リンプ・ビズキット
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| リンプ・ビズキット Limp Bizkit |
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2021年アメリカ、Festival of the Lakesにて
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| 基本情報 | |
| 出身地 | フロリダ州ジャクソンビル |
| ジャンル | ニュー・メタル[1] オルタナティヴ・メタル[2] ラップメタル[1][2] ファンク・メタル[2] ラップコア[2] ラップロック[2] ヘヴィメタル[2] ハードロック[2] ヒップホップ[1] |
| 活動期間 | 1994年 - |
| レーベル | キャッシュ・マネー・レコード インタースコープ・レコード ゲフィン・レコード |
| 共同作業者 | ブレンダン・オブライエン |
| メンバー | フレッド・ダースト サム・リヴァース ジョン・オットー ウェス・ボーランド DJ リーサル |
| 旧メンバー | マイク・スミス |
リンプ・ビズキット(Limp Bizkit)は、アメリカ合衆国のニューメタル/ラップメタル・バンド。
来歴
- 1994年 - ヴォーカリストのフレッド・ダースト(Fred Durst)と友人のベーシスト、サム・リヴァース(Sam Rivers)がフロリダ州ジャクソンビルにて結成。後にリヴァースの従兄弟でドラマーのジョン・オットー(John Otto)、さらにギタリストのウェス・ボーランド(Wes Borland)、ハウス・オブ・ペインのサウンド・クリエイター、DJ リーサル(DJ Lethal)を加えてデビュー時のラインナップとなる。
- ジャクソンビルにライヴに来ていたコーンのメンバーに、入れ墨を彫りに来たフレッドがデモを渡し、それがきっかけでデビューすることになったというのは有名な逸話だが、実際はフレッドがいつの間にかコーンのツアーバスにリンプのデモテープを放り込み、そのデモを気に入ったメンバーがパーティーに呼び、デビューが決まった。そこで酔ったフレッドがコーンのギタリストの背中にタトゥーを彫ったという。KoЯnと彫ったつもりが酔っていたせいでKeЯnと綴りを間違えた。
- 1997年 - デビュー・アルバム『スリー・ダラー・ビル、ヤ・オール$(Three Dollar Bill, Yall$)』に収録された、ジョージ・マイケルのカヴァー「フェイス」のミュージック・ビデオがMTVでヘヴィー・ローテーションされたことで人気が爆発。アルバムは、全米で200万枚を超えるセールスを記録。
- 1999年 - 2作目のアルバム『シグニフィカント・アザー(Significant Other)』を発売。全米初登場1位。全米で700万枚を超えるセールスを記録。
- 2000年 - 3作目のアルバム『チョコレート・スターフィッシュ・アンド・ザ・ホットドッグ・フレイヴァード・ウォーター(Chocolate Starfish And The Hot Dog Flavored Water)』を発売。全米初登場1位。ロック・アルバムの初動売り上げ記録を更新。累計1200万枚を越す大ヒットを記録。
- 2001年 - 音楽性の違いから、ギタリストで楽曲制作の中心者でもあったウェスが脱退。後任として、元スノットのマイク・スミスを据えて活動を続ける。過去楽曲のリミックス・アルバム、『ニュー・オールド・ソングス(New Old Songs)』を発売。
- 2003年 - 4作目のアルバム『リゾルツ・メイ・ヴァリー(Results May Vary)』を発売。全米初登場3位。リンプらしくないと批判を浴びる。一部のライヴでは観客からブーイングが巻き起こる。このアルバムのみバンドロゴをlimpbizkitとしている。
- 2004年 - 公式サイトにて、ウェスの復帰が伝えられる。
- 2005年 - ノンプロモーションでミニアルバムとなる『「真実への逃避」〜ジ・アンクエスチョナブル・トゥルース (第一幕)(The Unquestionable Truth (Part 1))』を発表。全米初登場24位。さらに、初のベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ(Greatest Hitz)』とビデオ集『グレイテスト・ヴィデオズ(Greatest Videoz)』を発売。
- 2006年 - ウェスが再脱退。バンド活動を一時休止。
