MADSボックス遺伝子の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 07:31 UTC 版)
「MADSボックス」の記事における「MADSボックス遺伝子の機能」の解説
MADSボックス遺伝子は様々な機能を持つ。動物においてはMADSボックス遺伝子は筋肉の発生や細胞増殖、細胞分化に関わっている。菌類における機能はフェロモンに対する応答からアルギニン代謝まで様々なものが報告されている。 植物においてはMADSボックス遺伝子は発生における主要な側面のほとんど全てに関わっている。MADSボックス遺伝子が関わっている発生現象として、雄性配偶体と雌性配偶体の発生、胚と種子の発生、根の発生、そして花や果実の発生があげられる。 MADSボックス遺伝子の中には、花の発生においてホメオティック遺伝子と類似の働きを果たすものがある。AGAMOUS やDEFICIENS といった遺伝子がその例で、花発生のABCモデルにおいて花器官のアイデンティティの決定に関わっている。花成の時期の決定にもMADSボックス遺伝子が関わっている。シロイヌナズナでは、MADSボックス遺伝子のSOC1 とFlowering Locus C (FLC )が花成における主要な分子経路を統合するのに重要な役割を果たしていることが示された。こういった遺伝子は正しいタイミングで花を咲かせるのに必須の役割を果たし、繁殖において最も成功が見込める時に確実に受精が起こるような仕組みを実現している。 このように、植物ではMADSボックス遺伝子は花にまつわる機能が古くから注目されてきたが、現在では花を作らないシダやコケといった植物にもMADSボックス遺伝子が存在し、重要な機能を担っていることが明らかとなっている。例えば蘚類のモデル植物であるヒメツリガネゴケでは、MADSボックス遺伝子が水の輸送や精子の形成に関わっていることが日本の研究グループにより報告された。
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