DSM-IV-TRとICD-10の診断基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:53 UTC 版)
「うつ病」の記事における「DSM-IV-TRとICD-10の診断基準」の解説
抑うつ状態についてもっとも広く用いられる診断基準は、アメリカ精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版改訂版(DSM-IV-TR)と、世界保健機関の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)である。前者は米国および非ヨーロッパ諸国で多く用いられ、後者はヨーロッパで多く用いられる。2つの著作はお互いを反映するように作業されている。 DSM-IV-TRとICD-10は典型的なうつ病の症状を選定している。ICD-10では3つの典型的なうつ病の症状(気分の落ち込み、喜びの喪失、気力の低下)を示し、うち2つがうつ病の診断の確定に必要である。DSM-IV-TRでは2つのおもなうつ病の症状、気分の落ち込みと、喜びの喪失のうち、ひとつが大うつ病エピソードの診断に必要である。しかし、これらは診断基準の一部であり、すべてではない。 DSM-IV-TRでは大うつ病性障害は気分障害に分類される。診断は単発か繰り返される大うつ病エピソードに基づく。追加の情報はその他の障害と区別するために用いられている。特定不能のうつ病性障害(英語版)は、抑うつ症状のエピソードが、大うつ病エピソードの基準を満たしていない場合に診断される。 ICD-10は、大うつ病性障害という用語を使用していないが、(軽症・中等症・重症)うつ病エピソードの診断のために、非常によく似た基準を一覧にしている。複数のうつ病エピソードが存在し、躁病のないものには反復性うつ病性障害(recurrent depressive disorder)の診断名が用いられる。 DSMの診断基準は、うつ病を引き起こした個人のほかの側面と社会的な状況を考慮していないという点について、批判の対象となっている。
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