Kyoto_Common_Lispとは? わかりやすく解説

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Kyoto Common Lisp

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/16 16:07 UTC 版)

Kyoto Common Lisp
作者 湯淺太一, 萩谷昌己
開発元 京都大学数理解析研究所SIGLISP
初版 1984年4月 (40年前) (1984-04)
最新版
"June 3, 1987" / 1987年6月3日 (37年前) (1987-06-03)
対応OS Unix, VMS, AOS
対応言語 Lisp, Common Lisp
種別 コンパイラおよびインタプリタ
ライセンス 京都大学数理解析研究所SIGLISPライセンス
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Kyoto Common Lisp (KCL)は湯淺太一、萩谷昌己らによるCommon Lispの実装である。C言語で書かれ、主にUnix系OSで広く動作した。KCLはANSI Cへとコンパイルするのが特徴。

1984年のガイ・スティール・ジュニアの著書Common Lisp the Languageに記載されているCommon Lisp仕様に準拠し、京都大学数理解析研究所SIGLISP(The Special Interest Group in LISP)とのライセンス契約のもとで無償で利用可能であった。

KCLの特筆すべき点は、Common Lisp仕様標準委員会の外部で、Common Lisp仕様に基づいてゼロから実装されたことである。

当時分派していたMACLISP系Lispの共通仕様を制定することがCommon Lispの当初の目的であったため、既存のSpice LispやNIL、Lisp Machine Lisp等の処理系がCommon Lisp仕様に準拠していくという方向で進んでおり、また、処理系の一つであるSpice Lispのソースコードがパブリックドメインとして配布されていたため、既存の処理系やソースコードを利用することが殆どの状況であったが、仕様のみに基きゼロから実装したKCLは、それまで気づかれなかったCommon Lisp仕様の多くの穴や間違い、暗黙の前提を露呈させた。

Kyoto Common Lispは、1984年のCommon Lisp仕様出版とほぼ同時期に完成し、Spice LispやNIL等と並ぶ最初のCommon Lispの実装の一つである。

都市伝説

日本国内では国産ソフトウェアとしてのKCLの業績を称えんがために行き過ぎた誇張が散見される。

主なところでは、言語の仕様はできていても、実際のコンピュータ上で動く言語処理系としてのCommon LispはKCL以前には存在していなかった、等と記述している文献や書籍がある。[1]

派生

Kyoto Common Lispから枝分かれした系統

  • Austin Kyoto Common Lisp (AKCL): KCLへのバグ修正、性能向上、多機種サポートの数々をWilliam Schelterがまとめたもの。AKCLは様々なUnixワークステーションに移植された。
    • GNU Common Lisp (GCL): AKCLをGNUプロジェクトが継承したもの [2]
      • ParGCL: MPIを用いたGCLの並列処理拡張 [3]
  • Embeddable Common-Lisp英語版 (ECL): KCLから派生しANSI Common Lisp規格への準拠、多言語対応等を特徴とする [4]
    • ManKai Common Lisp (MKCL): ECLから派生し並列処理等に特色を持つ [5]
  • IBUKI Common Lisp[6]: IBUKI社がKCLをベースに商用サポート処理系として販売していた処理系
  • Delphi Common Lisp: Delphi Electronic Design SystemsがKCLをベースにオブジェクト指向システム(CLOS)や、マルチプロセッシング機能を付加した商用の処理系
  • JKCl(日本語KCl): 日本語化された商用KCL
  • TOP-1 Common Lisp: IBMのTOP-1(SMP機)向けにマルチプロセス周りに拡張を加えたKCLベースの処理系
  • AIP-Lisp: 東芝のAIP(AIプロセッサ)向けのKCLベースの処理系
  • TUPLE: KCLベースのSIMD型超並列計算のための拡張Common Lisp [7]

脚注

  1. ^ 古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと p223 
  2. ^ https://www.gnu.org/software/gcl/
  3. ^ https://www.ccs.neu.edu/home/gene/pargcl.html
  4. ^ https://common-lisp.net/project/ecl
  5. ^ https://common-lisp.net/project/mkcl
  6. ^ https://www.cs.cmu.edu/afs/cs/project/ai-repository/ai/lang/lisp/impl/kcl/0.html
  7. ^ http://id.nii.ac.jp/1001/00014084/

出典

  • 古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと. ISBN 978-4535787445 

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