- 2008年 - バンド復活ツアーと活動再開を発表。ツアーギタリストにはエヴァネッセンスのテリー・バルサモが同行した。余談だが、テリーはウェスがバンドに加わる以前の1995年に、一時的にバンドメンバーとして加わっていた。
- 2009年 - Download Festivalのオーガナイザーが、「ウェス・ボーランドはリンプ・ビズキットに戻ったのか?」という質問に対し、「イエス、100パーセント」というコメントをしている。
- ウェスの復帰が正式に発表され、同年、「Rock Am Ring」や「Rock Im Park」などでライヴ活動を再開。「SUMMER SONIC 09」にも出演。
- 2011年 - ウェスが復帰。5枚目のスタジオ・アルバム『ゴールド・コブラ(Gold Cobra)』を発売し、全米初登場16位を獲得する。バンドはこのアルバムを最後にインタースコープ・レコードを離脱。10月には、ヘヴィメタル・フェスティバルLOUD PARK11に参加のため来日した。
- 2012年 - 新たにキャッシュ・マネー・レコードと契約を交わす。フレッドとジョン、DJ リーサルとの間でドラッグ・アルコールをめぐる問題で口論となる。DJ リーサルがバンドから解雇された。
- 2018年 - DJ リーサルが復帰。
- 2025年 - 10月19日にサムが死去。48歳であった。
バンド名の由来
「マリファナを吸い、オーバーヒートしラリラリのクレイジーになっている」とあるローディーのオツムの状態を表した(three dollar bill, y'all$ のライナーノーツによる)というエピソードと絡めて「limp biscuit」(マリファナ入りのビスケットを指す)というスラングを捩り、名付けられた。バンド名の後半部分が'Biscuit' → 'Biskit' → 'Bizkit'、というようにスペルが捻られているが、「リンプ・ビスケット」もしくは「リンプ・ビスキット」というものが英米圏での発音により近いカタカナ表記である。レコード販売元であるUNIVERSAL MUSIC JAPANをはじめ、日本国内での各種メディアにおけるカタカナでのバンド名表記は「リンプ・ビズキット」となっている。
音楽性
ラップメタルに分類される。フレッドの甲高いMCと、ウェスの奏でる変態的ともいえる独特のギター・サウンドが持ち味である。
また、1980~90年代のポップス・ロックにもこだわっているようで、これまでにジョージ・マイケルの「フェイス」にザ・フー「ビハインド・ブルー・アイズ」、モトリー・クルー「ホーム・スウィート・ホーム」、ザ・ヴァーヴ「ビター・スウィート・シンフォニー」の3曲のカヴァー曲(「ホーム・スウィート・ホーム」と「ビタースウィート・シンフォニー」は、1曲にまとめてカヴァー)をアルバムに収録。ライブでも、ニルヴァーナの「ユー・ノウ・ユーアー・ライト」やハウス・オブ・ペインの「ジャンプ・アラウンド」なども披露している。
ブラック・フラッグのヘンリー・ロリンズは「俺が17歳だったら、最高に好きなバンドだった」と語っている。アンチ派もおり、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのザック・デ・ラ・ロッチャは「僕たちが積み上げたヘヴィロックの歴史はリンプ・ビズキットが700万枚売り上げた日に崩れ去った」と発言するなどして、嫌悪している。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのティム・コマーフォードは、「あんなくだらないバンドに影響を与えてしまい申し訳ない」と語り、さらにリンプのMTVミュージック・ビデオ・アワード受賞(2000年)に抗議し、授賞式会場の照明の梯子に登り授賞式を妨害する行動に出た。
ほかに、トゥール/ア・パーフェクト・サークルのメイナード・ジェームス・キーナン、スリップノット/ストーン・サワーのコリィ・テイラー、ヘッド PEのジャレッド、マリリン・マンソンなどがリンプを名指しで批判するなど、敵は多い。とはいえ、スリップノット主催のフェス「Knotfest JAPAN 2014」に出演したことなどを考慮すると、現在は少なからず認められている様である。日本でも賛否ははっきりと分かれ、2011年の「LOUD PARK」ではヘッドライナーを務めたが、演奏中に半数以上の観客が会場を後にしてしまった。残った観客も彼らにブーイングを浴びせるなど、フェス全体を盛り下げてしまう結果となってしまった。
