MADSボックス遺伝子の多様性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 07:31 UTC 版)
「MADSボックス」の記事における「MADSボックス遺伝子の多様性」の解説
MADSボックス遺伝子は後生動物、菌類、緑色植物を含む、ほとんど全ての真核生物の系統から見出されている。動物や菌類のゲノム中にはMADSボックス遺伝子は1から5個程度しか存在しないのに対し、種子植物のゲノムには約100個ものMADSボックス遺伝子が存在することが知られている。 MADSドメインを持つMADSボックスタンパク質(およびそれがコードされているMADSボックス遺伝子)は普通、Ⅰ型とⅡ型の2つのタイプに分けられる。Ⅰ型MADSボックスタンパク質はヒトのSRFタンパク質を代表格とするタイプで、MADSボックス以外にSAMドメイン(SRF , ARG80 , MCM1 の各遺伝子の頭文字をとったもの)と呼ばれるもう一つの保存されたドメインを持つことで特徴付けられる。II型MADSボックスタンパク質は動物のMEF2タンパク質を代表とするタイプで、MEF2ドメインと呼ばれる保存されたドメインを持つことで特徴付けられる。 植物の II型MADSボックスタンパク質はMADSドメインの他にKドメインと呼ばれる両親媒性のコイルドコイルを形成するドメインをもち、この2つのドメインとその間のI(Intervening)領域、そしてKドメインの後に続くC末端領域の頭文字をとってMIKC型MADSボックスタンパク質とも呼ばれる。植物では、MADSボックスタンパク質は四量体を形成し、このことがタンパク質の機能に重要であると考えられている。2014年にはMADSボックスタンパク質の一つであるSEPALLATA2タンパク質の四量体形成ドメインの構造が解明され、四量体形成の構造的基盤が明らかにされつつある。
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