401(k)プランがありそのプランが外部ロールオーバーIRAからの資金の移転(ロールイン、再ロールオーバー)を受け入れるなら、A氏はロールオーバーIRAの資金を事前に全額401(k)に再ロールオーバーすることにより転換に関わる所得税対象を5,500ドルの約64.5%(100%-5,500ドル÷(1万ドル+5,500ドル))の3,548.39ドルに減少できる。しかし一般的にロールオーバーIRAの投資先が数百~数千の投資信託、ETF、ETPのような様々なファンドや個別株式・債券から幅広く選択できるのに対して、401(k)プランでは10~20の投資信託(と一部の上場会社では自社株式ファンド)に限定され、その会社を辞職するまでその401(k)プランから外部に(再々)ロールオーバーできないなどの制約があり、特に課税繰延ロールオーバーIRA内の資金が転換額に比べて多額の場合は、裏口Roth IRA転換で実現できる節税の利益は再ロールオーバーで生じる不利益に見合わないかもしれない。 裏口Roth IRA転換が効果的な場合もある。夫婦であってもPro Rata規則はそれぞれの配偶者のIRAに摘要される(所得税課税および所得制限の算定は夫婦合算が可能)ので、例えばA氏の妻が課税後拠出だけの通常IRAを持ち、課税前拠出の通常IRAやロールオーバーIRAなどを一切持っていなければ、彼女は課税後拠出を全額非課税でRoth IRAに転換できる(通常IRAに資金があった間の運用益は課税対象)。
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