中でも最も有名なのがエミネムとの抗争で、もともとは同じレーベルに所属し共にツアーを回るなど友好な関係(リンプの楽曲ブレイク・スタッフのミュージック・ビデオにはエミネムが出演している)であったが、DJリーサルの元バンドメイトのエヴァーラストとエミネムのDJとが争った際に、DJリーサルがエヴァーラストを擁護したことで関係が悪化。エミネムが自身の楽曲ウィザウト・ミーの中でリンプを批判するなど、絶縁状態となったが、和解した模様。
ただ、そうしたアーティスト達の中にも、リンプ・ビズキットのパフォーマンス(特にウェス・ボーランド)を評価する人は多い。
メンバー
- 元タトゥデザイナーで、海軍に在籍していたこともある。インタースコープ社の副社長で、自身のレーベル「フローレス・レコード」の経営者でもある。バンドのビデオの殆どで監督を務めている。恋人との性行為を納めたビデオが流出してしまった。赤い野球帽がトレードマークだが、近年は銀色のカツラを被っている時もある。
- 米ヴァージニア州出身。独特のギター・リフと数々の奇抜な全身メイクで観客を熱狂させる、メタル界屈指のギタリスト。結成当初からのメンバーだが、2001年に脱退し、2004年に復帰。2006年に再脱退し(ブラック・ライト・バーンズへ加入)、2009年に再び復帰した。フロント・マンを務めるBig Dumb Face、Eat The Day、Black Light Burnsやマリリン・マンソンで活動していた。2008年3月30日に東京ドームで行われたX JAPANの復活ライブ「攻撃再開 2008 I.V.〜破滅に向かって〜」に、ガンズ・アンド・ローゼスのリチャード・フォータスと共にゲスト出演した。大のウサギ好きで、常にペットとして生活を共にするほどである。趣味で油絵も描き、いくつかの作品のジャケットアートを手掛けている。私生活では結婚と離婚を繰り返している。
- フレッドの旧友。フレッドと共にリンプ・ビズキットを結成した張本人でもある。過度の飲酒により2011年に肝臓病を患い2015年に脱退、肝臓移植手術を受けた後2018年に復帰した。スキンヘッドがトレードマーク。
- 2025年10月18日死去。48歳没。リンプ・ビズキットが訃報を発表[3]。
- リヴァースの従兄弟で元ジャズ・ドラマー。「真実への逃避」にはドラッグ問題により1曲のみの参加となっており、彼が解雇されている映像が収録されている。現在は完治し、バンドに完全復帰している。
- 元ハウス・オブ・ペイン(House Of Pain)のサウンド・クリエイター。出番がない時は盛り上げ役も担う。素行不良により2012年に解雇されたが2018年に復帰している。
旧メンバー
- マイク・スミス(Mike Smith):ギター
- 元スノット(Snot)のギタリスト。ボーランド脱退後のアルバム第4作目の製作とそれに伴うツアーに参加。
ツアーサポート
- ブライアン・ウェルチ(Brian Welch):ギター
- Kornのギタリスト。2003年に参加。
- フランコ・カリーノ(Franko Carino):ターンテーブル
- 2013-2017年に参加。
- サミュエル・G・ムプング(Samuel G Mpungu):ベース
- 2015-2017年に参加。
- ツヅミ・オカイ(Tsuzumi Okai):ベース
タイムライン
ディスコグラフィ
アルバム
| 年 | タイトル | アルバム詳細 | チャート最高位 | 認定 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| US | AUS | AUT | CAN | FRA | GER | NLD | NZ | SWI | UK | ||||
| 1997 | Three Dollar Bill, Y'all$ |
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22 | 32 | — | 29 | — | — | — | 37 | — | 50 | |
| 1999 | Significant Other |
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1 | 5 | 7 | 1 | 70 | 13 | 11 | 4 | 38 | 10 |
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| 2000 | Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water |
|
1 | 1 | 1 | 1 | 7 | 1 | 1 | 1 | 4 | 1 |
|
| 2003 | Results May Vary |
|
3 | 2 | 1 | 3 | 19 | 1 | 11 | 2 | 6 | 7 |
