DAZ_Studioとは? わかりやすく解説

DAZ Studio

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/15 15:20 UTC 版)

Daz STUDIO
Daz Studio Version 4.9.0.63
開発元 Daz 3D Inc.
最新版
4.24.0.3 / 2025年4月29日 (5か月前) (2025-04-29)
対応OS WindowsmacOS
サポート状況 開発中[1]
種別 3DCGソフトウェア
公式サイト https://www.daz3d.com/
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Daz StudioDaz 3D 社製の3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) ソフトウェア

2025年現在、基本版の「Daz Studio」はコンテンツ販売サイトの「Daz 3D」でユーザー登録をすれば無料でダウンロード及び利用可能であるが、最上位のメンバーシップである「Daz Premier」の課金ユーザー向けに、スカルプト機能などを搭載した上位版の「DAZ Studio Premier」が2024年より提供されている[2]

概要

ベースとなる3D人体モデル(Daz Studioでは「フィギュア」と呼ぶ)にモーフを追加し、キャラクターを作り、服や髪形、オブジェクトなどのコンテンツを配置し、ポーズを決め、レンダリングし、画像や動画を作成する。モデリング機能は搭載されておらず、フィギュアのモーフ(顔立ち、体型、表情)やポーズ、テクスチャ、服などのデータは購入するか別のソフトウェアで作成する必要がある。Daz 3D社の公式ショップでは多数のアイテムが購入できるほか、モデリングソフト(モデラー)のHexagonCarrara、景観生成ソフトのBryceなどといった姉妹ソフトも販売されている。

2025年現在、Dazの主力となるフィギュアは「Genesis」シリーズで、最新世代は「Genesis 9」である。「Genesis」シリーズの歴代のベースモデルと、服や髪・背景オブジェクト等のコンテンツがDaz Studioに付属しており、インストールしてすぐに使い始めることができる。また、ビギナー向けにアプリケーション上で使用方法を解説してくれるインタラクティブ・レッスン(英語)も搭載されている。

元々はSmith Micro Software社製の3DCGソフトウェアであるPoserの互換ソフトとして2005年にリリースされたが、2011年以降はPoserとの互換性を切り、独自路線を歩んでいる。

以前は、正式名を「DAZ|Studio」と称していたが(略称は「D|S」)、DAZ Studio 4.0以降では「DAZ Studio」と称していた。2018年より「Daz Studio」となった。

初版がリリースされた2005年より、利用者登録が必要であるものの、基本システムは無料で頒布されていた。2009年リリースのバージョン3以降で、有料の上位版が登場した。2012年に最上位版の「DAZ Studio Pro 4」が「期間限定」で無料化され[3]、その後公式に無料になり下位版は廃止された。2024年、無料メンバーシップの「Daz Base」、有料メンバーシップの「Daz Plus」という従来の2つのメンバーシップに、最上位メンバーシップの「Daz Studio Premier」が追加され、同時に「Daz Studio Premier」のメンバーだけに提供される上位版ソフト「Daz Studio Premier」がリリースされた。

いわゆる「カミソリの替え刃」ビジネスモデルを採用している。本体を安価に販売し、替え刃の販売で継続的に儲けるカミソリメーカーと同じく、ソフトウェア本体を無料で頒布し、コンテンツの販売で儲けるビジネスモデルを取っている。

バージョン

DAZ Studio 0

ベータ版扱い。 かなり長期に渡って頻繁にバージョンアップを繰り返しながら、無料配布が続けられた。

DAZ Studio 1

2005年リリース。

DAZ Studio 2

DAZ Studio 3

2009年6月リリース。 有料のAdvanced版が提供される様になり、2エディション構成になった。

DAZ Studio 3
基本システム。無料。
DAZ Studio 3 Advanced
各種上位機能搭載。64ビットWindows対応など。

DAZ Studio 4

2011年リリース。 このバージョンからは基本システムが有料化された。 その代わりとして機能が制限されたExpress版が提供される予定である。 また、Advanced版に加え、より上位のPro版が提供される様になり、4エディション構成となった。