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| 2005 | The Unquestionable Truth: Part 1 |
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24 | 50 | 17 | — | 67 | 4 | 85 | — | 8 | 71 |
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| 2011 | Gold Cobra |
|
16 | 12 | 2 | 13 | 39 | 1 | 23 | 36 | 2 | 30 |
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| 2021 | Still Sucks |
|
155 | — | — | — | — | — | — | — | — | 79 | |
| "—"は未発売またはチャート圏外を意味する。 | |||||||||||||
シングル
| 年 | 曲名 | 備考 | 収録アルバム |
|---|---|---|---|
| 1997 | Counterfeit | スリー・ダラー・ビル、ヤ・オール$ | |
| 1998 | Sour | ||
| Faith | ジョージ・マイケルのカヴァー | ||
| 1999 | Nookie | シグニフィカント・アザー | |
| Re-Arranged | |||
| N 2 Gether Now | feat.メソッド・マン | ||
| 2000 | Break Stuff | ||
| Take A Look Around | 映画「ミッション:インポッシブル2」のテーマ曲 | チョコレート・スターフィッシュ・アンド・ザ・ホット・ドッグ・フレイヴァード・ウォーター | |
| My Generation | |||
| Rollin' (Air Raid Vehicle) | WWEのレスラージ・アンダーテイカーの入場曲 | ||
| 2001 | My Way | WWEレッスルマニア17のテーマ曲 | |
| Boiler | |||
| 2003 | Eat You Alive | リゾルツ・メイ・ヴァリー | |
| Behind Blue Eyes | ザ・フーのカヴァー・映画「ゴシカ」のエンディングテーマ曲 | ||
| Red Light-Green Light | feat.スヌープ・ドッグ | ||
| 2004 | Almost Over | ||
| Build A Bridge | WWEサバイバー・シリーズ2003のテーマ曲 | ||
| 2005 | The Truth | 「真実への逃避」~ジ・アンクエスチョナブル・トゥルース (第一幕) | |
| Home Sweet Home/Bittersweet Symphony | モトリー・クルー/ザ・ヴァーヴのカヴァーミックス | グレイテスト・ヒッツ | |
| 2011 | Shotgun | ゴールド・コブラ | |
| Gold Cobra | |||
| 2013 | Ready To Go | feat.リル・ウェイン | スタンピード・オブ・ザ・ディスコ・エレファンツ |
| Thieves | ミニストリーのカヴァー | ||
| 2014 | Endless Slaughter |
- その他の楽曲
| 年 | 曲名 | 備考 | 収録アルバム |
|---|---|---|---|
| 1999 | Crushed | 「エンド・オブ・デイズ」挿入曲 | 「エンド・オブ・デイズ」サウンドトラック |
| 2003 | Crack Addict | WWEレッスルマニア19のテーマ曲 | アルバム未収録 |
出典
- ^ a b c Limp Bizkit reviews, music, news - sputnikmusic・2015年3月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g “limp-bizkit|Biography”. オールミュージック. All Media Guide. 2015年2月1日閲覧。
- ^ Kaufman, Spencer (2025年10月18日). “Limp Bizkit Bassist Sam Rivers Dead at 48” (英語). Consequence. 2025年10月19日閲覧。
外部リンク
固有名詞の分類
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