2012年3月、DAZ Studio 4 Proが「期間限定」で無料化された。その後、「期間」が延長され、そのまま無料で提供されている[2]

DAZ Studio 4 Express
機能制限された無料版。
DAZ Studio 4
基本システム。このバージョンからは有料化された。
同時にリリースされた新世代のGenesisフィギュアを活用するための様々な機能が追加され、大幅に機能向上を果たした。
DAZ Studio 4 Advanced
基本システムの機能に加え、下記の機能を搭載。
64ビットWindows対応
Auto-Fit (DAZ第4世代フィギュア用の服・靴・髪などをGenesisフィギュア用に変換する機能)
Progressive Rendering
Multi-Layered Image Editor
Morph Loader Advanced
Darkside Style
DAZ Studio 4 Pro
主にコンテンツクリエイターなどプロフェッショナルに近い利用者に向けたバージョン。
Advanced版の機能に加え、下記の機能を搭載。
Content Creator Tools (コンテンツ作成のための各種機能)
GoZ Bridge (ZBrushとの連携機能)
3D Bridge for Photoshop (Photoshopとの連携機能)
FBX Exporter
Texture Atlas

Poser との関係

DAZはもともと、Zygote社の運営するPoser向けコンテンツ販売サイト「Digital Art Zone」が2000年に分社化されたもので、Smith Micro Software社製の3DCGソフトウェア・Poserで読み込んで使うための生物や衣類などの3Dデータを販売していた。当時は個人向けの人体3DCG作成ソフトウェアはPoserの独占状態であったが、当時のPoser公式のコンテンツ販売サイトである「コンテンツパラダイス」は新モデルの展開に積極的ではなく、サードパーティのDAZやRenderosityなどで提供されるモデルが人気を博していた。特にDAZが2009年にリリースしたDAZ第4世代フィギュア「Victoria4/Michael4」はPoserにおける事実上の標準であり、DAZ第4世代フィギュアまではDAZ社とPoserは共存関係にあった。

しかし、DAZ社は自社の3Dデータの購入者を増やすために、2005年にPoserとデータ互換のDAZ Studioを無料でリリースした。2007年にリリースされたPoser 7用までは、Poser用に作られたコンテンツはDAZ Studioと互換性があり、DAZ Studioでもそのまま利用することができた。そもそも当時はDAZ Studio専用コンテンツというものはなく、DAZ StudioにおけるCG制作ではPoser用のデータを流用する前提であった。当時のDAZ 3D社が販売するPoser用コンテンツはすべてDAZ Studioで利用可能であった。

2010年にリリースされたPoser 8以降の機能を使って作られたコンテンツはDAZ Studioと互換性がないため、DAZ Studioでは利用できなくなった。また、DAZ Studioの方でも、2011年にリリースしたDAZ第5世代フィギュア「Genesis」以降のフィギュア用コンテンツは、TriAxと呼ばれる独自のウェイトマップ技術がベースとなっているため、Poserとの互換性が無くなり、Poserでは利用できなくなった。

2012年にリリースされたPoser 9/Poser Pro SR3.1でプラグインが利用できるようになり、OpenSubdivなどGenesisを動かすために必要な機能が徐々に搭載されたことから、DAZ 3D社はDSON Importer for Poserプラグインを開発し、Poserユーザー向けにリリースした。これによって、Poser上でもGenesis1/2が利用できるようになった。

2015年リリースのDAZ第7世代フィギュア「Genesis3」以降では完全にDAZ Studio専用となり、Poserでは利用できなくなった。これ以降、DAZとPoserとの関係はなくなっている。

DAZ社がDAZ Studioに注力し始めたことに伴い、アセット販売サイト「DAZ」もDAZ Studio向けに偏重し始めた。そのため、Poser向けのアセット販売はRenderosityがメインとなった。2018年、Poser公式アセット販売サイト「コンテンツパラダイス」の閉鎖により全てのコンテンツがRenderosityに移譲され、2019年、Renderosityを運営するBondware社がSmith Micro社よりPoserを買収。これによりRenderosityがPoserの公式ストアとなった。

Poserは景観生成ソフトVueとの親和性が高く、Poserで作成したデータをVueに読み込んでリアルな景観レンダリングをおこなうことが出来るが、DAZ Studioは景観生成ソフトBryceと親和性が高く、PoserVueの関係によく似た対応付けになっている。

レンダラーの特徴

DAZ Studio は、Poserとは異なるレンダラー(レンダリングエンジン)を搭載しており、シェーディングモデル(ライティングモデル)も大きく異なっているため互換性は無い。

Poserのデータを読み込んだ場合、光源やマテリアル設定の基本的な要素についてはある程度まで自動で変換されるが、あくまでも基本的な設定が変換されるだけであり、そもそもシェーディングモデルが異なっているため、レンダリング出力はかなり異なった画像になる。より良い結果を得るためには微調整や置き換えが必要となることがある。(DAZが販売している3DデータはDAZ Studioのレンダラーに最適化された設定が最初から組み込まれている)

内蔵レンダラー

標準で内蔵しているレンダラーとしては、下記の3つから選択して使用できる。

3Delight
RenderManインターフェース準拠のレンダラー。
DAZ Studioの初期バージョンから標準で搭載されている。
フォトリアリスティックな表現を基本とするが、非フォトリアルなトゥーンシェーディング等も可能。標準で搭載されるトゥーンレンダリングは、必ずしも完全とは言えないが、Poserでトゥーンレンダリングを試みる事に比べれば遥かに手軽に品質の良い結果を得られる。また、有償・無償を問わずトゥーンレンダリング用のシェーダーレンダラーが複数存在し、それらを利用することでより細かい調整や表現が可能になる。
NVIDIA Iray
GPU演算に対応する物理ベースのレンダラー。間接光を含めた極めて現実感の高い写実的映像生成を特徴とする。
対応するNVIDIA製ビデオカードを備えていれば、CPUでレンダリングするのに比べ大幅に高速にレンダリングすることができる。
DAZ Studio 4.8 64bit版に標準で搭載されている。32bit環境では利用できない。
DAZ製のフィギュアデータは、Genesis3以降からはirayに最適化されたマテリアル設定が用意される予定。
Filament
Googleの開発するオープンソースの物理ベースリアルタイムレンダラー。DAZ Studio 4.14以降に搭載されている。

外部レンダラー

有料プラグインを導入することで対応することができるレンダラーとしては下記のようなものがある。これらの外部レンダラーはPoserでも同様に有料プラグインにより対応しており、同じレンダラーを使い設定を共通化すればほぼ同じ出力画像を得ることができる。

Octane Render英語版
GPU演算に対応する物理ベースレンダラー。
LuxRender
GPU演算に対応する物理ベースレンダラー。

備考

DAZ Studio は、「基本システムは無料配布・拡張機能は有償プラグイン」という形で、機能拡張を行なうことが可能となっている。 様々な光源やレンダリング効果の追加、質感の制御、モデルの編集、アニメーション編集、ダイナミッククロス、他ソフトとの連携など色々なプラグインが販売されている。プラグイン開発のためのSDKも公開されている。

以前は、ライセンスキー取得の手続きを行うと、DAZが販売している3Dデータのセット商品が無料でもらえるサービスをおこなっていたため、DAZ Studioを使用するつもりのない人でもDAZ Studioのライセンス登録手続きをおこなうメリットが有った。

外部リンク

引用


DAZ|Studio

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/09/15 10:41 UTC 版)

DAZ 3D」の記事における「DAZ|Studio」の解説

3Dフィギュアポージングレンダリングアニメーションが可能。無料(要登録)。

※この「DAZ|Studio」の解説は、「DAZ 3D」の解説の一部です。
「DAZ|Studio」を含む「DAZ 3D」の記事については、「DAZ 3D」の概要を参照ください。

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